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ジョゼ・ジョヴァンニ監督の『ブーメランのように』を国内盤DVDで観た感想です。
今回は少々ネタバレがあります。
『COMME UN BOOMERANG』(76年)
監督:ジョゼ・ジョヴァンニ
脚本:ジョゼ・ジョヴァンニ
撮影:ヴィクトール・ロドリゲ
音楽:ジョルジュ・ドルリュー
出演:アラン・ドロン、カルラ・グラヴィーナ、シャルル・ヴァネル、シュザンヌ・フロン、ルイ・ジュリアン
初見。
アラン・ドロンが製作も兼ねています。
この作品は、同じジョゼ・ジョヴァンニ監督作品で、やはりアラン・ドロンが製作も兼ねていた『暗黒街のふたり』(73)をどこか彷彿とさせるストーリー。
覚醒剤の影響で警官殺しをしてしまった少年の父親をアラン・ドロンが演じており、映画の前半は地味な展開ながらなかなかの良作の予感がありました。
実際、映画中盤で息子の手紙を読んだ後のアラン・ドロンの演技には圧倒されるような凄みがありました。
しかし、映画後半の展開にはちょっと付いてゆけません。
いくら父性愛とはいっても、あれはないんじゃ…。
映画としては痛快な展開なのかもしれませんが…。
ジョゼ・ジョヴァンニの撮る映画は、うわべの正義を振りかざす警察などよりも、罪を犯した犯罪者の方に観る者が同情や正義を感じてしまう作品が多いです。
『暗黒街のふたり』などはその典型であり、それはそれで説得力があるのですが、この作品ではあまりに悪ノリが過ぎてしまったように感じられてなりませんでした。
個人的に、ジョゼ・ジョヴァンニの監督作品には、前科者だった彼の経験を踏まえたものだと思うのですが、『警察=権力=悪』というような見方が抜き難く染み付いているようにも感じられます。
この作品でも、予審判事のキャラクターの描き方や、親子が国境を越えて逃げ去っているにもかかわらず、警察の拳銃が向けられるラストシーンにもそういった見方が色濃く感じられます。(リノ・ヴァンチュラが刑事役を演じた『最後のアドレス』(69)でもそれは同様で、そこでは矛先が警察権力そのものに向けられていました)
あくまで映画ですから、それはそれで良いのですが、例えば、フィルム・ノワール作品を数多く撮ったジャン=ピエール・メルヴィル監督の作品には、警察という存在を犯罪者との対比で善か悪かと簡単に決め付けるような作品は1本もなかったように思います。
むしろ、メルヴィル作品を観ていて強く感じるのは、犯罪者(やくざ)と警察双方の敬意であったり同質性(?)であったりというものです。
そのあたりはメルヴィルという人のある種のバランス感覚なのかもしれませんし、これはファンの贔屓目かもしれませんが、私はそこに一筋縄ではいかない人間観察の奥行きや深みを感じたりするのです。
もちろん、メルヴィルとジョヴァンニどちらが優れているか否かという問題ではありませんし、映画という娯楽である以上、内容がどうであれ、観る者の感性に訴えるものがあれば、ある意味それで充分と言えますが…。
名優シャルル・ヴァネルがアラン・ドロンと共演しているのが珍しいです。
ドロンの妻役でカルラ・グラヴィーナが出ていますが、あまり目立たなかったのが残念。
ちなみに、少年に殺された刑事の未亡人役のシュザンヌ・フロンは、アンリ・ヴェルヌイユ監督の『冬の猿』(61)にも出演していました。
ジョゼフ・ロージー監督の『パリの灯は遠く』(77)にも出演しているようですが、未確認。
ジョルジュ・ドルリューの哀感溢れる音楽はいかにもそれらしく印象的です。
ジャック・ドレー監督の『ボルサリーノ2』を国内盤DVD(紀伊国屋書店)で観た感想です。
『BORSALINO AND CO.』(74年)
監督:ジャック・ドレー
製作:アラン・ドロン
脚本:パスカル・ジャルダン
撮影:クロード・ボーゴアン
音楽:クロード・ボラン
出演:アラン・ドロン、リカルド・クッチョーラ、カトリーヌ・ルヴェル、ダニエル・イヴェルネル、アントン・ディフリング
初見。
アラン・ドロンの主演作としてはメジャーな方の作品だと思うのですが、どういうわけか、これまで観る機会がありませんでした。
個人的にはジャン=ポール・ベルモンドと共演した『ボルサリーノ』(70)がもう一つツボにハマらなかったせいもあり、その続編ということもあって敬遠していたのかもしれません。
この度、紀伊国屋書店から国内盤DVD(ニューマスター)が再発されましたので、これを機会に観てみました。
ここに『ボルサリーノ』の明るさはありません。
カペラ(ベルモンド)の葬儀から始まるこの作品は、映画全篇を暗く重い雰囲気が覆っており、内容もギャング同士の復讐をとことん描いています。
その分、ストーリーにどこか奥行きというか深みが無いきらいがありますが、ギャング役のアラン・ドロンがとにかく魅力的で、その表情や佇まいを観るだけでも充分に価値のある作品だと思います。
ストーリーも大変分かりやすく、映画のテンポも良いので、その点でも観る者を惹きつける魅力に溢れています。
ドロンに対するギャングは、メルヴィルの『リスボン特急』(72)でもドロンと共演していたリカルド・クッチョーラ。
クッチョーラは体格も小柄であり、押し出しのそれほど強い俳優ではないので、ドロン相手ではさすがに分が悪いと思っていたのですが、なかなかどうして表情の演技が絶妙に巧く、ギャング役を見事に演じていました。
これは少々意外でしたが、嬉しい誤算。
ドロンの愛人役のカトリーヌ・ルーヴェルは、ジャン・ルノワール監督の『草の上の昼食』(59)やジュリアン・デュヴィヴィエ監督の『めんどりの肉』(63)でも知られるグラマー?女優ですが、その頃よりずっと年を取っているはずなのに、かなり若く見えて魅力的でした。
出番は少なめなのが少々残念ですが、ドロンとの再会のシーンでの笑顔がいいですね。
他には、ファンティ警視を演じたダニエル・イヴェルネルが、なかなか魅力的な存在感を発揮していました。
あと、ラストの船のシーンで、バーテンダーに出ている俳優は、クレジットはないようですが、メルヴィル作品の常連だったピエール・ヴォディエだと思います。(ピエール・ヴォディエについてはこちらを参照)
ちなみに、ピエール・ヴォディエは、アラン・ドロンが出演したメルヴィル作品『サムライ』『仁義』『リスボン特急』にはいずれも出演していますが、意外にもドロンと直接絡むシーンはありませんでした。
もしかしたら、この二人が直接絡んだ作品は、この作品が唯一かもしれません。
作品を彩るクロード・ボランの音楽は、『ボルサリーノ』を彷彿とさせるサウンドで、重苦しい映画のトーンからは少々浮いている感もなくはありませんが、やはりこれは理屈抜きで魅力的。
気になるDVDの画質ですが、ニューマスターと謳っている割にはまずまずといったところでしょうか。
特別画質が良いという印象もありませんが、大きな不満があるわけでもありません。
アンリ・ジョルジュ・クルーゾー監督の『犯罪河岸』を国内盤DVDで観た感想です。
『Quai des Orfevres』(47年)
監督:アンリ・ジョルジュ・クルーゾー
脚本:アンリ・ジョルジュ・クルーゾ、ジャン・フェリ
出演:ルイ・ジューヴェ、ベルナール・ブリエ、シュジ・ドレール
アンリ・ジョルジュ・クルーゾー監督といえば、『恐怖の報酬』『悪魔のような女』という映画史に残る大傑作を残した名監督ですが、ヴェネチア国際映画祭で監督賞を得たこの『犯罪河岸』も傑作です。
とりわけ、映画後半の警察署内の尋問シーン、そして事件の真相に至るまでの畳み掛けるような展開は見事です。
クルーゾー監督の作品は独特のアクの強さがありますが、この作品もその例に漏れません。
しかし、この作品はサスペンスの割にどことなく滑稽味と言いますか、妙に庶民的な味わいがあります。
映画の舞台となった劇場内や警察署内の雰囲気をアメリカ映画によくありがちなセミドキュメンタリーチックな描写ではなく、あくまでも映画的なフィクションに徹して描いているのも特徴の一つといえます。
ヒロインのシュジ・ドレールはルネ・クレマン監督の『居酒屋』でも印象的な悪女を演じている女優。
この作品での彼女のファム・ファタール的な存在感は、アメリカのフィルム・ノワールにありがちなファム・ファタールの存在感とは微妙に異なりますが、かえってそこに、フレンチ・フィルム・ノワール独自の特徴を感じます。
そして、映画の後半から登場するルイ・ジューヴェ演じる刑事が独特の存在感です。
このところ、たまたま、この俳優の出ている映画を立て続けに観ていますが、その俳優としての魅力と存在感の大きさを改めて痛感している次第で、この作品でも魅了されました。
ベルナール・ブリエもいかにも彼らしい役柄であり、演技も上手い。
ところで、私が所有している国内盤DVDは、以前『霧の波止場』でも紹介した『Office YK Pictures』というメーカーのものですが、画質が大変良好。
このメーカーのDVDは、いわゆる正規盤といえるのかどうか分かりませんが、ヘタな正規盤よりずっと画質が良いですから、他のメーカーも頑張って欲しいところです。
ジュリアン・デュヴィヴィエ監督の『旅路の果て』を国内盤DVD(IVC)で観た感想です。
『LA FIN DU JOUR』(39年)
監督:ジュリアン・デュヴィヴィエ
脚本:ジュリアン・デュヴィヴィエ、シャルル・スパーク
撮影:アレックス・ジョフェ、クリスチャン・マトラ
音楽:モーリス・ジョーベール
出演:ヴィクトル・フランサン、ルイ・ジューヴェ、ミシェル・シモン、マドレーヌ・オズレー、ガブリエル・ドルジア、オデット・タラザク、シルヴィー
再見。
私は以前からジュリアン・デュヴィヴィエ監督の作品を好んで観ていますが、戦前の作品でどれか1作を選ぶならこの『旅路の果て』、戦後の作品なら『埋れた青春』(53)を挙げたいですね。
この監督の戦前の作品では、世間的にも圧倒的な知名度を誇るジャン・ギャバン主演の『望郷』(37)を始め、以前このブログでも紹介した『地の果てを行く』(35)や、『我等の仲間』(36)、『舞踏会の手帖』(37)など他にも素晴らしい作品が目白押しです。
それらを差し置いて、私がこの『旅路の果て』を挙げるのは、この作品を初めて観た時の感動が他の作品以上に圧倒的だったからです。
今回久々に再見してみましたが、その感動は少しも変わらず、やはりこの作品は大変な傑作だとの思いを強くしました。
デュヴィヴィエ監督のみならず、フランス映画史上の傑作の一つではないでしょうか。
舞台は南仏の老人ホーム、しかも、俳優が引退後に入居する老人ホームです。
そこで、悲喜こもごものドラマが展開されますが、この作品を初めて観た時、なんというか、ある意味、人生の真実を見てしまったような感覚に囚われました。
もちろん、映画ですから、誇張もありますが、ここに描かれている“苦み”こそが人生ではないかと…。
詳しく書くとネタバレの恐れがありますので、これ以上は避けますが、とにかく、これほど深い作品も少ないのではないかと思います。
内容的には暗い作品のように思われるかもしれませんが、決して暗い作品でもなく、ユーモアのあるシーン、美しいシーンも多いですし、ラストの皮肉な味わいなんて最高です。
俳優の演技も圧倒的。
とりわけルイ・ジューヴェとミシェル・シモンの二人は凄すぎますね。
ルイ・ジューヴェの演技は完全にイっちゃってますし、ミシェル・シモンなんてこの映画の実質的な主役ですよ。
もちろん、ヴィクトル・フランサンの端正な佇まいと演技も魅力的でした。
ルイ・ジューヴェの昔の恋人役を演じたシルヴィーの気品ある容姿と演技も良かったです。
フランソワ・ペリエ(『サムライ』『仁義』)が演劇好きの新聞記者役で出ていますが、とにかく若い!
この映画の国内盤DVDは現在廃盤のようです。
私が今回観たDVDは一応は国内盤正規品ですが、画質はかなり不満。
デュヴィヴィエ監督の戦前の作品はほとんどこのメーカーから出ていますが、デュヴィヴィエ・ファンの一人としてはその点が残念です。
是非、他のメーカーから出し直して欲しいものです。
以前別サイトにて書いたフランソワ・トリュフォー監督作品のレビューの転載です。(一部手直しあり)
今回は『アメリカの夜』。
『LA NUIT AMERICAINE』 (73年)
監督:フランソワ・トリュフォー
脚本:フランソワ・トリュフォー、ジャン=ルイ・ルシャール、シュザンヌ・シフマン
撮影:ピエール=ウィリアム・グレン
音楽:ジュルジュ・ドルリュー
出演:ジャクリーン・ビセット(ジュリー・ベーカー)、ジャン=ピエール・レオー(アルフォンス)、ヴァレンチナ・コルテーゼ(セヴリーヌ)、フランソワ・トリュフォー(フェラン監督)
115分、カラー
映画撮影のトラブル続きの日常をスケッチ風につづりながら、すべての映画を愛する人々に捧げられた作品。
アカデミー賞外国語映画賞を受賞した、トリュフォー中期の代表作ともいえる作品であり、一本の映画が撮影、製作されるまでを映画の題材にすることで、トリュフォー自身の映画に対する愛情を表した一本。
タイトルの“アメリカの夜”とは、レンズにフィルターをかけて昼間の撮影でも夜のシーンに見せてしまうことで、いわば虚構の象徴であり、また映画の本質と魅力を物語っています。
当のトリュフォー自身も映画監督役として出演していますが、俳優のみならず、周囲のスタッフの映画製作にかける情熱と苦心をユーモラスに描いていて実に楽しい映画となっています。
映画の性質上、ストーリー的な面白さはあまりないのですが、映画に対する愛情をこれほどほのぼのと感じさせてくれる作品も稀なのではないでしょうか。
キャストではジャクリーン・ビセットの美しさが印象的。
70年代最高の美女と言われた当時の美しさは一見の価値あり。
ジャン=ピエール・レオーの役柄はアントワーヌ・ドワネルではないものの、それそのものといってよいほどの相変わらずのもの。
これはもう“お約束”?
ジョルジュ・ドルリューの明るく開放感に満ちた音楽(バッハ風?)もとても魅力的です。
以前挙げた私の好きなジャズ・アルバム・ベスト20の中から今回取り上げるのは⑧(順位ではありません)に挙げたビル・エヴァンス『ザ・パリ・コンサート』(エディション1)。
BILL EVANS『THE PARIS CONCERT EDITION ONE』
①アイ・ドゥ・イット・フォー・ユア・ラヴ②クワイエット・ナウ③ノエルのテーマ④マイ・ロマンス⑤アイ・ラヴ・ユー・ポーギー⑥アップ・ウィズ・ザ・ラーク⑦オール・マイン⑧ビューティフル・ラヴ
ビル・エヴァンス(p)、マーク・ジョンソン(b)、ジョー・ラヴァーベラ(ds) (79年11月26日)
(私が所有しているCDは2001年に発売されたBLUE NOTE盤。最近ワーナーから紙ジャケが発売されました。)
ビル・エヴァンスの名盤といえば、リバーサイド4部作(『ポートレイト・イン・ジャズ』『エクスプロレイションズ』『ワルツ・フォー・デビイ』『サンデイ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード』)で決まり、というのが世間の定説となっています。
4部作は確かに内容も素晴らしく、夭折した名ベーシスト、スコット・ラファロが参加していることでも不滅の価値を持っていると言えます。(ドラムのポール・モチアンも素晴らしい!)
私ももう20年ほどこれらのアルバムを聴いていますが、何度聴き返してもいまだに新鮮で、全然飽きないのには驚かされます。
ただ、エヴァンスに他にも数多くの優れたアルバムが存在することは改めて言うまでもありません。
とりわけ、各年代に渡って、ライヴ盤に傑作が多いのもエヴァンスの特徴でしょう。
例えば、ジャック・ディジョネット(ds)と組んだモントゥルーのライヴ盤、エディ・ゴメス(b)、マーティ・モレル(ds)と組んだライヴ盤の数々など、好きなアルバムには事欠きません。
ここに取り上げたアルバムは、エヴァンスの晩年のパリにおけるライヴ盤です。(エディション2もあり)
晩年といっても、体力的になお余力があったのか、死の直前に残された他のいつくかのライヴ盤のような荒さや乱れはここではまだほとんど感じられません。
マーク・ジョンソン(b)、ジョー・ラヴァーベラ(ds)とのトリオは活動期間わずかに1年半という短いものでしたが、その音楽の充実度において他の時代に決して劣るものではなかったということがこれを聴けばよく理解できます。
内容的には、トリオといっても、いつに増してエヴァンスのソロが大きくフューチャーされており、ピアノの音色の美しさが際立った演奏が続きます。
その詩的で気品ある演奏は、他のアルバムにもない特別な雰囲気があり、このアルバムならではの魅力を感じます。
しかも、ラストに『ビューティフル・ラヴ』が収められているのが個人的にはツボ。
もともと私は『ビューティフル・ラヴ』という曲自体が大好きで、世の中で最も素晴らしい曲ではないかとすら感じているくらいなのですが、ビル・エヴァンスの演奏する『ビューティフル・ラヴ』にはスタジオ盤、ライヴを問わず、特別な魅力を感じます。
特に、ブエノスアイレスにおけるこの曲のライヴは最高ですが、海賊盤なので、機会があればまたいつか紹介したいと思います…。
ちなみにこの曲、ヴォーカルではヘレン・メリルが最高。(アルバム『ヘレン・メリル・ウィズ・ストリングス』収録)
フリッツ・ラング監督の『復讐は俺に任せろ』を国内盤DVDで観た感想です。
『THE BIG HEAT』(53年)
監督:フリッツ・ラング
脚本:シドニー・ボーム
撮影:チャールズ・ラング
音楽:ミッシャ・バカライニコフ
出演:グレン・フォード、リー・マーヴィン、グロリア・グレアム、ジョスリン・ブランド、キャロリン・ジョーンズ、ジャネット・ノーラン
再見。
オープニングの刑事の自殺シーンから観る者の興味を惹く展開がうまく、このあたりはさすがにフリッツ・ラングという感じ。
しかし、観終わってみると、その後の展開は期待したほどではなかったかな、という印象が残ります。
他の監督なら、文句なく傑作と感じるところでしょうが、フリッツ・ラングだけに評価は辛くなります。
もちろん、内容は大変面白いのですが。
個人的に、この作品の大きな魅力の一つは、グロリア・グレアムの存在感です。
彼女の見せ場的には主に映画の後半ですが、個人的には前半の明るい振る舞いが好き。
改めて気づきましたが、彼女は声もステキですねぇ。
グレン・フォードの刑事役は良いんですが、どことなく魅力に欠けますね。
リー・マーヴィンの悪役がインパクトの強さでグレン・フォードを喰ってしまった感じです。
それにしても、沸騰したコーヒーが恐ろしい凶器となるとは…。
しかも、直接的な描写は避けていますが、凄惨さは充分に伝わってきます。
これは演出力の勝利でしょう。
登場するギャングたちのいかにもそれらしい雰囲気、冒頭で自殺する刑事の妻役のジャネット・ノーランの狡猾さなども印象に残ります。
あと、ヴィンスのアパートのテラスからは高層ビル群の夜景が見渡せるという設定ですが、このような美術はメルヴィルの『マンハッタンの二人の男』(58)にも観ることができます。
もちろん、『マンハッタンの二人の男』の方が後に作られていますから、メルヴィルがこの作品からアイデアを拝借した可能性は充分にあり得るのではないでしょうか。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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