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アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督の『スパイ』を国内盤ブルーレイ(IVC)で観た感想。

戦後冷戦期を時代背景としたスパイ物で、いかにもクルーゾーらしい、アクの強いサスペンスである。
映画全体を不気味で暗いトーンが支配しているので、万人受けする作品ではないだろうが、個人的には完全なツボ(笑)。
かなり面白かったし、今となってはレアなこの作品を観られて本当に良かった。

キャスティングもいい。
中でも、ジョン・ヒューストン『アスファルト・ジャングル』における名演が忘れられないサム・ジャッフェが重要な役で出ているのが嬉しい。
他にも、クルト・ユルゲンスピーター・ユスティノフポール・カーペンターO・E・ハッセと、次から次へと不気味で謎めいた人物が登場し、その中で主人公の精神科医(ジェラール・セティ)はただただ翻弄されるのみ。
特に、今か今かと観る者を惹きつけるクルト・ユルゲンスの登場シーンには痺れる。
止めはあのヴェラ・クルーゾー
それも、彼女の末路を知っている身としては洒落にならないような役柄で出ている。

この作品がブルーレイボックスのみの発売とは勿体無い。
もっとも、私もこの作品が入っていなかったらこのボックスを買わなかっただろうから(『恐怖の報酬』も『悪魔のような女』も既発DVDは持っている)、まんまとメーカーの策に嵌ったことになる。
素晴らしい作品が楽しめたから結果オーライだが。

ブルーレイの画質は極めて良好。

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趣味:
フランス映画、ジャズ
自己紹介:
フランスの映画監督ジャン=ピエール・メルヴィル監督作品のファンサイト附属のブログです。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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