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以前もこのブログで同じようなことを書いたように、私は『ビューティフル・ラヴ』という曲を世で最も美しい音楽の一つだと感じている。
中でもビル・エヴァンスほど『ビューティフル・ラヴ』を演奏するに相応しいアーティストはいないだろう。
おそらく、ビル・エヴァンスは『ビューティフル・ラヴ』を演奏することによって自身のイメージが余計に美化?されたし、『ビューティフル・ラヴ』はエヴァンスに演奏されることによって曲のイメージやステイタス?が上がったのだ。
ある意味、理想的な共犯関係がここに成立したというわけだ。
さて、一般的に知られているエヴァンスの『ビューティフル・ラヴ』といえばアルバム『エクスプロレイションズ』(61)に収録されたスタジオ録音である(二種のヴァージョンあり)。
スコット・ラファロ(b)、ポール・モチアン(ds)と組んだトリオによる、いわゆる“リバーサイド四部作”の中の一枚だから演奏も悪かろうはずがない。
私がエヴァンスの『ビューティフル・ラヴ』を初めて聴いたのももちろんこのアルバムの演奏であった。
しかし、今聴き返してみれば、どことなく物足りなさというか、生ぬるさを感じてしまうのも確かである。
というのも、今から15年くらい前にたまたま購入したCDで73年6月24日ブエノスアイレスでのエヴァンスのライヴ音源を聴いて、この曲にもっと凄い演奏が存在することを思い知ったからだ。
実際、この曲のエヴァンスのライヴ録音は意外なほど少ないが、ブエノスアイレスでのライヴを聴いてしまったら、もうスタジオ録音には戻れない…それくらい、これは最高の演奏なのである。
とにかくこのライヴにおけるエヴァンス、エディ・ゴメス(b)、マーティ・モレル(ds)のトリオの演奏は凄い。
時間にして12分を超える演奏だが、とりわけ曲の後半のマーティ・モレルとエヴァンスの掛け合いの凄まじさは圧巻。
二人の壮絶な掛け合いの後に現れるこの曲のテーマは、ある種崇高にすら響く。
オフィシャルではリリースされていない音源なので、ブートレグまがいのCDでしかこの演奏は聴けないが、録音状態は決して悪くないので、いつの日かオフィシャルでもリリースされる日が来るのではないかと期待しているのだが。
ちなみに、私が所有するCDでは『In Buenos Aires Vol.3』『My Foolish Heart』の二枚にこの音源は収録されている。
残念ながら、この音源はユーチューブにアップされていないので、代わりに65年のニールス・ペデルセン(b)、アラン・ドーソン(ds)とのベルリン・ライヴを紹介。
時間こそ短めだが、これも優れた演奏であることには変わりないし(共演者の技術ではおそらくこちらが上)、共演の二人の動く姿が見られるだけでも感激。
とりわけ、あのトニー・ウィリアムスの師匠であるアラン・ドーソンのあまりにも軽やかなスティックさばきには目が釘付けになってしまう。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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