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Criterion盤DVD『仁義』の特典映像に収録された、助監督ベルナール・ストラのインタビューの翻訳の続きです。
『苦悩した俳優』
ジャン・マリア・ヴォロンテの場合、ことはさらに厄介でした。
彼はまったくメルヴィルを好きになれず、また、その感情はお互い様だったのです。
『仁義』でのヴォロンテは実に素晴らしい演技です。
彼は、素晴らしい俳優であり、すごい男なのです。
けれども彼はメルヴィルから影響されることに抵抗しました。
言うまでもなく、メルヴィルに抵抗などしたら、最悪の事態を招きますが、ヴォロンテは確信犯的にトラブルを起こしました。
手に負えなくなったヴォロンテは、確か1日か2日の間、撮影に穴を開けたと思います。
このことで、アラン・ドロンが大変上手く状況を処理したとことを記憶しています。
ドロンは特にヴォロンテと親しかったわけではありませんが、彼がヴォロンテを撮影に連れ戻したのでした。
彼はこう言ってヴォロンテを口説いたのです、「映画の撮影を始めた以上は、それをやり遂げる義務がありますよ。」
ヴォロンテは、仮にそのまま映画を降板したら、拘置所で残りの人生を棒に振る心積もりすらしていました。
ヴォロンテとメルヴィルは、うまくいきませんでした。
二人は非常に異なった人間だったのです。
ヴォロンテは厳しく身動きの取れない状態に陥りました。
そのことで彼はとても悩んでいたと思います。
そういうことが好きではなかった彼は、この種のゲームを続けることを望んでいませんでした。
彼は何をして良いのか分からなかったのかもしれません。
ただ、それで彼が良い演技をしなかったわけではないのです。
時には抵抗することが良い場合もあります。
各々が、時には逆説的な方法で、自分なりのやる気や原動力を持っている限りにおいては…。
次回は、コーレイ役のアラン・ドロン、ジャンセン役のイヴ・モンタンについてです。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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