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ジャン・ルノワール監督の『浜辺の女』を国内盤DVD(IVC)で観た感想です。
『THE WOMAN ON THE BEACH』(46年)
監督:ジャン・ルノワール
脚本:ジャン・ルノワール、フランク・デイヴィス
撮影:ハリー・ワイルド
音楽:ハンス・アイスラー
出演:ジョーン・ベネット、ロバート・ライアン、チャールズ・ビックフォード
初見。
ジャン・ルノワール監督がアメリカ時代に撮った作品の一つで、フィルム・ノワール的色彩の濃い作品。
内容は暗く、人間の情念や妄執を描いた作品なので、一般的なルノワールらしいイメージの薄い作品と言えるかもしれません。
登場人物たちの心理も複雑かつ怪奇なので、その点でも評価が分かれそうですが、ストーリーは決して分かりにくくはなく、キャストの素晴らしさもあって、個人的にはかなり楽しめた作品でした。
ストーリー的には破綻しているように感じられる点もあり、ジャン・ルノワールが本当にこの映画を撮りたかったのか、また気に入っていたのか、非常に気にかかるところですが、結果的に、こういった“らしくない”作品を撮ったルノワール監督の幅広さ、奥深さを感じさせられる作品となっているのではないでしょうか。
キャスティングでも、ジョーン・ベネットとロバート・ライアンの共演という、ノワール・ファンには見逃せない作品でもありますが、この作品で一番印象的なのは失明のために画家の道を断念せざるを得なくなったトッドを演じたチャールズ・ビックフォードではないでしょうか。
本当に失明しているのかどうか怪しいトッドの存在感の不気味さが気に入りました。
ヒロインのジョーン・ベネットは、この時代によく出演していたフリッツ・ラング作品ほどの輝きや“らしさ”は感じられませんでしたが、この作品でも適役であることは間違いありません。
ロバート・ライアンもさすがの存在感で、とりわけジョーン・ベネットに惚れてしまった後、フィアンセに対する態度の変化の演技が絶妙に上手かったです。
唐突とも思えるラストは、評価が分かれそうですが、個人的には納得しました。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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