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ジョゼ・ジョヴァンニ監督の『最後のアドレス』をレンタルビデオで観た感想です。
『DERNIER DOMICILE CONNU』(69年)
監督:ジョゼ・ジョヴァンニ
原作:ジョゼフ・ハリントン
脚本:ジョゼ・ジョヴァンニ
撮影:エチエンヌ・ベッケル
音楽:フランソワ・ド・ルーベ
出演:リノ・ヴァンチュラ、ミシェル・コンスタンタン、マルレーヌ・ジョベール、ドミニク・ザルディ、ポール・クローシェ、フィリップ・マルシュ
この作品、久々に観ました。
日本ではいまだにDVD化されておりませんが、レンタルビデオはあります。
それをDVDにダビングしたものを私は観ております。
リノ・ヴァンチュラ、ミシェル・コンスタンタン、音楽のフランソワ・ド・ルーベといったジョヴァンニ・ファミリーが揃っていますが、内容も面白く、個人的にもとても好きな作品です。
ちなみに、撮影を担当したエチエンヌ・ベッケルはジャック・ベッケル監督の次男で、映画監督ジャン・ベッケルの兄。
ご存知のようにジャック・ベッケル監督の遺作『穴』(60)の原作者はジョゼ・ジョヴァンニであり、こんなところにもジョヴァンニ人脈が効いています。
ところで、ジョヴァンニ&ヴァンチュラといえば、以前このブログでも紹介した『ベラクルスの男』(68)も良かったのですが、これはそれに輪をかけて良い。
ちょうど、メルヴィルの『サムライ』(67)にも通ずるような、パリの下町が舞台として描かれている点も魅力的です。
この映画で、リノ・ヴァンチュラの演じる役柄はやり手の刑事。
実はこの刑事には妻子を交通事故で亡くしているという過去があるのですが、強引なやり方にケチがついて、閑職に廻されます。
そんな中、ある殺人事件の公判が目前となり、5年もの間失踪したままの事件の証人を探す仕事を若い女性刑事(マルレーヌ・ジョベール)と共に任されることになります。
少ない時間に追われながらも、マルタンという証人の男を、その住んでいた住所や病身の娘の足跡を手がかりに彼ら二人がパリ中を捜し廻りますが、一方で、殺人犯の手下たち(ミシェル・コンスタンタン他)が彼らの背後に迫ってくる…というのが簡単なストーリー。
リノ・ヴァンチュラと若い女性刑事役のマルレーヌ・ジョベールのコンビぶりが良いです。
二人の関係性に全然違和感がなく、見た目や演技のバランスも良いと思います。
少しくすんだような映像(ビデオのせい?)もこの時代のフランス映画らしい魅力。
リノ・ヴァンチュラは、ちょうどこの年『シシリアン』や『影の軍隊』を撮った年でもあり、俳優としてまさに油の乗り切った時期。
この作品でも渋い演技力が冴えていますし、こういった人間味のある役柄をやらせれば天下一品ですね。
ミシェル・コンスタンタンの迫力ある風貌と存在感、マルタン役のフィリップ・マルシュの陰のある佇まいも印象的。
フィリップ・マルシュはエメ・ド・マルシュという名でメルヴィルの『いぬ』にもジャン役で出演していた俳優です。
他に『墓場なき野郎ども』(クロード・ソーテ監督 60年)においてもリノ・ヴァンチュラと共演しています。
そういえば、『墓場なき野郎ども』の原作者もジョゼ・ジョヴァンニでした。
ここにもジョヴァンニ人脈が効いています。
そして、なんといっても、フランソワ・ド・ルーベの音楽が素晴らしい。
個人的にも、このサントラは彼のスコアの中でも『サムライ』や『冒険者たち』と並ぶくらい好きです。
一般的にはあまり知られていないかもしれませんが、彼のサントラ中でもとりわけ魅力的なものの一つではないでしょうか。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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