忍者ブログ
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

市川崑監督の『こころ』を国内盤DVDで観た感想。

こころ』(55年)
監督:市川崑  
原作:夏目漱石 
脚本:猪俣勝人、長谷部慶治 
撮影:伊藤武夫、藤岡粂信 
音楽:大木正夫
出演:森雅之、新珠三千代、三橋達也、安井昌二、田村秋子

初見。
夏目漱石の『こころ』といえば、高校の教科書に載っていて、授業の進行よりも先に読み終えてしまった数少ない小説の一つであった。(もう一つは太宰治の『人間失格』)
同じような経験をした人はたくさんいるに違いない。
その後も大学時代に文庫本を買って全編読み終えたが、不思議と教科書で読んだ時のような興奮はなかった。

そこで今回観たこの映画。
良い意味で原作の記憶がほとんど薄れているので、初めてこの作品に触れるような気持ちで観始めた。

内容は実に見ごたえのある素晴らしい映画であった。
どこまで原作に忠実かは未確認だが、少なくとも大きな改変はないように感じられた。
なによりキャストがすばらしい。
森雅之は先生その人のようで、切ってはめたような適役だし、新珠三千代の美しさは何をかいわんや。

それと不思議だが、先生の過去が映像化される後半よりも前半の方に惹きつけられた。
過去の部分は学生時代の話だから森雅之(当時44歳)がさすがに年齢的に無理がある。
それでも森雅之だからまだ違和感なく観られた方だと思うが。

新珠三千代(当時25歳)はまだ無理がないがそれでも後年の姿の方がはるかに美しい。
友人役の三橋達也もそれらしい雰囲気があるのが何よりだし、演技も良かった。
男二人の新珠三千代に対する煩悩の部分はサラリと描かれているが、こちらが分かって観ているせいだろうか、動機として弱い印象はない。
一方で新珠三千代の母役の田村秋子はいやらしさ一歩手前の絶品演技であった。


 

PR

アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督の『悪魔のような女』を国内盤DVD(紀伊国屋レーベル)で観た感想。

LES DIABOLIQUES』(55年)
監督:アンリ=ジョルジュ・クルーゾー 
原作:ボワロー=ナルスジャック 
脚本:アンリ=ジョルジュ・クルーゾー、ジェローム・ジェロミニ 
撮影:アルマン・ティラール、ロベール・ジュイヤール 
音楽:ジョルジュ・ヴァン・パリス 
出演:シモーヌ・シニョレ、ヴェラ・クルーゾー、ポール・ムーリス、シャルル・ヴァネル、ジャン・ブロシャール

 
再見。
今回観たDVDはHDニューマスター版だけあって、画質はとても良い。
作品は今さら言うまでもない大傑作
この映画に影響を受けている映画は数限りなくありそう。
その最も有名な一つはヒッチコックの『サイコ』(60)だが、あの『めまい』(58)も『悪魔のような女』と同じ原作者ボワロー=ナルスジャック(二人の作家の共作)の作品なのだというからその影響力がしれようというものだ。

全体的にクルーゾー監督のショッカー的演出が冴え渡った作品だが、とにかくキャストが素晴らしい。
作家の谷崎潤一郎はこの映画のシモーヌ・シニョレが大のお気に入りだったというが、それも納得の風貌、演技である。
一方で、あのシモーヌ・シニョレに位負けしない演技と存在感を見せ付けたヴェラ・クルーゾーは密かに(?)凄い女優だ。
映画の後半はほとんどヴェラ・クルーゾーの独り舞台だといってよい。
校長役のポール・ムーリッス、探偵役のシャルル・ヴァネルは出番こそ多くないが、ともに存在感はさすが。

そういえば、メルヴィルの『影の軍隊』(69)ではシモーヌ・シニョレとポール・ムーリスがキャメラに同時に映るシーンはなかっただけに、この映画での二人の共演シーンはやけに新鮮に映った。

ロジェ・ヴァディム監督の『素直な悪女』を国内盤DVD(HDニューマスター版)で観た感想。

Et Dieu...Crea La Femme』(56年)
監督:ロジェ・ヴァディム
脚本:ロジェ・ヴァディム、ラウル・レヴィ
撮影:アルマン・ティラール
音楽:ポール・ミスラキ
出演:ブリジット・バルドー、クルト・ユルゲンス、ジャン=ルイ・トランティニャン、クリスチャン・マルカン、ジョルジュ・プージュリー、イザベル・コーレイ

 
再見。
HDニューマスターを謳っている新国内盤DVDで観たわけだが、この映画を高画質で観られたというだけで嬉しくなってしまった。(オリジナルのシネマスコープでないのは疑問だが)
以前出ていた国内盤DVDの画質はホントに酷かったから・・・。

原題の意は、かくて神、女を創り給えり
改めて観直してみて思うが、これはなかなか良い映画だ。
キャスティング(特に男優陣)、脚本、撮影、音楽、どれをとっても魅力的である。
そして、言うまでもなくこの映画はブリジット・バルドーの魅力、これに尽きる。
彼女はこの映画のセンセーショナルな成功がきっかけで大スターへと登り詰めるわけだが、今見ても、それも当然だと思う。
ビジュアル的な魅力は筆舌に尽くしがたく、とりわけ、映画の後半でマンボのリズムに乗って踊りまくる姿は圧巻。

相手役のジャン=ルイ・トランティニャンはまだこの映画では青臭い。
正直、クルト・ユルゲンスクリスチャン・マルカンの方がずっと魅力的である。
ただし、当時実生活で監督のロジェ・ヴァディムと結婚していたバルドーが、この映画で共演したトランティニャンと撮影中に駆け落ちしてしまい、離婚にまで及んでしまったというのは映画を地でいくような凄い話ではある。

ちなみに、クリスチャン・マルカンの実の妹はナディーヌ・トランティニャン
彼女はこの後にジャン=ルイ・トランティニャンと結婚し、あのマリー・トランティニャン(2003年没)を産む。
ナディーヌ・トランティニャンはジャン=ルイと別れた後、監督のアラン・コルノー(2010年没)と再婚(後に離婚)。
先日このブログでも紹介したアラン・コルノー監督の『セリ・ノワール』にはマリー・トランティニャンは娼婦役(!)で出演している。

クリスチャン・マルカンは後にアルツハイマー病を患い(2000年没)、ナディーヌは『兄とアルツハイマー病』という本を上梓している(翻訳本あり)。
クリスチャン・マルカンはなんとドミニク・サンダと同棲していたこともあったという。
ドミニク・サンダとジャン=ルイ・トランティニャンといえばベルトルッチの『暗殺の森』(70)だ!

ということで話が大きくそれてしまったが、忘れてはならないのはメルヴィルの『賭博師ボブ』(55)に出演していたイザベル・コーレイがこの映画にも出演していることである。
ところが、まともに顔が映ったシーンがあったかどうかというくらい目立たず、ちょい役もいいところ。

イザベル・コーレイは当時メルヴィルのプロダクションと契約していたが、この映画に出たために契約は破棄された。
そもそもイザベル・コーレイを映画界にスカウトしたのはメルヴィルであり、そのメルヴィルがこの映画に出ることに猛反対したからだ。
オファーの段階では準主役という肩書きだったようだが、出来上がった映画を観る限りでは、メルヴィルが危惧した通り、彼女はバルドー売出しの影に隠れた形になってしまったという感は否めない。
後にイザベル・コーレイはメルヴィルにまた使ってくれるように頼みにきたそうだが、女優として旬を過ぎたと感じたメルヴィルは断ったという。
バルドーとは違った意味で魅力的な女優だっただけに、つくづく惜しいことだったと思う。


アラン・コルノー監督の『真夜中の刑事』を国内盤DVDで観た感想。

POLICE PYTHON 357』(76年)
監督:アラン・コルノー
脚本:アラン・コルノー、ダニエル・ブーランジェ
撮影:エチエンヌ・ベッケル
音楽:ジョルジュ・ドルリュー
出演:イヴ・モンタン、フランソワ・ペリエ、シモーヌ・シニョレ、ステファニア・サンドレッリ、マチュー・カリエール

再見。
以前このブログにこの映画の記事を書いていますが(リンク)、今回はその後発売された国内盤DVDを改めて観た感想です。

とはいえ、以前書いた感想とほとんど印象は変わりません(笑)。
が、今回観直してみて、改めて面白い映画だという印象を持ちました。
もしかしたら、前回よりも面白く感じたかもしれません。
特に殺人事件が起きた後の中盤の展開が見ごたえありましたね。
イヴ・モンタンシモーヌ・シニョレフランソワ・ペリエの3人の演技力、存在感はさすがです。
特に、シニョレとペリエの二人の会話のシーンはどこも印象的でした。
また、ステファニア・サンドレッリも以前見た時より魅力的に見えました。

それと、今回観直してみて思ったのですが、不思議とメルヴィルの『サムライ』(67)を彷彿とさせるシーンがいくつかありました。
例えば、フランソワ・ペリエが鏡の前で帽子を被り直すシーン、殺しの証拠を川に投げ捨てるシーン、そして、一人の女性を巡る二人の男が女のマンションでニアミスするシーン・・・などです。
『サムライ』で警視役だったペリエがそれらのシーンすべてに絡んでいるのが面白いところですね(笑)。

クロード・シャブロル監督の『引き裂かれた女』を国内盤DVD(紀伊国屋レーベル)にて観た感想。

LA FILLE COUPEE EN DEUX』(07年)
監督:クロード・シャブロル 
脚本:セシル・メストル 
撮影:エドゥアルド・セラ 
音楽:マチュー・シャブロル
出演:リュディヴィーヌ・サニエ、ブノワ・マジメル、フランソワ・ベルレアン、マチルダ・メイ、カロリーヌ・シオル、マリー・ビュネル、ヴァレリア・カヴァッリ

初見。
スクリーン公開を見逃してしまって以来、ずっとこの映画のことが気にかかっていたが、ようやくDVDで鑑賞。
晩年の作品ということもあるのか、シャブロル映画にしては、やけに映像が明るい。
また、特に前半はテンポが良くストーリーも分かりやすい。
その分、シャブロルにしては健康的というか、それらしい毒気があまり感じられないのは不満といえば不満。
もちろん、そういった要素は各所に散りばめられてはいるのだが・・・。

ヒロイン役のリュディヴィーヌ・サニエはもちろん魅力的だし演技も悪くないが、シャブロル映画との相性が良いか否かといえば疑問が残る。
サニエに惚れる金持ちの御曹司役のブノワ・マジメル、作家シャルル役のフランソワ・ベルレアンの二人は演技、存在感ともに良かった。

ルイ・マル監督の『さよなら子供たち』を国内盤DVD(紀伊国屋レーベル)で観た感想。

AU REVOIR LES ENFANTS』(87年)
監督・脚本:ルイ・マル 
撮影:レナート・ベルタ 
音楽:フランツ・シューベルト、サン=サーンス 
出演:ガスパール・マネス、ラファエル・フェジト、フランシーヌ・ラセット、スタニスタス・カレ・ド・マルベール、フィリップ=モリエ・ジェヌー、フランソワ・ベルレアン、イレーヌ・ジャコブ

初見。
第2次大戦中のナチスドイツ占領下のフランスの寄宿舎が舞台。
ルイ・マル監督の個人的体験を元にした自伝的な映画であり、監督自身、本来は処女作として撮りたかったというくらい思い入れの強い題材だったという。
画面はカラーであるにもかかわらず暗く沈んだ色調で、その時代の怖い空気、雰囲気を観る者にも強く印象付けている。(今回観た紀伊国屋のDVDはHDニューマスターを謳っているわりには画質があまり明瞭でないが、もともとそういう画質なのだろうか?)

内容は抑制された演出の中、ドキュメンタリータッチで淡々と進行してゆく。
無名時代のイレーヌ・ジャコブがちょい役のピアノ教師役で出ているくらいで、華やかなシーンも全くと言ってよいほどない。
全編に渡って、監督が愛情を込めて丁寧に撮っている映画という印象が強いが、内容的には退屈に感じる人も少なくないだろう。

ところどころで使われるシューベルト『楽興の時』第2番が映画の雰囲気にピッタリはまっていて、この音楽が流れるシーンはいずれも感動的。
DVDの解説(インタビュー)によれば、監督が子供時代に習っていたピアノ曲なのだという。
それにしても、ロベール・ブレッソン監督の『バルダザールどこへ行く』といい、フランス映画?にはシューベルト、それもピアノ曲がよく合う気がする。

歌手シャルロット・ゲンズブールの新譜『ステージ・ウィスパー~スペシャル・エディション~(限定盤/2CD+DVD)』 が国内盤でも発売になりました。

内容は2010年にベック・プロデュースの元で発表された最新作『IRM』の未発表音源と、それに伴うヨーロッパ・ツアーを収録したライヴ音源、そして、そのライヴ映像を収録したDVDとなっています。
未発表音源&ライヴ音源をディスク1枚に収録した通常盤も同時に発売されましたが、やはり彼女のライヴを映像で楽しめるDVD17曲入り!)が付いているスペシャル・エディションの方が気になります。
なんでも、このDVDが付いてくるのは国内盤だけとか・・・その分高くなりますが・・・。

一昨年秋の来日公演の興奮が記憶にも新しいシャルロットですが(その時書いたライヴレポ)、どちらにせよ、それをこういったメディアを通して追体験できるのはとても楽しみです。

[66] [67] [68] [69] [70] [71] [72] [73] [74] [75] [76]
テンプレ作った人:おみそ
今すぐブログ始めるなら:[PR]

PR:忍者ブログ
ブログ内検索
プロフィール
HN:
マサヤ
性別:
男性
趣味:
フランス映画、ジャズ
自己紹介:
フランスの映画監督ジャン=ピエール・メルヴィル監督作品のファンサイト附属のブログです。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
リンク、コメント、TB等はご自由にどうぞ。
カテゴリー
最新コメント
[04/14 マサヤ@管理人]
[04/10 mon]
[11/07 マサヤ@管理人]
[11/06 mon]
カウンター
忍者AdMax
NINJA TOOLS
アーカイブ