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エドゥアール・モリナロ監督の『彼奴を殺せ(きゃつをけせ)』をレンタルビデオで観た感想です。

938ce421.jpegUn Temoin dans la ville』(59年)
監督:エドゥアール・モリナロ
脚本:エドゥアール・モリナロ、ジェラール・ウーリーほか
撮影:アンリ・ドカ
音楽:バルネ・ウィラン
出演:リノ・ヴァンチュラ、フランコ・ファブリーツィ、サンドラ・ミーロ、ジャック・ベルティエ、ダニエル・チェカルディ、ロベール・ダルバン

先日紹介した『殺られる』に続く、エドゥアール・モリナロ監督のフィルム・ノワール作品。
リノ・ヴァンチュラ主演作としては、彼の役にあまり感情移入しにくい作品であるが、ストーリーは分かりやすく、内容も面白い。
ときおり不必要とも思えるタクシー運転手たちのエピソードも挟まるが、映画の後半でそれが効いてくる。
『殺られる』ほどではないが、なかなかの緊迫感を持った作品である。

リノ・ヴァンチュラに追われることになるタクシー運転手役のフランコ・ファブリーツィは『青春群像』や『』など、初期のフェリーニ作品に出演している俳優だが、さして魅力的とは思えない普通っぽさが、却って人物像にリアリティを与えている。
その先輩タクシー運転手役のロベール・ダルバン(『パリ大捜査網』)がなかなかいい味を出しているし、フランコ・ファブリーツィの恋人役にクロード・ソーテ監督の『墓場なき野郎ども』にも出演しているサンドラ・ミーロが出演しているのが嬉しい。
事実、この作品の彼女も『墓場なき野郎ども』に勝るとも劣らないほど魅力的だ。
また、これはアンリ・ドカの素晴らしい夜のロケ撮影が大変魅力的な作品でもある。

ところで、この映画のサントラは、バルネ・ウィラン・クインテットによるもの。
バルネ・ウィランはフランスのテナー・サックス奏者で、あの『死刑台のエレベーター』のサントラに参加していることでも有名。
この『彼奴を殺せ』のサントラCDは、輸入盤や中古盤などでは比較的入手しやすいので、興味のある方は是非一聴を。

同じモリナロ監督の『殺られる』ではアート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズがサントラを担当していたが、やはりアート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズがサントラを担当したロジェ・ヴァディム監督の『危険な関係』(59年)にもウィランは参加している。
この『彼奴を殺せ』のサントラでは、ケニー・ドーハム(tp)、デューク・ジョーダン(p)といった、アメリカから参加した他のメンバーもすこぶる魅力的。

ちなみに、この映画のサントラを録音したのは58年だが、その翌年のの59年4月に、サントラの録音とほぼ同メンバーのバルネ・ウィラン・クインテットがパリのクラブ・サン・ジェルマンでライヴを行っており、そこでも、このサントラのテーマ曲が演奏されている。
ドラムは、メルヴィルの『仁義』のサントラにも参加しているダニエル・ユメール

そのライヴ盤(『バルネ』『モア・フロム・バルネ』の2枚。『彼奴を殺せ』のテーマは『バルネ』に収録)は、演奏の素晴らしさもさることながら、会場となったクラブ・サン・ジェルマンの雰囲気が見事に捉えられていることでもよく知られている。
録音状態も大変良く、個人的にも、最も好きなジャズのライヴ盤の一つである。

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趣味:
フランス映画、ジャズ
自己紹介:
フランスの映画監督ジャン=ピエール・メルヴィル監督作品のファンサイト附属のブログです。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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