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以前別サイトにて書いたフランソワ・トリュフォー監督作品のレビューの転載です。(一部手直しあり)
今回は『恋のエチュード』。
『LES DEUX ANGLAISE ET UN CONTINENT』 (71年)
監督:フランソワ・トリュフォー
脚本:ジャン・グリュオー、フランソワ・トリュフォー
撮影:ネストール・アルメンドロス
音楽:ジュルジュ・ドルリュー
出演:ジャン=ピエール・レオー(クロード・ロック)、キカ・マーカム(アン)、ステイシー・テンデター(ミュリエル)
132分、カラー
『突然炎のごとく』と同じ原作者アンリ=ピエール・ロシェによるベストセラー小説を映画化したもの。
そのせいか設定やストーリーもどこか『突然炎のごとく』を彷彿とさせるところがありますが、個人的にはかの名作よりも尚一層強い印象の残った作品です。
ストーリーは19世紀末、フランス人青年とイギリス人姉妹との15年に及ぶ愛の軌跡を描いたもので、一言でいって三角関係モノですが、そこに描かれているのは現代の私達がどこか忘れがちな恋愛の純粋ともいえる歓喜と苦悩、そしてセックスの歓びと痛み…。
邦題からはもっとメルへンチックな物語を想像しがちですが、これはなんとも痛々しくも激しい愛の物語なのです。
時代背景を感じさせる美術や衣装、そして舞台となったイギリスの海辺の風景も美しく、音楽も実にロマンチックですし、自転車、ロウソク、手紙などトリュフォー作品に欠かせない小道具も大活躍。
キャストでは、その行動にちっとも感情移入できないのに存在感だけはしっかりあるジャン=ピエール・レオー演じるクロード。
そして何よりイギリス人姉妹ののアンとミリュエルを演じる二人、その周囲の女優陣も皆美しい。
特に姉妹役のキカ・マーカムとステイシー・テンデターの2人は本当に素晴らしく、どちらがどうと言えない魅力があります。
トリュフォー自身によるナレーションも印象的で、優れた文学作品の読後感のような芳醇な味わいを得ることができる作品。
公開時は酷評され、商業的にも成功しなかった作品ですが、トリュフォー作品でどれか一つと言われたら、私はこの作品を挙げたいです。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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