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前回の『めんどりの肉』に続き、ジュリアン・デュヴィヴィエ監督の作品を観ました。
『Diaboliquement Votre』(67年)
監督:ジュリアン・デュヴィヴィエ
原作:ルイ・C・トーマ
脚本:ジュリアン・デュヴィヴィエ、ローラン・ラージル、ジャン・ボルバリ
撮影:アンリ・ドカ
音楽:フランソワ・ド・ルーベ
出演:アラン・ドロン、センタ・バーガー、セルジョ・ファントーニ、ピエール・モスバシェル
デュヴィヴィエ監督、ドカ、ド・ルーべ、そしてドロン…このメンツからいっても、期待するなという方がおかしいでしょう。
デュヴィヴィエ監督の遺作ですが、それを感じさせない疾走感ある若々しいオープニングにいきなり驚かされます。
オープニングのフランソワ・ド・ルーべの音楽(オーケストレーションは『影の軍隊』『仁義』のエリック・ドマルサン)も素晴らしい。
ところが、病院、お城と物語が展開するに従って、隙間風が吹くような白けた空気が映画に漂い始めます。
一見、意味有り気に見えながらもほとんど意味の無い大仏や、ドロン着用の紋付の着物を始めとする妙な感じのオリエンタル趣味、どう見ても中国人に見えない使用人、怪しさ満点の医者、そしてテープレコーダーなど緊迫感の感じられないシーンの数々…。
主演のアラン・ドロン、センタ・バーガー二人とも見た目は美しいので、視覚的にはそれなりに楽しめる映画なのですが、映画前半からなんとなくオチが見える展開といい、サスペンス劇としての作りの甘さが気になってしまいます。
デュヴィヴィエ監督というと、心理描写に優れたかっちりしたドラマを作る監督というイメージがありましたが、この映画は本気なのか冗談なのか分からないシーンが続出で、特に映画後半で、コトの真相を女から聞いた男が「もう一回」「いいわ」(SEXのことです)のやりとりを聞いた時は、「これって笑うとこ?」と思ってしまいました…。
また、二体の死体が転がるラストの展開や、その後のオチもどうも締まらない印象ですが、ゴダール作品のようなユーモアとして捉えればいいんでしょうか…よく分かりません。
ジュリアン・デュヴィヴィエ監督は、どちらかというと戦前の作品の評価が高く、戦後の作品の評価は相対的に低いようですが、戦後も、前回紹介した『めんどりの肉』の他にも『埋れた青春』『自殺への契約書』など素晴らしい作品を世に出しています。
その名匠の遺作としては、この作品は残念ながら期待外れの印象でした。
実際のところ、観たソフトが画質の良くないVHSビデオレンタルでしたので、画質の良いDVDで観ると印象が変わるかもしれませんが…。
TBありがとうございます<(_ _)>
私の方からは別の記事をTBさせていただきますね
ド・ルーベさんの音楽好きです♪好きです♪大好きです♪
私的には結構お気に入りの作品なのですが
その訳は・・・ドロンさんが絶え間なく画面に登場しているからです(笑)
単純でしょう
DVDデッキのHDDに入れているのでソフト無しでもいつでも観たい時に観ております
あっ、Astayさんのコメントだっ!
お久しぶりです。お元気ですか?
さて、また我流の記事TBさせていただきました。わたしは、マサヤさんの記事内容、Astayさんの嗜好、どちらも賛成です。
が、わたしは、とにかく想像力こそヌーヴェル・ヴァーグ(新しい映画)の鑑賞と信じているものですから、映画からたくさんの連想して、それをその映画の感想としてしまいます。ですから当作品がいわゆる駄作であってもわたくしにとっては映画史的名作になってしまいました。
お笑いくださいませ(笑)。
戦後のデュヴィヴィエ監督作品では『殺意の瞬間』も素晴らしいと思っています(これは客観的に)。
では、また。
作品にあまり好意的な記事ではなかったので、トラバするべきかどうか迷いましたが、思い切ってトラバさせていただきました。
ド・ルーべの音楽は私もかなり気に入りましたよ。
また、確かにドロン氏出ずっぱりのこの映画は、ファンの方には堪らないでしょう。
なんだかんだいって、国内DVDが出たら私も買うと思います(笑)。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
リンク、コメント、TB等はご自由にどうぞ。