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このところ観た映画のメモの続きです。
今回はロベール・ブレッソン監督の2作。
●『抵抗』(56年、監督:ロベール・ブレッソン、出演:フランソワ・ルテリエ、シャルル・ル・クランシュ)
第二次大戦中にドイツ軍に逮捕された若者が、監獄から脱獄を試みるというお話。
私が観たビデオパッケージのタイトルは『抵抗』だけだったが、『抵抗(レジスタンス)-死刑囚の手記より-』というタイトルで公開されたようだ。
一言、凄い映画。
あまりの緊張感に観ている方が逃げ出したくなる。
凡百のサスペンス映画が束になっても敵わない本物のスリルがある。
ストーリーも分かりやすく、簡潔な描写が題材によく合っていることもあって、ブレッソンの映画では入りやすい方だと思う。
他の映画だと押し付けがましくなりがちな感情の高まりをバッサリ拒絶したラストも、だからこそ印象的だ。
●『ジャンヌ・ダルク裁判』(62年、監督:ロベール・ブレッソン、出演:フロランス・ドゥレ)
最近発売されたブレッソン監督のDVDボックスから。
この作品に関しては、正直なところ、言葉で表現するのは難しい。
ジャンヌ・ダルクをテーマとした映画ではカール・ドライヤー監督の『裁かるゝジャンヌ』が有名であり、私もそれを一度観ただけで一生残るような強烈なショックを与えられた。
当然のことながら、ブレッソン監督はそれとは全く異なるアプローチで描き、そこにあった感情の異様なまでの高まりとか表現上のグロさは極力廃している。(『裁かるゝ…』で多用されたジャンヌのアップはここには全く無かったのではないか)
ジャンヌ・ダルクを演じたフロランス・ドゥレはいかにも普通の若い女性で、ブレッソン独特の簡潔な演出によって余計な感情身振りがないのは、かえって不自然だと思えなくもない。
裁判長の審問に澱みなく、キツいくらい冷静な口調で答えるジャンヌ像は新鮮と言えば新鮮である。
しかし、ジャンヌ本人よりも裁判そのものを描いたこの作品にはそれが相応しいのかもしれず、観終わった後にまた観直したくなる不思議な味わいを湛えている作品。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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