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ロジェ・ヴァディム監督の『素直な悪女』を国内盤DVD(HDニューマスター版)で観た感想。
『Et Dieu...Crea La Femme』(56年)
監督:ロジェ・ヴァディム
脚本:ロジェ・ヴァディム、ラウル・レヴィ
撮影:アルマン・ティラール
音楽:ポール・ミスラキ
出演:ブリジット・バルドー、クルト・ユルゲンス、ジャン=ルイ・トランティニャン、クリスチャン・マルカン、ジョルジュ・プージュリー、イザベル・コーレイ
再見。
HDニューマスターを謳っている新国内盤DVDで観たわけだが、この映画を高画質で観られたというだけで嬉しくなってしまった。(オリジナルのシネマスコープでないのは疑問だが)
以前出ていた国内盤DVDの画質はホントに酷かったから・・・。
原題の意は、かくて神、女を創り給えり。
改めて観直してみて思うが、これはなかなか良い映画だ。
キャスティング(特に男優陣)、脚本、撮影、音楽、どれをとっても魅力的である。
そして、言うまでもなくこの映画はブリジット・バルドーの魅力、これに尽きる。
彼女はこの映画のセンセーショナルな成功がきっかけで大スターへと登り詰めるわけだが、今見ても、それも当然だと思う。
ビジュアル的な魅力は筆舌に尽くしがたく、とりわけ、映画の後半でマンボのリズムに乗って踊りまくる姿は圧巻。
相手役のジャン=ルイ・トランティニャンはまだこの映画では青臭い。
正直、クルト・ユルゲンスやクリスチャン・マルカンの方がずっと魅力的である。
ただし、当時実生活で監督のロジェ・ヴァディムと結婚していたバルドーが、この映画で共演したトランティニャンと撮影中に駆け落ちしてしまい、離婚にまで及んでしまったというのは映画を地でいくような凄い話ではある。
ちなみに、クリスチャン・マルカンの実の妹はナディーヌ・トランティニャン。
彼女はこの後にジャン=ルイ・トランティニャンと結婚し、あのマリー・トランティニャン(2003年没)を産む。
ナディーヌ・トランティニャンはジャン=ルイと別れた後、監督のアラン・コルノー(2010年没)と再婚(後に離婚)。
先日このブログでも紹介したアラン・コルノー監督の『セリ・ノワール』にはマリー・トランティニャンは娼婦役(!)で出演している。
クリスチャン・マルカンは後にアルツハイマー病を患い(2000年没)、ナディーヌは『兄とアルツハイマー病』という本を上梓している(翻訳本あり)。
クリスチャン・マルカンはなんとドミニク・サンダと同棲していたこともあったという。
ドミニク・サンダとジャン=ルイ・トランティニャンといえばベルトルッチの『暗殺の森』(70)だ!
ということで話が大きくそれてしまったが、忘れてはならないのはメルヴィルの『賭博師ボブ』(55)に出演していたイザベル・コーレイがこの映画にも出演していることである。
ところが、まともに顔が映ったシーンがあったかどうかというくらい目立たず、ちょい役もいいところ。
イザベル・コーレイは当時メルヴィルのプロダクションと契約していたが、この映画に出たために契約は破棄された。
そもそもイザベル・コーレイを映画界にスカウトしたのはメルヴィルであり、そのメルヴィルがこの映画に出ることに猛反対したからだ。
オファーの段階では準主役という肩書きだったようだが、出来上がった映画を観る限りでは、メルヴィルが危惧した通り、彼女はバルドー売出しの影に隠れた形になってしまったという感は否めない。
後にイザベル・コーレイはメルヴィルにまた使ってくれるように頼みにきたそうだが、女優として旬を過ぎたと感じたメルヴィルは断ったという。
バルドーとは違った意味で魅力的な女優だっただけに、つくづく惜しいことだったと思う。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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