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Criterion盤DVD『仁義』の特典映像に収録された、助監督ベルナール・ストラのインタビューの翻訳の続きです。
『メルヴィル・システム』(続)
メルヴィルが物事を彼独自の世界へと変えた方法についてですが、彼が俳優を指導したというのは正しい表現ではありません。
むしろ、彼が俳優たちを鼓舞したと言う方がより正確でしょう。
彼が俳優を教えることなどありませんでしたが、俳優がメルヴィル的俳優になるのと同様、彼には方法があったのです。
過去にメルヴィルと仕事をしていたドロンのような俳優たちは、例え、何をしていても、天性のメルヴィル的俳優でした。
メルヴィルが俳優を選択する時、役の軽重にかかわらず、彼には鋭い本能がありました。
彼はまったく俳優たちを演出しませんでしたが、予め、彼のシステムに合う役柄を演じられるような俳優たちを選んでいたことも事実でした。
例えば、彼はエキストラの俳優に突然、重要な役をふるという不思議な才覚がありました。
我々スタッフがエキストラの一人としてしか見ていなかった俳優を、です。
彼はエキストラの俳優に、突然「ムッシュー・ ○○」と声をかけたものです。
彼はすべてのエキストラを知っていました。
当時のエキストラは、プロでしたから、我々も、彼らをファースト・ネームと姓名によって知っていました。
我々はあらゆる映画で彼らを見て、相応のシーンのために彼らを招いていたのです。
メルヴィルは彼らのことを実によく知っていました。
何人かの俳優を好み、彼らを名前で呼んでは、時には役を与えることもあったのです。
自分は大した俳優ではないと思っていたり、また、ミュージック・ホール上がりの落ちぶれた俳優だと諦めていたエキストラの俳優たちが、突然、予想もしていなかった重要な役をふられ、衣装まで用意されたのです。
重要な役柄を演じ、自らの活躍する場を得た彼らは変貌しました。
メルヴィルは、何も言わずに彼らを一変させたのです。
そして、やはり彼のアイデアでしたが、『仁義』では、優れたオーケストラ指揮者であったアンドレ・エキヤンがギャング役を演じています。(訳注:リコ役)
彼はいかにもその役らしく見え、自らの俳優としてのぎこちなさを上手く利用していたので、大変印象的です。
これには本当に驚かされました。
監督の偉大さの要因とはなんでしょうか?
説明することは難しいですが、簡単に言って、我々が持ちえないアイデアを持っていることです。
それは、人々を不意打ちのように驚かせるのです。
映画監督の助手を務めたり、いつの日か自ら映画を制作する希望を持っている人たちは、人々の行動を観察するという、ある種の修行段階にいるわけですが、その人たちにとって理想的な状況とは、驚きを与える監督と巡り合うことです。
この項続く。
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マサヤ
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男性
趣味:
フランス映画、ジャズ
自己紹介:
フランスの映画監督ジャン=ピエール・メルヴィル監督作品のファンサイト附属のブログです。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
リンク、コメント、TB等はご自由にどうぞ。
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