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ジュリアン・デュヴィヴィエ監督の『自殺への契約書』をレンタルビデオで観た感想です。
『MARIE OCTOBRE』(58年)
監督:ジュリアン・デュヴィヴィエ
原作:ジャック・ロベール
脚本:ジャック・ロベール、ジュリアン・デュヴィヴィエ
撮影:ロベール・ルフェーヴル
音楽:ジャン・ヤトヴ
出演:ダニエル・ダリュー、ポール・ムーリス、リノ・ヴァンチュラ、セルジュ・レジアニ、ベルナール・ブリエ、ポール・フランクール、ポール・ゲール、ダニエル・イヴェルネル、ノエル・ロックヴェール、ジャンヌ・フュジェ・ジル
この作品は今回で2度目の鑑賞。
国内盤DVDはいまだに出ておりませんので、レンタルビデオをDVDにダビングしたものを私は観ております。
この作品、個人的にデュヴィヴィエ監督の大傑作だと思っています。
是非とも国内DVD化を期待したい作品の一つ。
簡単なストーリーは…
第二次大戦中のレジスタンスの同志たち10人が15年ぶりに元アジトであった屋敷に集められる。
15年前にその場所で組織のリーダーがドイツ兵に殺されたのだが、実はこの10人の中にリーダーを売った裏切り者がいるというのだ…。
室内劇であり、容疑者が二転三転する様がなんとも印象的な、緊迫感溢れるミステリー劇。
作品より前に、アメリカでは室内劇として有名な『十二人の怒れる男』(57年、シドニー・ルメット監督)が作られており、その影響も全く無いとは言えないでしょうが、あれよりもこちらの方がずっと良いと思っています。(実はヘンリー・フォンダ苦手なもので…)
この作品は、忘れ去られた作品というよりは、世間的にはほとんど存在すら知られていないようで、少々残念です。
キャストもよくぞこれだけ集めたと言いたくなる豪華さ。
中でも、ポール・ムーリッスのスマートさ、すぐ熱くなるリノ・ヴァンチュラ、狂言廻し的存在のポール・フランクール、セルジュ・レジアニの小心ぶりも印象的ですが、なんといっても、紅一点ダニエル・ダリューのクールな演技が最高。
他の俳優も含め、それぞれの俳優に見せ場がありますので、内容は誰が特に主演という感じの映画でもありませんが、原題の『MARIE OCTOBRE』はダニエル・ダリューの役名ですし、オープニング・クレジットでも一番最初に名前が出るのはダニエル・ダリューなので、事実上彼女が主演なのでしょう。
実は彼女の出演作はこれまであまり見ていませんが、この作品の彼女の美しさには目を見張りました。
ところで、レジスタンスといえば、メルヴィル・ファンとしては、やはりメルヴィル監督の『影の軍隊』(69)を思い起こしますが、『影の軍隊』に出演していたリノ・ヴァンチュラ、ポール・ムーリッス、セルジュ・レジアニがこの作品に出演しています。
これらの俳優には、不思議と“それらしい匂い”がするので、当然のことながら、この作品も何の違和感もなく観ることができました。
あと、ポール・フランクールがテレビでプロレス中継を観ているシーンがいくつかありますが、元プロレス・ファンの一人として、この当時(59年)からヨーロッパにおいても、いかにクラシックなプロレスが展開されていたかがよく分かり興味深いところでした。
ジャン・ヤトヴによる音楽は、オープニングクレジット以外は効果音程度でそれも一部しか流れませんが、それがまたサスペンスを盛り上げています。
効果的なズームなど、カメラの動きも印象的な作品で、サスペンス感を盛り上げるのに大変有効的でした。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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