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以前別サイトにて書いたフランソワ・トリュフォー監督作品のレビューの転載です。(一部手直しあり)
今回は『ピアニストを撃て』。
『TIREZ SUR LE PIANISTE』 (60年)
監督:フランソワ・トリュフォー
脚本:フランソワ・トリュフォー、マルセル・ムーシー
撮影:ラウル・クタール
音楽:ジュルジュ・ドルリュー
出演:シャルル・アズナブール(シャルリ・コレール)、マリー・デュボワ(レナ)、ニコル・ベルジェ(テレサ)
84分、モノクロ
『大人は判ってくれない』に続く長編第2作に当たる作品。
フィルム・ノワールを思わせるサスペンスタッチの恋愛劇です。
しかし、サスペンスとはいってもヒッチコック作品のようなテンションの高さはなく、適度な“ユルさ”加減がいかにもトリュフォーらしい。
ピアニストを追うギャングもかなりユーモラスというか、けっこうマヌケに描かれています。
でも、その具合が面白く、この映画の不思議な魅力の一つです。
キャストでは、なんといっても魅力的なのが、ヒロイン役のマリー・デュボワ。
クールというよりは温かみのある親近感を感じさせる女優で、この作品では柔らかい笑顔がとてもいい。
また、シャルリの元妻役のニコル・ベルジェも魅力では負けていません。
こういった魅力的な女優の人選にトリュフォーらしいセンスが表れていると思います。
事実、後にメルヴィルの『フェルショー家の長男』(62)にヒロイン役で出演しているミシェール・メルシエのヌードがこの映画の途中に登場しますが、これは「トリュフォーが私のために撮ってくれた」(メルヴィル談)とのこと。
臆病なピアニスト・シャルリを演じる、主演のシャルル・アズナブールはちょっとオッサンぽい容姿が損してますが、そこはかとないユーモアを感じさせる味のある演技です。
雪の山荘で繰り広げられるラストシーンがなんとも美しい。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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