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コンスタンタン・コスタ=ガヴラス監督の『Z』を取り上げたいと思います。
監督の故国ギリシャを舞台とした政治サスペンス映画の傑作です。
ただ、政治的影響を警戒してか、ギリシャという国名は映画中では伏せられています。
有名な作品ですので、ご覧になった方も多いでしょう。
フランス映画の豪華なキャストがズラリと揃った様は壮観です。
出演:イヴ・モンタン、ジャン=ルイ・トランティニャン、ジャック・ペラン、フランソワ・ペリエ、イレーネ・パパス、レナート・サルヴァトーリ、マルセル・ボズフィ、シャルル・デネ、ピエール・デュ
監督、脚本:コンスタンタン・コスタ=ガヴラス、製作:ジャック・ペラン、原作:ヴァシリ・ヴァシリコス、脚本:ホルヘ・センプルン、撮影:ラウール・クタール、音楽:ミキス・テオドラキス、編集:フランソワーズ・ボノ
コスタ=ガヴラス監督のことをメルヴィル監督が高く評価していたことは、先日紹介したルイ・ノゲイラ著「サムライ」を読むとよく分かりますが、それを読む限り、メルヴィル監督自身は『Z』よりも『告白』の方を高く評価していたようです。
しかし、私自身この二つの作品を見比べますと、観ていて面白いのは断然『Z』の方です。
ストーリーの面白さはもちろんですが、なんといいますか、映画の放つ“熱”に圧倒される作品です。
とりわけ、映画後半でジャン=ルイ・トランティニャン演じる予審判事が政府高官を次々と尋問、事件を解明していくシーンの畳み掛けるような展開の面白さは無類です。
トランティニャンはこの作品で、カンヌ映画祭最優秀男優賞を受賞。
製作も兼任し、映画化に奔走したジャック・ペランがジャーナリスト役を好演していますし、レナート・サルヴァトーリ、マルセル・ボズフィの悪役二人もいい味を出しています。
もちろん、イヴ・モンタンの存在感も言うまでもありません。
この映画では、ほとんどのメルヴィル作品の編集を担当していたモニーク・ボノの娘フランソワーズ・ボノ Francoise Bonnot(1939~ メルヴィルの『影の軍隊』でも編集を担当)が編集を担当、米アカデミー賞の編集賞を受賞しました。
展開の速いカットの切り替わりが、小気味良いテンポを映画に与え、素晴らしい映画的興奮をもたらしています。
また、フランソワーズ・ボノは映画監督アンリ・ヴェルヌイユの奥さんでもあったようです。(画像はCriterion盤『影の軍隊』の特典映像におけるフランソワーズ・ボノの近影)
また、意外とも思えるのが、ゴダールの多くの作品の撮影を担当していたラウル・クタールがこの作品で撮影を担当、自らも外科医役で出演しています。(モンタンの死後「残念でした…」という人がおそらくそれだと思います)
ミキス・テオドラキスの民族音楽調?の荒々しいスコアも大変魅力的。
冒頭の三連シャッフルの音楽から映画にグイっと惹き込まれます。
映画後半でのトランティニャンの尋問シーンの勇壮な音楽も忘れがたい。
そして、やはりこの映画も国内盤DVDが廃盤なのは残念としかいいようがありません。
ちょっと前までは店頭に並んでいましたが、廃盤になってからはあっという間に店頭から消えました。
私もプレミア価格になってから大枚叩いて買ってしまいました…。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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