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ロジェ・ヴァディム監督の『大運河』を国内盤DVD(IVC)で観た感想。
『SAIT-ON JAMAIS』(56年)
監督・原作・脚本:ロジェ・ヴァディム
撮影:アルマン・ティラール、ルイ・ネエ
音楽:ジョン・ルイス(MJQ)
出演:フランソワーズ・アルヌール、クリスチャン・マルカン、ロベール・オッセン、フランコ・ファブリッツィ、O・E・ハッセ
初見。
MJQ(モダン・ジャズ・カルテット)によるジャズ演奏をサウンドトラックに使ったことでも有名な作品である。
ちょうど同じ年(56年)、ルイ・マル監督が『死刑台のエレベーター』でマイルス・デイヴィスのジャズ演奏をサウンドトラックとして使っているが、これ以降、特にフランス映画においてモダン・ジャズが盛んにサウンドトラックとして使われることになる。
この映画で使れたMJQの音楽は『たそがれのヴェニス』というタイトルで発売されており、世間的にも名盤とされているが、個人的にはMJQのアルバムの中ではそれほど気に入っているというわけではない。
しかし、映画の中での楽曲の使われ方は絶妙で、その音楽の魅力を改めて感じた。
ところで、ロジェ・ヴァディム監督の作品はこれまでほとんど面白いと思ったことがない。
この作品も途中まではかなり退屈であった。
しかし、中盤くらいから面白くなり始め、観終わる頃にはそれなりに気に入った。
主演のフランソワーズ・アルヌールは往年のフランス映画ファンに人気だった女優だが、正直なところ、私はこの人の魅力がよく分からない。
ハッキリ言って美人ではないし…。
確かに持って生まれた人懐っこさはあるかもしれないが、この作品で演じた役柄はあまり共感しにくいキャラクターであった。
あと、クリスチャン・マルカンとフランコ・ファブリッツィのスーツとネクタイの色が前半で一緒だったため、二人の区別が付かなかった。
前半あまり面白く感じなかったのはそのせいもあるかもしれない。
男爵役のO・E・ハッセも良かったが、この映画を面白くした立役者はロベール・オッセンであろう。
感情表現が巧みで、さすがに存在感もある。
ただし、国内盤DVDの画質は良くない。
よくもあんな画質で発売するものだとちょっと呆れた。
ジャック・ドゥミ監督の『モン・パリ』を国内盤DVD(ハピネット)で観た感想。
『L'EVENEMENT LE PLUS IMPORTANT DEPUIS QUE L'HOMME A MARCHE SUR LA LUNE』(73年)
監督・脚本:ジャック・ドゥミ
撮影:アンドレア・ウィンディング
音楽:ミシェル・ルグラン
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、マルチェロ・マストロヤンニ、ミシュリーヌ・プレール、マリサ・パヴァン、クロード・メルキ、ミレーユ・マチュー、モーリス・ビロー
初見。
ジャック・ドゥミ監督の唯一のコメディ作品とのことで、男が妊娠するというバカバカしいストーリーながら内容は面白く、かなり笑える作品。
やはり当時プライベートでもパートナーだったカトリーヌ・ドヌーヴとマルチェロ・マストロヤンニの二人が夫婦役を楽しんで演じているのがいい。
とりわけ、いつもの二枚目ぶりとは打って変わったマストロヤンニのとぼけた演技が最高。
ドヌーヴもキアラ・マストロヤンニを出産した直後で、若干肉付きがよくなっている頃だが、個人的にはこれくらいの方が女らしくて魅力を感じる。
この作品を見る限り、“世界最高の美女”という看板に偽りのない美しさである。
周囲のキャストも芸達者が揃っていて楽しめるし、ここでもミシェル・ルグランがさすがにいい曲を書いている。
(前回に続く)
今回のツアーにおいては、これまでのツアーメンバーの一部を一新したバックの演奏も素晴らしかった。
以前よりギターが一人少なくなったにもかかわらず圧倒的なボリューム感だったし、中でもツアー初参加となったベースの鈴木正人のビート感覚(?)が光っていた。
一緒に行ったボニー・ファンの友人はニューアルバム『ONE』をあまり気に入っていなかったようなのだが、今回のライヴを見て再評価したようだ。
実際、私も『ONE』を2~3回聴いた段階では『これは駄作かも』と思ったものだが、5~6回聴いた頃からどんどん良さが分かってきて、今では『最高傑作かも』に変わってきたのだから分からないものである。
そう、ボニーのアルバムの良さは1~2回通して聴いただけでは分かりにくいことが多い。
逆に聴けば聴くほど良くなってくることがほとんどで、このアルバムも例外ではない。
私など5月の発売以来すでに30回以上は聴いているであろうが、全く飽きない。
まだまだ繰り返し聴きそうである。
先行シングルとなり、このアルバムにも収録された『Joy』『Happy Ending』は文句なくいいが、個人的にこのアルバムのベストスリーは『Princess Incognito』『PLAY & PAUSE』『Get on the Bus』の3曲である。
ライヴで聴くこの3曲はまさに至福であった。
ただ、ライブ演奏としてより圧倒的だったのはバラード・ナンバー『One Last Time』であったかもしれない。
(それにしても『ONE』はどれだけ売れたのだろうか?おそらく10万枚には遠く及ばないだろう。あれだけ素晴らしいアルバムがなぜこれほどまでに売れないのだろう?)
ただ、ライブの後半では『Happy Ending』などで観客とのコール&レスポンスも行われたが、個人的にはその時間があったら古い楽曲が聴きたかったというのが正直なところだ。
先日亡くなったマイケル・ジャクソンのメドレーもあり、客席は盛り上がっていたが、彼女の楽曲が聞きたかったという意味では同様だ。
というのも、彼女の楽曲にはライブで聴きたい曲がたくさんあるからである。
『Private Laughter』『LOVE IS BUBBLE』などライブ映えする楽曲がこのところセットリストから外れているのは残念だ。
2000年の『Let go』ツアーの最終日のアンコールの最後に演奏された『Surprise!』の素晴らしさも忘れられない。
もう一つ個人的なことを言わせてもらえば、まだライブで聴いたことのない『Maze Of Love』(ファーストアルバム『Blue Jam』収録)を生で聴けたらもう思い残すことはないのだが…。
彼女がこれまで発表したオリジナル・アルバムは10枚(ベスト、ライブ、カバーアルバム等除く)、楽曲の数は148曲に上るという。
その全てを彼女は作詞作曲し歌ってきた。
私も正直言って、彼女がこれほど長い間活躍するとは思ってもみなかった。
その間には並々ならぬ努力があったことだろう。
ファンの贔屓目かもしれないが、私は、それらの楽曲のレベルの高さはいかなる邦楽アーティストたちにも劣るものではないと信じている。
いろいろ書いてきたわりに月並みな終わり方になって恐縮だが、彼女の音楽の素晴らしさがもっともっと世間に知られて欲しいと願ってやまない。
(この項終わり)
(前回より続く)
それが2006年、CMで使われたシングル『A perfect sky』がヒットし、活動10周年を記念したベストアルバム『Every Single Day -Complete BONNIE PINK (1995-2006)』が70万枚を突破、なんとその年の紅白歌合戦に出場、あげくの果てには夢としか思えなかった日本武道館公演(2007年)までやってしまったものだから、逆にファンの方が面食らってしまった。(今でも信じられない…)
ライブでのトークを聞く限り、彼女自身その状況を素直に喜んでいたようではあったが、決してその状況に浮かれなかったのが彼女らしいところであった。
大衆の期待をスカすかのようにCDのリリースのペースはこれまで通りの寡作ぶり。
その間、武道館を埋めたニワカ(?)ファンはあっという間に彼女の元を去り、気づけば2000年、2003年のツアー時と同じ赤坂BLITZに今回再び舞い戻ってきた。
個人的に、5月にリリースされたニューアルバム『ONE』の内容が大いに気に入ったこともあり、当然ライブにも期待が高まった。
実際、ライヴの内容はほとんどが『ONE』からの楽曲で、なんとアルバム14曲中13曲が演奏された。
それがバックバンドの好演もあり、アルバム以上に楽曲の良さが伝わってきたのだからたまらない。
2000年以降、かれこれ彼女のライブは20回以上は行っている私だが、今回のライブ・パフォーマンスはこれまででもトップクラスの完成度と盛り上がりだったと思う。
というのも、彼女のライブはたいてい中盤くらいで中弛み感があるのだが、今回は全くといってよいほどそのようなことはなかった。
また、彼女の声も絶好調、いつになく圧倒的な歌唱を聞かせてくれた。
もともと彼女は必ずしも歌唱力で聞かせる歌手ではないし、これまでのライブでは不安定な歌唱の時も何度かあったが(声そのもの、そして歌い方は素晴らしく魅力的、いわゆるヘタウマタイプの歌手だ)、今回は全くそのような不安を感じなかったという点で、彼女はアーティストとしてなお成長過程だと言えるだろう。
(次回へ続く)
私はBONNIE PINK(ボニー・ピンク)(公式サイト)のファンである。
さる7月31日、彼女の全国ツアー最終日となった東京・赤坂BLITZのライブに行ってきたので、これを機に彼女についてざっと書いてみたい。
彼女がデビューしたのが95年、私が彼女の音楽を初めて聴いたのが97年、初めて彼女のライブに行ったのが2000年、とかれこれ断続的ながらも12年の間私は彼女のファンを続けている。(彼女のファンになったキッカケについては随分前に別サイトに記事を書いたことがあるのでこちらを参照)
J-POPという枠組みの中で現在“ちゃんと”聴いているのは彼女だけであり、ファンクラブなるものに入会したのも彼女が生涯で初めてである(たぶん最後だろう)。
それはライヴのチケット、それも良席を確実に入手するため入っているようなものだが、これまで更新期限を過ぎてしまって二度も抜けてしまっている…。
それはともかく、今でこそ多分にメジャー感のあるBONNIE PINKであるが、ごく数年前まではかなり厳しい状況に置かれていた。
いや、彼女の作る楽曲(すべてが彼女の作詞作曲)、とりわけアルバムは文句なしのクオリティの高さを誇っていたのだが、なにしろ大衆がついてこなかった。
2ndアルバム『Heaven's Kitchen』(97年)が30万枚売れ、一旦はブレイクを果たしていた彼女だが、2000年以降は10万枚を超えたアルバムはほぼ皆無だった。
もちろん、シングルヒットもなし。
なにも“売れる”必要はないが、それでも最低限のセールスというのはアーティストが活動するにあたっては必要なはずである。
彼女自身はごくマイペースで、やりたい時にしかやらない、という今時珍しい職人気質のアーティストであることはファンとしては心強い限りなのだが、CDのリリースは年に数回あればいい方、ライブツアーも小規模と、よくこんな活動でやっていけるなぁーと正直なところ思っていたものである。(事務所、レコード会社と彼女を理解する良いスタッフに恵まれているのだろう)
ただ、彼女は海外のプロデューサーたちと仕事をする機会が多いから、ある程度のセールスの数字が出ないと採算が取れないだろうし、このままの状況が続けば結果として活動の縮小に追い込まれてしまうのではないか、という不安が絶えなかった。
私は何人かの熱狂的なボニー・ファンとも実際に知り合いなので、ライブの度に彼女の活動の今後の展望について何度となく話し合ったものだが、当時はほとんど悲観的な展望しか見出せなかった。
我々の心の中には、売れて欲しい!という思いよりも、もっと彼女の音楽が世間に認められて欲しい!という思いがとにかく強かったのだが。
同じJ-POPという名の元にありながら、腐るような楽曲が知名度だけでチャート1位を獲得している現状に対し、随分悔しい思いを抱いていたものである…。
(次回へ続く)
ジャック・ドゥミ監督の『シェルブールの雨傘』を国内盤DVD(ハピネット)で観た感想。
『LES PARAPLUIES DE CHERBOURG』(63年)
監督・脚本・歌詞:ジャック・ドゥミ
撮影:ジャン・ラビエ
作詞:ノーマン・ギンベル
音楽:ミシェル・ルグラン
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、ニーノ・カステルヌオーヴォ、マルク・ミシェル、エレン・ファルナー、アンヌ・ヴェルノン
再見。
前回観た時はつまらなく感じたが、今回観直してみて180度評価が変わった。
これは素晴らしい。
まごうことなき大傑作。
前回感じたつまらなさは何だったのだろう。
人間の感覚などホントに当てにならない…。
内容は典型的なメロドラマだが、無駄のないストーリー展開によって見事なまでに人生が描かれている。
ミュージカル、しかも台詞がすべて歌となっているがゆえの不自然さは今回全く気にならなかった。
なんといっても全篇を素晴らしい音楽で彩ったミシェル・ルグランの功績が大きいが、セットや衣装の強烈なまでの色彩感覚もまことに魅力的である。
ジュヌヴィエーヴ役のカトリーヌ・ドヌーヴは撮影時20歳そこそこであり、その姿はさすがに初々しいが、不思議と年齢を経てからの方が綺麗に見える。
また、母親役のアンヌ・ヴェルノンがとてもいい。
宝石商のローラン・カサール役を演じたマルク・ミシェルはジャック・ベッケル監督『穴』(60)でガスパールを演じた俳優である。
最後にジュヌヴィエーヴを裏切りそうでソワソワした(笑)。
同じジャック・ドゥミ監督の『ローラ』(60年)にも出ているらしいので、こちらも早く観なくては…。
川島雄三監督の『風船』をDVDで観た感想。
『風船』(56年)
監督:川島雄三
脚本:川島雄三、今村昌平
撮影:高村倉太郎
音楽:黛敏郎
出演:森雅之、芦川いづみ、三橋達也、新珠三千代、二本柳寛、北原三枝、左幸子
豪華なキャストを誇る作品だが、全体的にどことなく散漫な印象が残る。
ストーリーはなかなか面白い作品なのだが、もう一つ焦点が絞りきれていないせいか。
それでもかなり好きな作品だが…。
会社社長役の森雅之はここでは老け役で、キャラ的にあまりに分別がありすぎる印象だが、その物腰や佇まいはさすがに魅力的である。
ただ、三橋達也の父親役という設定は少々無理がある気も…。
その娘、珠子を演じた芦川いづみが純真な役柄を見事に演じきっていて、これはもう実質的な主役。
彼女自身、川島監督の出演作でこの作品が一番気に入っているという。
それも納得の素晴らしさである。
二本柳寛の存在感がところどころ印象的なのだが、キャラクターがもう一つハッキリしないのがなんとも惜しい。
ハッキリしないといえば、新珠三千代の役柄もそうで、このあたりどうにも勿体ない気がする。
その点、シャンソン歌手役の北原三枝は儲け役といえるだろう。
彼女が着ている衣装も森英恵デザインというだけあって印象的だ。
この時代のナイトクラブの風俗描写が興味深い作品であり、ラストもいい。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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