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フィルム・ノワールの名作と呼ばれる、ジャック・ターナー監督の『過去を逃れて』をDVDで観た感想です。
『Out of the Past』(47年)
監督:ジャック・ターナー
原作:ジェフリー・ホームズ
脚本:ジェフリー・ホームズ
撮影:ニコラス・ムースラカ
音楽:ロイ・ウェッブ、ロバート・スパークス
出演:ロバート・ミッチャム、ジェーン・グリア、カーク・ダグラス、ヴァージニア・ヒューストン、ロンダ・フレミング、ポール・ヴァレンタイン
この映画、いわゆる500円DVDで出ていて、私はそれを観ています。
正規の国内盤DVDは出ておりませんし、レンタルビデオでも見かけませんので(あることがあるが短縮版とのこと)、このDVDはありがたいです。
しかも、このDVDは短縮版などではありませんし、500円DVDとは思えないほど画質も良好です。
どこぞの国内メーカーなど、見習って欲しいくらいです。
この作品を観たのは今回が二度目なのですが、プロットはやはり複雑で分かりにくい。(特に映画後半)
しかし、独特のノワール的雰囲気といい(とりわけ照明が見事)、怪しい登場人物たちといい、俳優の魅力といい、どれも素晴らしく、堪能できました。
展開も無駄がなく、ストーリーの面白さに惹きこまれます。
プロットが複雑になるのは、とりわけ映画後半で、ロバート・ミッチャムがカーク・ダグラスから頼まれた納税申告書の書類と、ジェーン・グリアの供述書の書類がゴッチャになってしまうのが大きな理由ではないでしょうか。
一度観ただけで内容をキチンと理解するのはなかなか大変かも。
これも典型的なファム・ファタールものといえますが、それにしても、ジェーン・グリアはいいですね。
この手の悪女ものにピッタリの美しさと、人間的弱さを見せつけてくれます。
映画中盤での、探偵役ロバート・ミッチャムと元同僚(フィッシャー)の殴り合いから銃声に至るまでのスリリングな展開は素晴らしいシーンですが、その殴り合いを眼で追うジェーン・グリアの表情といったら!
ロバート・ミッチャムは、役の上では一応現在はガソリンスタンドの経営者ですが、元探偵という役柄であり、そのどこか陰のある存在感が魅力的。
少し前にこのブログでも紹介した『さらば愛しき人よ』でのフィリップ・マーロウ役も見事な出来でしたが(この映画より30年後!)、この作品でも立派な体格が映え、タフな探偵役という意味では、当時でもボギーに匹敵する数少ない一人だったのではないでしょうか。
主役二人以外のキャストも揃っており、カーク・ダグラスは、狡猾そうな役柄にピッタリでしたし、その手下役のポール・ヴァレンタインも良かったです。
また、アン役を演じたヴァージニア・ヒューストンの清楚な魅力、一方で、秘書役のロンダ・フレミングの物腰の色っぽさなど、見た目も楽しめる作品でした。
他にも、聾唖の少年の存在感がところどころで効いています。
私が思い描いているフィルム・ノワールの要素がたっぷりと詰め込まれていて、観ていてとても満足感のある作品でした。
照明の配置が細部までかなり計算されているモノクロの映像美は、フィルム・ノワールの雰囲気を見事に醸し出していますし、カメラ・ワークも本当に見事ですね。
原作者のジェフリー・ホームズは、ハンフリー・ボガートを主演で映画化を望んでいたそうですが、この配役は、ロバート・ミッチャムで正解だったかなと。
この作品でのタフな探偵役のロバート・ミッチャムは、ハンフリー・ボガートにも劣らない魅力が、確かに感じられました。
また若かりし頃のカーク・ダグラスのキザっぽい風貌が魅力的で、結構二枚目?なんだ、と改めて感じた次第です。
そしてジェーン・グリア、ロンダ・フレミング、ヴァージニア・ヒューストン、この三人の美女達が、作品に艶やかで潤いのある華を添えてくれましたね。
この作品、一般的には、B級フィルム・ノワールと位置付けされているようですが、個人的には、とても素晴らしいA級フィルム・ノワールと位置付けしたい作品ですね。
『過去を逃れて』ご覧になったのですね。
この作品、予算的にはB級かもしれませんが、内容はご指摘の通り超A級ですね。
ノワールの作品としては、もはや伝説的な作品でしょう。
キャスティングも素晴らしいですね。
ロバート・ミッチャムは主演がボギーでない不足を全く感じさせませんし、女優陣がまた魅力的です。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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