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チャオ・パンタン』のDVDを購入、観ました。

image52.gifTCHAO PANTIN』(83年)
監督:クロード・ベリ
撮影:ブルーノ・ニュイッテン
美術:アレクサンドル・トローネル
音楽:シャルレリー・クチュール
出演:コリューシュ、リシャール・アンコニナ、アニエス・ソラル、フィリップ・レオタール

83年度のセザール賞5部門を獲得した、80年代フレンチ・ノワールの傑作と言われている作品です。
変わったタイトルの意味は「あばよ、操り人形」とのこと。

18区あたりのパリの下町を舞台に、ガソリンスタンドの夜間給油係をして働く中年男ランベールと、麻薬の売人をしている若者ベンスサンの友情を描いた作品です。
現在は紀伊国屋書店からDVDが発売されていますので、優れた画質で観ることができます。

image53.gif腹の出たみずぼらしい中年男が主人公という、ノワールとしては一見変わった設定の作品ですが、それを演じるコリューシュがなかなかいいです。
コリューシュは人気コメディアンだったとのことですが、ここでは道化っぽさは微塵も無く、その佇まいや表情、空気感はノワールを決して裏切っていません。
若者二人を演じるリシャール・アンコニナアニエス・ソラルの二人も悪くないですが、フランス映画の渋いバイプレーヤーの一人、フィリップ・レオタールが特別出演し、いい味を出しています。

そして、名撮影監督ブルーノ・ニュイッテンによるブルートーンを生かした撮影による夜のパリの表情が見事です。
この映画を観て、私はすぐさま『仁義』におけるアンリ・ドカ撮影の映像を思い出しました。
もちろん、あの『天井桟敷の人々』(45)など、多くの名作映画を数多く手がけた巨匠アレクサンドル・トローネルによる美術の素晴らしさも映画の雰囲気作りを大いに魅力あるものにしています。

内容は、自らを語らない主人公の過去が、徐々に明らかになるストーリー展開が良く、また、登場人物も多くなく、余計な音楽も入らず、じっくりと浸れる作品です。
もっとも、女相手にベッドでの涙のモノローグは少々余計な感もありました…こういったノワールものには男の涙は似合わないと個人的には思っているので(笑)。
あと、ラストで女が部屋に物を取りに戻った瞬間に、その後の展開が分かっちゃうのはご愛嬌かな。

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ジュリアン様チェイサー様、お二人のブログからいただいた素晴らしい情報です。

0600753085745.jpgユニバーサル・フランスから6月2日に、「Jean-Pierre Melville Serie Noire」と題するメルヴィル作品のサントラを集めたコンピレーションCDが発売になります。(こちらをリンク)
パッケージ写真を見る限り、収録作品として『賭博師ボブ』『マンハッタンの二人の男』『モラン神父』『いぬ』『サムライ』『影の軍隊』『仁義』『リスボン特急』の作品名が見られます。
ただ、ジャケット写真には『ギャング』のワンシーン(リノ・ヴァンチュラが拳銃を構えている写真)も見られますので、もしかしたら『ギャング』の音楽も含まれているのかもしれません。

ユニバーサル・フランスから一連のシリーズで発売されているフランス映画のオリジナル・サウンドトラック・シリーズは、マスター・テープを用いたと思われる良好な音質、美しいアートワークによるデジパック仕様のジャケット、仏語と英語両方による解説など、品質も大変信頼の置けるものであることは今更言うまでもないでしょう。

上記のリンク先のページには、マルシャル・ソラルミシェル・コロンビエフランソワ・ド・ルーベの3人のみの名前が見られますが、例えば『影の軍隊』『仁義』の音楽はエリック・ド・マルサンですから、あくまで代表的な3人の名前が挙げられているのだと思われます。

リンク先を見る限り、どの作品からどんな曲が選ばれているのかはまだ分かりませんが(Amazonフランスでも現段階では詳細は不明です)、このシリーズからは、すでに『サムライ』『影の軍隊』『仁義』のサントラCDが発売されていますので、今回はむしろ他の作品の方に期待がかかります。(ちなみに、ジョルジュ・ドルリューのサントラ「Le Polar Selon Georges Delerue」には『フェルショー家の長男』からの2曲が収録されています)

おそらく『モラン神父』(音楽:マルシャル・ソラル)のサントラがCD化されるのは初めてでしょうし、『いぬ』(音楽:ポール・ミスラキ)は冒頭のテーマ音楽が収録されているのか否か、『リスボン特急』はエンディング・テーマのイザベル・オーブレの歌「事が起こるように」が収録されているのか否かなど、大変気になるところです。

さっそくAmazonフランスに予約しましたが、とにかく、メルヴィル作品のサントラが一枚のCDに収録されるなんてファンとすれば夢のようで、発売日が待ちきれません。

image147.gifゴダール監督の『女と男のいる舗道』(62年。『VIVRE SA VIE』)を観ました。
12のエピソードからなる、アンナ・カリーナ演じる娼婦ナナを主人公とした物語ですが、この作品を観たのは数年ぶりです。

監督:ジャン=リュック・ゴダール
撮影:ラウル・クタール
音楽:ミシェル・ルグラン
出演:アンナ・カリーナ、サディ・レボ、ブリス・パラン、アンドレ・S・ラバルト

この作品のDVDでは、私はシネフィル・イマジカから以前出ていたものを所有していますが、現在はハピネット・ピクチャーズからもデジタル・ニューマスター版と銘打ったDVDが出ています。
ハピネット・ピクチャーズ盤は未見なので比べることはできませんが、久々にイマジカ盤を観てみたところ、特に画質の上での不満は感じませんでした。
イマジカ盤、ハピネット盤、どちらもPAL変換マスターを使用しているそうです。
ちなみに、DVDのパッケージのデザインはハピネット盤の方がずっと魅力的ですが。

登場人物が背中を向けたまま顔を見せずに会話する冒頭シーンから、いかにもゴダールらしい個性が光る作品ですが、実は、当時カリーナが流産したのをキッカケにゴダールとの仲が上手く行かなくなっており、カリーナが自殺未遂を企てたり、ゴダールは気がおかしくなったりと大変なトラブルの中、撮影された作品だとのことです。
image48.gif確かに、他のゴダール×カリーナ作品に比べて、暗めの作品であることは事実でしょうが、それでもこの作品のカリーナは、ボブスタイルの髪型もよく似合って魅力的です。
なんだかんだいって、個人的には、ビリヤード場でルグランの音楽に合わせて明るく踊るシーンが一番好きかもしれませんが。

せっかくのミシェル・ルグランの音楽も映画全体としてはほんの少ししか使用されておらず(それでも印象は強い!)、静寂の多い、淡々としたトーンの映画ですが、ところどころに深い味わいのあるシーンに富んでいます。

なかでも、私が好きなのは、先に挙げたビリヤード場のシーンの他に、哲学者のブリス・パランとカリーナの哲学的な対話のシーンです。
正直なところ、話の内容は私の頭ではほとんど理解不能ですが、即興によるという二人の対話が妙にリアリティがあり、心惹かれるシーンです。

あと、『裁かるるジャンヌ』を観ながらカリーナが涙を流すシーンももちろん印象的ですが、シャンゼリゼ大通りの大きな写真がバックのカフェで、就職願いの手紙の文面を書くところを丁寧に写したりとか、カリーナが身長を自分の手の大きさを使って計ったりするシーンはいかにもゴダールらしいシーンと言えるでしょう。

ラウル・クタールの撮影も、あえてカリーナを画面の中心から逸らして映し出すなど、ちょっと変わったカメラワークが目に付きます。

image51.gifそして、今回観直してみて初めて気づいたのですが、ラストでカリーナが車で連れてゆかれる場所は、パリ13区ジェンネル通りのメルヴィルの撮影スタジオのすぐそばのようなのです。
建物に「RESTAURANT DES STUDIOS」と表示がありますが、これは『仁義』のCriterion盤の特典映像に収録されたスタジオ近くの映像と全く同じ場所なのです。

ちなみに、上の画像が『女と男のいる舗道』のワンシーン、下の画像が『仁義』のCriterion盤の特典映像に収録された映像のワンシーンですが、それぞれ1962年、1970年と時代も異なりますが、建物は間違いなく同じです。
まぁ、こんなことを発見して喜んでいるのは私ぐらいでしょうが…。
実際この作品を観ていて、メルヴィルの影を感じることはほとんどありませんが、こんなところにメルヴィルとゴダールの当時の親密な関係を感じることができて、ちょっと嬉しかったりしました。

そんなこんなで、先日、たまたまリュミエール叢書から出ている「ゴダール全評論・全発言〈1〉1950‐1967」を本屋で立ち読みしていましたら、その中に61年のゴダールとアンナ・カリーナの結婚式の写真が掲載されていました。
二人とも実に幸せそうな良い写真なのですが、よく見ると、その写真には、メルヴィルとプロデューサーのジョルジュ・ド・ボールガールも、二人と一緒に写っていました。
噂によると、メルヴィルが二人の結婚式の仲人を務めたとのことでしたが、その証拠となる貴重な写真です。
値が張る本ですので、購入は見送りましたが、内容もかなり面白そうでしたので、いつかは手に入れたい本でした。

これまたDVDを買ったままほったらかしにしていた『メグレ警視 サン・フィアクル殺人事件』 (『Maigret et l'affaire Saint-Fiacre』)を観ました。

image45.gif監督:ジャン・ドラノワ
出演:ジャン・ギャバン、ピエール・フランクール、ヴァランティーヌ・テシエ、ロベール・イルシュ、ミシェル・オークレール
59年の作品

ジョルジュ・シムノン原作のメグレ警視シリーズでも、当たり役として有名なジャン・ギャバン主演の1作。
ギャバンのメグレ・シリーズでは、以前『殺人鬼に罠をかけろ』(58年。監督:ジャン・ドラノワ)も観て、面白かったのですが、これもフィルム・ノワールの雰囲気は薄いものの、実に面白い作品であることに変わりありません。

なんといっても、ジャン・ギャバンの存在感に尽きます。
のっさのっさ歩いている後姿を観るだけで、もう満足なのですが、とりわけ、子供の頃通った駄菓子屋(?)に入って、顔見知りのおばちゃんに「キャラメルが欲しい」というシーンの面白さったらなかったですね。
image46.gif脇の俳優も、一癖も二癖もある連中が揃って、見応えがあります。
映画作品としての出来栄えは、『殺人鬼に罠をかけろ』の方が上のような気もしますが、この作品も謎解きの面白さに最後まで惹きつけられる作品です。
その肝心の謎解きがよく分からないような気もしましたが、私も理解不足かもしれません。

ダンケルク』(『WEEK-END A ZUYDCOOTE』)を観ました。
64年のフランス=イタリア合作映画。
監督:アンリ・ヴェルヌイユ
出演:ジャン=ポール・ベルモンド、カトリーヌ・スパーク、フランソワ・ペリエ
撮影:アンリ・ドカ
音楽:モーリス・ジャール

第二次大戦初期の英仏軍によるダンケルク撤退作戦の様子を描いた作品。
原題は『ズイドコートの週末』の意で、1940年の6月1日(土)と2日(日)の二日間の出来事を描いた映画です。

image43.gif戦争映画とはいっても、英仏軍は空からのドイツ軍の攻撃を頭上に受けて右往左往するだけ。
全篇を通して、ベルモンド演じるマイア軍曹の周囲の人間関係だけが描かれているので、邦題から想像しそうな勇壮な戦闘シーンは全くと言ってよいほどありません。
そういう意味では異色の戦争映画と言えるのではないでしょうか。

ドイツ軍による爆撃シーンなどは、昨今のCG技術全盛の映画に比べたら大したことないのかもしれませんが、逆に、だからこそ、作り物でない本物の迫力を感じます。
撮影も相当大変だったようで、爆撃による波飛沫がキャメラを激しく洗う様は圧巻です。

ジャン=ポール・ベルモンドがほぼ出ずっぱりで、彼の魅力に負うところ大の作品なのですが、アンリ・ヴェルヌイユ監督は、作品に程よいエンターテインメント性を交えつつ、戦場を舞台とした人々の悲喜劇を、あくまで淡々と見せます。
ところどころにユーモアも効いており、ベルモンドの飄々とした持ち味が活きています。
先に述べたアンリ・ドカによる迫真の映像も迫力満点で、彼らしい映像美が楽しめる映画ですし、全篇を覆うモーリス・ジャールの音楽も不思議な味わいがあります。

image44.gifヒロインのジャンヌを演じるカトリーヌ・スパークは確かに美しいものの、存在感としては今一つかな。
出番は少ないものの、マリー・デュボワがイギリス兵のフランス人妻役で出演しています。
また、メルヴィルの『影の軍隊』でビゾン役を演じているクリスチャン・バルビエが、ジャンヌをレイプする二人組の内の一人として出演しています。

DVDを買ったまま、ほったらかしにしていた『高校教師』(『LA PRIMA NOTTE DI QUIETE』)をようやく観ました。
『リスボン特急』と同じく1972年の作品です。

監督:バレリオ・ズルリーニ
出演:アラン・ドロン、ソニア・ペトローバ、レア・マッサリ、ジャン・カルロ・ジャンニーニ

image41.gif映画冒頭の海岸沿いの風景からして、いかにもこの時代のイタリア映画という感じで、とても魅力的です。
雰囲気的に、昔観た『ラストコンサート』(監督:ルイジ・コッツィ)をなんとなく思い出しました。
そして、アラン・ドロンのうらぶれた、哀愁に満ちた役柄が印象的な映画です。
特にナイトクラブのシーンで、愛する女性が別の男性と踊っているところを見つめるシーンでの表情の演技は、素晴らしいと思いました。

昨年、ドロン氏がスマスマに特別出演した際、この作品を好きな作品ベスト5に入れていました。
正直なところ、『サムライ』が落ちて、この作品が選ばれたことにメルヴィル・ファンとしては軽い失望感を覚えましたが、実際にこの作品を観てみて、演技者としては、こちらの方を選びたくなる気持ちが分かった気がしました。
それくらい、この作品でのドロン氏は良い演技をしていると思います。
世間的には、作品の、暗く、重苦しい雰囲気が敬遠される傾向もあるかもしれず、そのあたり、この作品への好悪が分かれるところかもしれません。
私個人は結構好きですが…。

イタリア映画ということもあり、ドロンの声がイタリア語で吹き替えになっているようです。
普段聞きなれた彼の声とは違いますので、別の人の吹き替えでしょう。(違っていたら訂正お願いします)
なお、バレリオ・ズルリーニ監督の作品では、他に『激しい季節』(59年。出演:ジャン=ルイ・トランティニャン、エレオノラ・ロッシ=ドラゴ)ぐらいしか観ていませんが、これも素晴らしい作品でした。

image42.gifドロン氏以外のキャストでは、友人役を演じるジャンカルロ・ジャンニーニが良かったですね。
ジャンニーニといえば、ルキノ・ヴィスコンティ監督の『イノセント』や、リドリー・スコット監督の『ハンニバル』の印象で、ヒゲのイメージが強いのですが、この作品ではヒゲを生やしていないこともあり、かなり違った印象を受けます。
他に、レナード・サルバトーリが珍しく“いい人”役で出ているのもちょっと嬉しかったりしましたし、ドロン氏とアリダ・ヴァリの共演というのも珍しいのではないでしょうか。

image40.gifこれまで未見だったハーフ・ア・チャンス』のDVDを購入、観ました。
97年の作品です。
監督:パトリス・ルコント
出演:ジャン=ポール・ベルモンド、アラン・ドロン、ヴァネッサ・パラディ

ストーリーは…
車を盗難することを生業としているアリス(パラディ)だが、亡き母の遺言テープによって、自分には二人の父親の可能性の男性がいることが分かる。アリスは二人の男性を探し出すが、ひょんなことから3人ともにギャングと警察の争いに巻き込まれる…というもの。

なんといっても、二人の大スター、『ボルサリーノ』(69)以来28年ぶりの共演作です。
その間にはメルヴィル監督の『仁義』(70)で共演する話が流れてしまったという残念な経緯もありました。(『仁義』でのジャン=マリア・ヴォロンテの役は、もともとメルヴィル監督がベルモンドを想定して書いた役でした)

個人的に、パトリス・ルコント監督といえば、文芸肌の恋愛作品を撮る監督というイメージでしたが、この作品は大スター二人に敬意を表してか、完全な娯楽アクション作品に仕上げています。
作品のトーンとしては、どちらかというと、ベルモンド寄り?かもしれません。

それにしても、二人のファンとしては、もう二人が仲良く画面に収まっているだけで、なんともいえず幸せな気分になります。
もちろん、二人の風貌には年齢は隠せませんが、むしろだからこそ、その人間味や温かさがにじみ出て、この作品に必要な子供への愛情が見事に表現されているのではないでしょうか。
二人のセリフの掛け合いも楽しいし、ラストの縄梯子のくだりなどもう最高でした。
そして、二人とも共演を楽しんでいるのが映像を通して伝わってきて、観る側も嬉しくなってきます。

ただ一つ残念なことは、市販のDVDの画質がイマイチだったことです。

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HN:
マサヤ
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男性
趣味:
フランス映画、ジャズ
自己紹介:
フランスの映画監督ジャン=ピエール・メルヴィル監督作品のファンサイト附属のブログです。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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