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今月に入ってから珍しくブログの更新頻度が高くなっていますが、今月は映画を観る時間がたっぷり取れそうですので、これまでレビューを書いていなかった作品も含め、どんどん紹介していきたいと考えています。
できれば毎日…。
今回は、またまたジャン・ギャバンの主演作『筋金(ヤキ)を入れろ』(アンリ・ドコアン監督)をレンタルビデオで観た感想です。
『RAZZIA SUR LA CHNOUF』(55年)
監督:アンリ・ドコアン
原作:オーギュスト・ル・ブルトン
脚本:アンリ・ドコアン、モーリス・グリフ
撮影:ピエール・モンタゼル
音楽:マルク・ランジャン
出演:ジャン・ギャバン、リノ・ヴァンチュラ、アルベール・レミー、マルセル・ダリオ、リラ・ケドロヴァ、マガリ・ノエル、ピエール・ルイ、ポール・フランクール
先日このブログでも紹介した『シシリアン』同様、オーギュスト・ル・ブルトンの小説を映画化したもの。
ちなみに、ジャック・ベッケル監督の『現金に手を出すな』は前年の54年製作であり、オーギュスト・ル・ブルトン原作、ジュールス・ダッシン監督の『男の争い』、オーギュスト・ル・ブルトン台詞、メルヴィル監督の『賭博師ボブ』はこの映画と同年の55年製作です。
この時期、この手のノワールものがいかに次々と作られていたか、また、原作者のオーギュスト・ル・ブルトンがこの頃いかに売れっ子作家であったのかもよく分かります。
そして、なんとオーギュスト・ル・ブルトンはこの『筋金を入れろ』に俳優としても出演しています。
映画中盤での賭博場でのシーン。
群集の中央に陣取って、帽子を被って爪楊枝らしきものを加えている眉の太い男が、原作者のオーギュスト・ル・ブルトンと言われています。
いやはや、俳優となってもおかしくないような貫禄と存在感です。
この映画は2度目の鑑賞。
よって、ネタバレは承知の上で観始めましたが、かえって、さまざまなプロットの仕掛けがよく分かり、面白かったです。
数多いフレンチ・ノワール作品の中でも傑作の部類に入る作品と思われ、早急な国内DVD化が期待される作品の一つです。
実際、これは生半可でない、本物の暗黒映画で、パリの暗黒街の麻薬取引の様子がこれでもかと描かれています。
ビデオの画質のせいも多少はあるかもしれませんが、照明も概して暗めで、実にフィルム・ノワールらしい深夜のムードが色濃く描写されています。
ジャン・ギャバンの役柄は、表向きはレストランの経営者ですが、本当はパリの麻薬取引の元締め。
得意とするギャング役だけに、文句のつけようのない演技と存在感です。
マガリ・ノエルが、ギャバンが経営するレストランのレジ係で、ギャバンの愛人役。
なんというか、彼女が出ているだけで50年代のフレンチ・ノワールの雰囲気を濃厚に感じさせます。
他に、麻薬中毒の中年女性を演じるリラ・ケドロヴァが怪演。
彼女とギャバンが深夜に次々とその手の怪しい店を廻る描写はセミドキュメンタリータッチでなんともいえない迫力があります。
この時代、ジャン・ギャバンとよく共演していたポール・フランクール(メルヴィルの『ギャング』にも刑事役で出演)が粗暴な刑事役で、いかにもそれらしい持ち味を出しています。
そういえば、バーでパクられる客の中には、マルセル・ボズフィも出ていました。
そして、前年の『現金に手を出すな』でデビューしたばかりのリノ・ヴァンチュラも、助演クラスのギャング役で出ていて、すでにギャバンに劣らぬ存在感を発揮しています。
ラストはあっと驚く顛末…。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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