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エリック・ロメール監督の『シュザンヌの生き方』を国内盤DVD(紀伊国屋書店)で観た感想です。
『LA CARRIERE DE SUZANNE』(63年)
監督:エリック・ロメール
脚本:エリック・ロメール
撮影:ダニエル・ラカンブル
出演:カトリーヌ・セー、フィリップ・ブーゼン、クリスチャン・シャリエール
52分という中篇作品です。
ロメール監督の『六つの教訓物語』の第二話で、製作はバルベ・シュレデールの『レ・フィルム・デュ・ロザンシュ』。
名作然としたところのないシンプルな作品ですが、個人的にもとても好きな作品です。
ストーリーは、先日紹介したクロード・シャブロル監督の『いとこ同志』を心なしか思い起こさせる内容で、若い男二人の友情関係と、シュザンヌという女性の微妙な関係が描かれています。
タイトルとなっているシュザンヌが主役ではなく、ベルトランという男性が事実上の主人公です。
出演者たちも、出演作はほとんどこの作品のみ、という素人同然の俳優たちですが、かえって、そこがヌーヴェル・ヴァーグ的な新鮮さを感じさせます。
内容的には、あまり深い作品というわけではありませんが、シュザンヌ役のカトリーヌ・セーが妙に魅力的ですし、男優二人もいい。
『モンソーのパン屋の女の子』同様のパリのロケ撮影も大変魅力的。
ジョルジュ・ロートネル監督の『ジャン=ポール・ベルモンドの警部』を国内盤DVD(紀伊国屋書店)で観た感想です。
『FLIC OU VOYOU』 (78年)
監督:ジョルジュ・ロートネル
脚本:ジャン・エルマン、ミシェル・オーディアール
撮影:アンリ・ドカ
音楽:フィリップ・サルド
出演:ジャン=ポール・ベルモンド、マリー・ラフォレ、ジョルジュ・ジェレ、ジャン=フランソワ・バルメ、クロード・ブロッセ、トニー・ケンドール、ミシェル・ボーヌ、カトリーヌ・ラシェン
初見。
『ジャン・ポール・ベルモンドの警視コマンドー』というタイトルでビデオ化もされているようです。
前々から観たかった作品で、今回ようやく観ることができましたが、期待に違わぬ面白さで、改めてジャン=ポール・ベルモンドの魅力をたっぷりと味わうことができました。
中年に差し掛かり、渋みが増したベルモンドの魅力が最高に発揮された作品で、ベルモンドの70年代のベスト・フィルムの一つに数えられてもおかしくない作品だと思います。
ベルモンドのファッションも見もの。
ベルモンドの役柄は別名“洗濯屋”と呼ばれる、自らの身分を隠して他の警察官を監督する警部。
その複雑なキャラクターをベルモンドがアクションシーンもふんだんに、軽妙に演じています。
作品の内容もコメディとシリアス、硬軟併せ持ったバランス感覚が優れており、ジョルジュ・ロートネル監督の語り口の巧さによって数多い出演者のキャラクターが大変明確に描かれています。
映画の展開もスピーディーで、退屈する暇がありません。
脇役も知名度こそ無いものの演技巧者が揃っていますし(やはりベルモンド主演、アンリ・ヴェルヌイユ監督の『追悼のメロディ』(76)とキャストが何人か被っています)、マリー・ラフォレ(『太陽がいっぱい』)の出演も嬉しい。
また、フィリップ・サルドのストリングスを使った軽妙でクラシカルなサウンドが映画を存分に盛り上げていますし(あのチェット・ベイカーやロン・カーターも参加)、アンリ・ドカの名人芸的映像美がたっぷり味わえる作品でもあります。
エリック・ロメール監督の『モンソーのパン屋の女の子』を国内盤DVD(紀伊国屋書店)で観た感想です。
『LA BOULANGERE DE MONCEAU』(63年)
監督:エリック・ロメール
脚本:エリック・ロメール
撮影:ジャン・ミシェル・ムリス
出演:バルベ・シュローデル、ミシェル・ジラルドン、クローディーヌ・スブリエ
再見。
エリック・ロメール監督の連作『六つの教訓物語』の第一作に当たる作品で、上映時間26分という短編映画。
時間は短い分、ストーリーもシンプルな作品ですが、いかにも若い頃にありがちな恋愛模様が面白く、観る度に楽しめる作品です。
パリのロケ撮影もいかにもヌーヴェル・ヴァーグを思わせるもので魅力的。
キャストでは、シルヴィ役のミシェル・ジラルドンも美しいですが、パン屋の娘ジャクリーヌ役のクローディーヌ・スブリエの存在感がなかなか強烈ですね。
主演のバルベ・シュレデールは、ロメールの年下の友人(21歳差!)で、62年に共に映画製作会社『レ・フィルム・デュ・ロザンジュ』を創立。
DVDの解説書によれば、この作品の最終的な製作も『レ・フィルム・デュ・ロザンジュ』、つまりシュレデールがプロデューサーです。
シュレデールは後にはプロデューサー以外に、映画監督としても活躍します。(監督作にピンク・フロイドを音楽に起用した『モア』『ラ・ヴァレ』など)
なお、どういうわけか、この作品では、バルベ・シュレデールの声の吹替えをベルトラン・タヴェルニエが担当しています。
昨日、新宿の紀伊国屋書店のDVDアイランドを覗きましたら、いつの間にか恒例の(?)紀伊国屋レーベルのDVDの40%オフキャンペーンが始まっていました。
今回はセール対象商品が120点に及ぶという、なかなか規模の大きなものです。(半年前の40%オフ情報の記事)
対象商品120点とはいっても、個人的に半分ほどはさして興味のないものでしたが、ざっと見た感じで今回気になったDVDは次の通り
ジャン・ルノワール:『ピクニック』『ボヴァリー夫人』
ルネ・クレール:『夜の騎士道』『リラの門』
ハワード・ホークス『僕は戦争花嫁』
アンリ・ヴェルヌイユ:『ヘッドライト』
サミュエル・フラー:『四十挺の拳銃』
ニコラス・レイ:『ビガー・ザン・ライフ』
ジャン・ルーシュ:『人間ピラミッド』
ジャック・ドレー:『友よ静かに死ね』
ルイ・マル:『アトランティック・シティ』『ルシアンの青春』
ジョルジュ・ロートネル:『ジャン=ポール・ベルモンドの警部』
フィリップ・ガレル:『恋人たちの失われた革命』
アルノー・デプレシャン:『DVD-BOX 』(バラ売りあり)
エリック・ロメール:『DVD-BOX Ⅰ~Ⅲ』(バラ売りあり)
ルキーノ・ヴィスコンティ:『DVD-BOX Ⅰ』(バラ売りあり)
オタール・イオセリアーニ:『DVD-BOX 』(バラ売りあり)
クシシュトフ・
フィルム・ノワール・シリーズ:『男の争い』『キング・オブ・ニューヨーク』『ビッグ・コンボ』『歩道の終わる場所』
忘れているものや間違っているものもあるかもしれませんが、とりあえず目に付いたのはこのようなものでした。
個人的に、今回の目玉として挙げられるのは、ジャン・ルノワールの『ピクニック』と『ボヴァリー夫人』、ジュールス・ダッシンの『男の争い』、アンリ・ヴェルヌイユの『ヘッドライト』といったところでしょうか。
もっとも、私はこの中で『ボヴァリー夫人』以外は所有していますが…。
フィルム・ノワールシリーズでは唯一所有していない『キング・オブ・ニューヨーク』に興味あります。
一方で、前回セールになっていても、今回はセールになっていないDVDもあります。
例えば、ルイ・マルの諸作(『死刑台のエレベーター』など)もそうですし、エリック・ロメールの中期以降の作品、フィルム・ノワールシリーズの『フィルム・ノワール傑作選』や『キッスで殺せ』もそう。
これらはまだ定価で売れるということなのでしょうか。
ところで、メルヴィルの『マンハッタンの二人の男』は今回もセールになっていません。
これは、ファンとすれば複雑ながらも、正直嬉しかったですね。
ほぼ同時期に発売された『男の争い』と『キング・オブ・ニューヨーク』が今回セールになったのに、『マンハッタンの二人の男』がセールにならなかったのはある意味奇跡的だという気もするからです。
こういったセールは、メーカー的には在庫過剰品の整理という側面は否定できないでしょうし、逆に言えば、セールにならなかった商品はまだ定価で売れる可能性が高いということでしょうから。(ということで、持ってない人は買いましょう。)
そんな中、私が今回購入したのは、『友よ静かに死ね』、『ジャン=ポール・ベルモンドの警部』の2枚。
かなり迷いましたが、こういった場合、一番観たい作品、好きな俳優の作品になりますね。
ルノワールの『ボヴァリー夫人』にもかなり迷わされましたが…。
ジャック・ドレー監督の『ポーカーフェイス』を国内盤DVD(パイオニア)で観た感想です。
『TROIS HOMMES A ABATTRE』(80年)
監督:ジャック・ドレー
製作:アラン・ドロン
原作:ジャン=パトリック・マンシェット
脚本:アラン・ドロン、ジャック・ドレー、クリストファー・フランク
撮影:ジャン・トゥルニエ
音楽:クロード・ボラン
出演:アラン・ドロン、ダリラ・ディ・ラッツァーロ、ミシェル・オークレール
初見。
いわゆる巻き込まれ型サスペンスもので、アラン・ドロンが製作、脚本、主演を兼ね、お馴染みのジャック・ドレー監督と組んだ作品。
ストーリーは、武器産業のスキャンダルの絡んだ殺人事件にたまたま居合わせてしまったために、秘密を知ったと思われたアラン・ドロンが組織から命を狙われてしまうというもの。
観ている間は、正直その設定に少々無理があるような気がしてなりませんでしたが、内容はなかなか面白かったです。
輝かしい作品の数々が並ぶアラン・ドロンの主演作の中では、傑作とまでは言えないまでも、佳作の部類に入る作品と言ってよいのではないでしょうか。
前半はアラン・ドロンの存在感がどこか今一つのように見えましたが、拳銃を手にした後半からは精彩が出てきていかにも彼らしい存在感を発揮しています。
役柄としては、ドロン自身意識していたかどうか分かりませんが、どちらかというとジャン=ポール・ベルモンドが得意とする役柄に近い印象を持ちました。
それと、この映画は、脇役になかなか味のある俳優が揃っています。
ミシェル・オークレールは、アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督の『情婦マノン』(49)に主演していた俳優ですが、風貌がいかにも渋い感じになっていて魅力的でした。
メルヴィル監督の『影の軍隊』(69)に出演していたクリスチャン・バルビエがリエタール役で出演、出番こそ少ないものの、なかなか存在感のある演技を披露しています。
他に、愛人役のダリラ・ディ・ラッツァーロも悪くなかったですし、刑事役の俳優や、武器会社の社長役の俳優(『Z』にも出ていた俳優)など、地味ですが魅力的でした。(こういった俳優の名前がDVDの解説に掲載されていないのは残念です)
また、クロード・ボランの音楽は、この作品ではクラシカルな響きが特徴となっています。
国内盤DVDの画質は、レンタルビデオ並みといえば言い過ぎでしょうが、80年という年代を考えればかなり不満でした。
カテゴリーに“ジャック・ドレー”追加しました。
以前別サイトにて書いたフランソワ・トリュフォー監督作品のレビューの転載です。(一部手直しあり)
今回は『アデルの恋の物語』。
『L’HISTOIRE D’ADERE H.』 (75年)
監督:フランソワ・トリュフォー
脚本:ジャン・グリュオー、フランソワ・トリュフォー、シュザンヌ・シフマン
撮影:ネストール・アルメンドロス
音楽:モーリス・ジョーベール
出演:イザベル・アジャーニ(アデル・ユゴー)、ブルース・ロビンソン(ピンソン中尉)
98分、カラー
フランセス・V・ギールの原作『アデル・ユーゴーの日記』を元に、フランスの大作家ヴィクトル・ユゴーの次女アデルの恋愛物語をトリュフォーが映画化したもの。
主人公アデルの行動は「そこまでやるか!」と言いたくなるほど強烈の一言で、これがすべて実話に基づいているというのがスゴイ。
ありとあらゆる手段を使って男の気持ちを自分に向けようとするそのやり方は今で言うと立派なストーカーで、その行動力は必ずしもすべてが観る者の同情を引くものではありませんが、とにかくその執念というか相手の男性に対する執着には恐れ入ります。
相手のピンソン中尉もここまで惚れられたら本望でしょう…実際は怖くてそれどこではないかもしれませんが。
ストーリーは極めてシンプルで、また出演者の少ない映画でもあり、それだけにこの映画はヒロインを演じるイザベル・アジャーニの魅力に尽きる気がします。
当時無名に近いながらもトリュフォー監督によって抜擢された、当時19歳の彼女の鬼気迫るような素晴らしい演技、そして、“女優魂”というか気迫に圧倒される作品です。
また、その信じられないほどの美貌も見物といってよいでしょう。
相手役のピンソン中尉を演じるブルース・ロビンソンも、冷たい容姿が役柄によく合って好演しています。
トリュフォー監督自身、映画の前半に兵士役でワンシーンだけですが出演しています。
他に、ネストール・アルメンドロスによる美しい映像、モーリス・ジョーベールの音楽とスタッフも揃っています。
なにしろテーマがテーマですので、正直、何度も観たくなるような作品ではありませんが、作品の古典的風格、その痛切極まりない物語はトリュフォーならではと言えます。
ジョン・ヒューストン監督の『勇者の赤いバッヂ』を国内盤DVDで観た感想です。
『THE RED BADGE OF COURAGE』(50年)
監督:ジョン・ヒューストン
脚本:ジョン・ヒューストン、アルバート・バンド
撮影:ハロルド・ロッソン
音楽:ブロニスラウ・ケイパー
出演:オーディ・マーフィ、ビル・モールディン、ジョン・ディークス、アーサー・ハニカット、ローヤル・ダーノ、アンディ・ディヴァイン
初見。
南北戦争を描いた原作を映画化した作品。
69分という短めの映画ですが、ジョン・ヒューストン監督の傑作としても有名な作品です。
近年は戦争映画にはさして興味ないのですが、ジョン・ヒューストン監督作品ということでこの作品には以前から興味がありました。
観ますと、確かに厖大な群集を使った戦闘シーンは映像として壮観でしたが、正直言いまして、映画自体かなり退屈に感じました。
もともと南北戦争という題材に興味がないせいでしょうか、どうも私はこの作品とは波長が合わなかったようです。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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