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ジャン・ルノワール監督の『どん底』を国内盤DVD(ジュネス企画)で観た感想です。
『LES BAS-FONDS』 (1936)
監督:ジャン・ルノワール
脚本:ジャン・ルノワール、シャルル・スパーク
撮影:F・ブルガース、ジャック・メルカントン
音楽:ジャン・ウィエネル
出演:ジャン・ギャバン、ルイ・ジューヴェ、シュジー・プリム、ジュニー・アストル、ウラジミール・ソコロフ、ジャニー・オルト
ロシアの文豪ゴーリキーの原作を映画化したもの。
原作は読んでません。
再見。
ゴーリキーの『どん底』の映画化といえば、黒澤明監督の『どん底』(57年)も有名です。
私も過去に黒澤版を観ていますが、あちらはあまりにリアリティにこだわり過ぎた結果でしょうか、長屋の汚らしさが直に感じられて、正直なところ、素直に楽しめませんでした。
内容はそれなりに面白かったのですが。
それに比べると、 このルノワール版は、ジャン・ギャバンを始めとする“どん底”の住人たちと、ルイ・ジューヴェ演じる落ちぶれ貴族のエピソードがバランス良く、親しみやすい印象。
人々に向ける視線がいかにもルノワール的な温かさという感じ。
それに、なんといっても、ジャン・ギャバンとルイ・ジューヴェの共演がいい。
とりわけ男爵役を演じるルイ・ジューヴェの演技が圧巻。
アクの強い俳優なので、これまでは少々苦手と感じることもありましたが、この作品の演技の見事さには脱帽しました。
ジャン・ギャバンの良さも言うまでもなく、実にいきいきとした演技です。
とりわけ怒りの表現が素晴らしい。
ファム・ファタール的役柄を演じるシュジー・プリムの存在感も凄い。
黒澤版で山田五十鈴がやっていたのも強烈な印象でしたが。
“どん底”の住人たちも芸達者が揃っており、バッハのカンタータ風を思わせるジャン・ウィエネルの音楽も映画に溶け込んでいます。
国内盤DVDの画質はこのメーカーのものとしてはまずまず。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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