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ジョン・フォード監督の『リオ・グランデの砦』を国内盤DVDで観た感想です。
『Rio Grande』(50年)
監督:ジョン・フォード
原作:ジェームズ・ワーナー・ベラ
脚本:ジェームズ・ケヴィン・マッギネス
出演:ジョン・ウェイン、モーリン・オハラ、ベン・ジョンソン、クロード・ジャーマン
久々に観た西部劇。
つまらなかったらやめようと軽い気持ちで観始めたのだが、すぐに物語に惹き込まれてしまった。
娯楽映画の見本のような作品でストーリーも面白い。
ただし、好きは好きだが、何故かもう一度観たいという気にはならない。
これまで観た西部劇全般に言えることなのだが。
西部劇の舞台背景とかが好きでないのか、なんなのかは分からない。
この映画、ジョン・ウェインとモーリン・オハラの夫婦のやり取りがいい。
途中何度か登場するコーラス・グループの歌も良く、いかにもアメリカ映画、それも西部劇を観ているという気にさせられる。
モーリン・オハラの冷たい表情が歌を聴いている間に徐々に変わっていくシーンが見ものであった。
あけましておめでとうございます。
今年もマイペースでやっていくつもりですが、このブログとHPを是非ともごひいきに。
このところ、このブログはほとんど映画鑑賞日記と化していますが、まだUPしていない鑑賞済みの映画がいくつかまだありますので、もう少しこの流れを続けたいと思います。
今回は、ジョン・ヒューストン監督の『クレムリンレター/密書』を観た感想です。
『THE KREMLIN LETTER』(1969)
監督:ジョン・ヒューストン
脚本:グラディス・ヒル、ジョン・ヒューストン
撮影:テッド・スケイフ
音楽:ロバート・ドラスニン
出演:ビビ・アンデショーン、リチャード・ブーン、マックス・フォン・シドー、オーソン・ウェルズ、パトリック・オニール、バーバラ・パーキンス、リラ・ケドロヴァ
『あれは傑作だね。映画館から出た時、私は妻にたったひと言、心に浮かんだ単語を口にしたよ。「お見事!」とね。もちろん、師の見事さだ。『クレムリン・レター 密書』は巨匠の作品だ。映画の講義なんだ。』
(引用―『サムライ―ジャン=ピエール・メルヴィルの映画人生』ルイ・ノゲイラ著 井上真希訳 晶文社刊 より)
レンタルビデオにて鑑賞。
今回が初見となるスパイもの。
メルヴィルが絶賛していた作品ですが、公開時、世界的には当たらず、どうやら公開後すぐ打ち切りになってしまった作品とのことで、いまだDVD化もされておりませんし、これといったスターも出演していないことから、あまり知名度も高くないようです。
ジョン ヒューストンの自伝『王になろうとした男』(清流出版)によると、この作品が当たらなかったことは、本人もかなり残念に思っていたようです。
世界中で酷評されたが、唯一の例外がパリだったと…。
関係者の名こそ指摘されていませんが、私は瞬間的にメルヴィルのことを思い起こしました。
実際、私もノゲイラの本でメルヴィルが絶賛していなかったら、この作品を観ようとは思わなかったかもしれません。
実際に観た印象ですが、内容に分かりにくさはありますが、ストーリーがどう展開してゆくのか大変興味深く、決して退屈ではありません。
むしろ、かなり面白いと思います。
ただ、1969年の作品であり、米ソ冷戦構造や、中ソ対立など、当時の世界情勢の理解がないと、完全な理解はなかなか難しいかもしれません。
私も、理解しかねるところがいくつかありましたので、近くまた再見してみたい作品です。
キャストも良いです。
ローン役を演じるパトリック・オニールは渋い存在感の俳優なので派手さこそありませんが、かえってそこがカッコ良かったですね。
その上司役のリチャード・ブーンはそれ以上に印象的で、この二人のやり取りのシーンは、どこもウィットに富んでいて面白かったです。
それに加え、あのオーソン・ウェルズがソ連の高官役で出演していて存在感を発揮しています。
ビビ・アンデショーン、バーバラ・パーキンスの二人の女優も良く、ビビ・アンデショーンはちょっとデルフィーグ・セイリグに似ている気が。
二人の肌の色の白さがキレイでした。
リラ・ケドロヴァはアンリ・ドコワン監督の『筋金を入れろ』(55年)でジャンキー役で出ている女優です。
不思議なことに、こちらの方が若く見えるかも。
ジュールス・ダッシン監督の『街の野獣』を国内盤DVD(ジュネス企画)で観た感想です。
『Night and the City』 (50年)
監督:ジュールス・ダッシン
脚本:ジョー・アイシンガー
撮影:マックス・グリーン
音楽:フランツ・ワックスマン
出演:リチャード・ウィドマーク、グーギー・ウィザース、ジーン・ティアニー、ヒュー・マーロウ、スタニスラウス・ズビスコ、ハーバート・ロム、マイク・マズルキ
初見。
私がこれまで観たジュールス・ダッシンの監督作品ではなんといってもフランスで撮った『男の争い』(55)が最高でしたが、アメリカで撮った『深夜復讐便』、『裸の町』などの作品も実に良かったです。
『街の野獣』は赤狩りでダッシンがアメリカを追われた後にロンドンで撮った映画とのこと。
原題が『Night and the City』というように、実際、ロンドンの街角もところどころに登場する作品なのですが、あのリチャード・ウィドマークが主演で、ジーン・ティアニー共演ということもあって、個人的にもずっと観たかった作品でした。
プロレス興行の内幕を舞台に(といっても暴露的なものではない)一攫千金を目指す主人公の転落の過程をどこか突き放したような語り口で描いておりますが、ストーリーそのものはそれなりに面白いわりに、印象としては少々期待外れ。
その理由は、リチャード・ウィドマーク演じるハリー・ファビアンの行動にほとんど感情移入できないのが大きい気がします。
むしろ、彼に振り回されている連中の方が(彼らとて必ずしも善人ではないが)、観ていて気の毒になってしまう。
リチャード・ウィドマークの演技自体は大変な熱演なのですが。
ジーン・ティアニーもあまり登場シーンがなく、しかも、そのキャラクターも今一つハッキリせず、魅力に欠ける印象です。
むしろ面白かったのは、ナイトクラブの夫婦のキャラクターでした。
ちなみに、伝説のレスラー、グレゴリウス役を演じているスタニスラウス・ズビスコは、実際に本物のレスラーで、第12代世界ヘビー級王者(後のNWA世界ヘビー級王者)であり、あのハーリー・レイスをデビュー前に指導したという本当に伝説のレスラーだったようです。
スタンリー・キューブリック監督の『非情の罠』を国内盤DVDで観た感想です。
『KILLER'S KISS』(55年)
監督:スタンリー・キューブリック
脚本:スタンリー・キューブリック、ハワード・O・サックラー
撮影:スタンリー・キューブリック
音楽:ジェラルド・フリード
出演:フランク・シルヴェラ、ジャミー・スミス、アイリーン・ケイン、ジェリー・ジャレット、ルース・ソボトゥカ
これも久々に観た作品。
キューブリックの作品はだいたい観ているのですが、カラーになって以降の作品は正直なところあまり好きではありません。
それぞれの作品は、確かに凄いなぁとは思いますが。
むしろ、モノクロで撮ったこの作品や『現金に体を張れ』、『突撃』、『博士の異常な愛情』あたりまでは好きです。
この作品はキューブリックの実質的なデビュー作であり、67分と中篇ながら、実によく出来た作品だと思います。
フラッシュバック、ボクシング、ファム・ファタール、殺しなど、手法的には完全にフィルム・ノワール作品といってよいのではないかと思います。
とりわけ、映画後半の、全く人気の無い工場を舞台とした大立ち回りは迫力満点です。
あの人っ気の無さ、大量のマネキンなどがなんとも不気味。
ただ、ラストの甘さは個人的には納得しがたい。
アラン・レネ監督の『薔薇のスタビスキー』をレンタルビデオで観た感想です。
『STAVISKY...』(73年)
監督:アラン・レネ
原作:ホルヘ・センプラン
脚本:ホルヘ・センプラン
撮影:サッシャ・ヴィエルニ
音楽:スティーヴン・ソンドハイム
出演:ジャン=ポール・ベルモンド、シャルル・ボワイエ、アニー・デュプレー、フランソワ・ペリエ、ミシェル・ロンズデール、クロード・リッシュ
初見。
1930年代の実話を元にした作品で、アラン・レネが監督するジャン=ポール・ベルモンド主演作品(製作も兼任)というだけで以前から興味津々だった作品ですが、ようやく観ることができました。
内容は分かりにくいです。
稀代の詐欺師だったというスタビスキーと、その事件の顛末を予め知っていればある程度は違うのかもしれませんが、あるシーンの時期が説明もないまま錯綜する上、トロツキーのフランス亡命のことまでもが絡んできているので混乱します。
意味有り気な登場人物が次々登場し、意味があるのかないのか分からないままになってしまうこともしばしば。
これがアラン・レネ監督の意図なのでしょうか。
この作品は、ジャン=ポール・ベルモンドが製作も兼ねているだけあって、ベルモンドの素晴らしい演技が観られる作品です。
それだけに、普段とはちょっと違ったベルモンドの表情が見られる作品でもあります。
ただ、ベルモンド本人の演技や存在感は魅力的なのですが、そのキャラクターがこの役柄に本当に合っていたか否かは少々疑問。
シャルル・ボワイエが特別出演しています。
それも少し顔を出すだけの出演でなく、ほぼ全篇に登場しているのが嬉しい。
あと、フランソワ・ペリエが出演していますが、渋かったですね。
大好きです。
メルヴィルの『いぬ』(62年)でも刑事役を演じベルモンドと共演していたマルセル・キュヴリエが警視役で出ています。
結構重要な役どころ。
映画の印象としては、あまり意味のないシーンと、すごく面白いシーンが混ざり合っている感じでした。
決して面白くない作品ではないので、できればキレイな映像でもう一度観直してみたい作品です。
ジョゼ・ジョヴァンニ監督の『暗黒街のふたり』を国内盤DVDで観た感想です。
『DEUX HOMMES DANS LA VILLE』(73年)
監督:ジョゼ・ジョヴァンニ
脚本:ジョゼ・ジョヴァンニ
撮影:ジャン=ジャック・タルベ
音楽:フィリップ・サルド
出演:ジャン・ギャバン、アラン・ドロン、ミムジー・ファーマー、ミシェル・ブーケ、イラリア・オッキーニ、クリスチーヌ・ファブレガ、アリエル・ドンバール、ジェラール・ドパルデュー
久々に観ました。
オリジナル脚本も書いたジョゼ・ジョヴァンニ監督の警察権力批判が如実に出た作品で、アラン・ドロンが製作も兼ねています。
ストーリーはなんともやるせないというか、たまらない映画であり、少々ステレオタイプな描写が気にならなくもありませんが、映画としては実に良いと思います。
ただ、原題は『街の二人』とでもいうべきで、“暗黒街”というのはヘンですね。
特にギャバンは、暗黒街とは直接無縁な役柄ですし。
それにしても、この映画のジャン・ギャバン、アラン・ドロンはホントにいいです。
ジャン・ギャバンは、犯罪者の保護司役ですが、貫禄といい、懐の大きさといい、男の優しさといい、実に素晴らしい。
観る限りは自然な感じで、特にどう演技しているという感じではないのですけどね。
なんというか、佇まいがすでに魅力的。
アラン・ドロンはこの作品がメルヴィルの『サムライ』『仁義』『リスボン特急』より後の作品なのに、この作品の方が若く見えます。
それが実に役柄に合っています。
いくつものシーンで目を見張るような素晴らしい演技を披露していますが、全体として感情を物語る目の演技が絶品だと思います。
ドロンとギャバンの共演作は、『地下室のメロディー』、『シシリアン』に続いて3作目となりますが、二人の関係の緊密性(?)という意味ではこの作品が一番なのではないかと思います。
ミシェル・ブーケの演じる警部がとにかく憎たらしい。
ある意味、映画的にはそれだけ演技が上手いということでしょう。
メルヴィルの『ギャング』(66年)でマヌーシュ役を好演していたクリスチーヌ・ファブレガがギャバンの妻役で出ています。
彼女の映画出演作は少ないのでこれは貴重。
想像しますに、『ギャング』の彼女の演技を絶賛していたドロン(製作)が彼女にオファーを出したのではないでしょうか。
また、映画を観れば誰しも気づくと思いますが、あのジェラール・ドパルデューがチョイ役のチンピラ役で出ています。
ドロンと対峙するシーンは緊張感のあるいいシーンでした。
あと、最後までドロンを庇う印刷所の雇い主の俳優グイド・アルベルティも良かったです。
そのほか、またもピエール・コレ(『仁義』でドロンに宝石強盗を持ちかける看守役)がこの映画では警察署長役で出ています。
これがまた重厚な演技を披露していて印象的でした。
今回、私は廃盤になった国内盤DVDで観ました。
今度ニューマスター版と銘打った国内盤DVDが再発されますが、以前のものを持っている人はそれでもいいんじゃないかと思います。
観た感じですと、画質はほとんど問題ないと思うので。
フィルップ・サルドのほの暗く美しい音楽は、映画の行く末を暗示しているかのようですが、実に魅力的です。
これはサルドの傑作の一つではないでしょうか。
ルイス・ギルバート監督の『暁の7人』をレンタルビデオで観た感想です。
『Operation Daybreak』(75年)
監督:ルイス・ギルバート
脚本:ロナルド・ハーウッド
音楽:デヴィッド・ヘンチェル
撮影:アンリ・ドカ
出演:ティモシー・ボトムズ、ニコラ・パジェット、アンソニー・アンドリュース、マーティン・ショウ、ジョス・アックランド、アントン・ディフリング
今回が初見となる75年のアメリカ映画。
第二次世界大戦におけるチェコスロバキアとイギリスの間で計画されたナチス・ドイツの指揮官ラインハルト・ハイドリヒの暗殺作戦を映画化した作品。
ラインハルト・ハイドリヒの暗殺を描いた映画といえば、先日このブログで紹介したフリッツ・ラング監督の『死刑執行人もまた死す』もそうでしたが、二つを観た印象としては、『暁の7人』の方がキャストの魅力も含めリアリティがあって個人的には好みです。
テーマこそ近いものの、製作年代も全く異なる別の映画なので、比べることはあまり意味のないことではありますが…。
タイトルは“7人”と銘打っており、実際に作戦に参加したのは7人のようですが、映画的にはほとんど3人の人物を中心に描いています。
映画的な脚色も当然あるようですが、ほぼ事実を映画化した作品とのことです。
実際、ずっしりとした見応えの作品で、観始めると途中で止められません。
映画の内容は、大まかに暗殺実行までの前半と、ナチスによる報復の後半に分けられますが、ハイドリヒ暗殺からその死まで特に誇張せずに、淡々と描いているのが特徴。
実話としては、全体的にストーリーとしてもかなり強烈な内容で、後半のナチスの報復は観ているのが辛くなります。
主役の3人は皆が印象的な演技でした。
撮影はあのアンリ・ドカで、ほとんどが実際のプラハで撮影されたとのこと。
雨に濡れた石畳が実に美しい印象です。
デヴィッド・ヘンチェルの音楽も良かったと思います。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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