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アンドレ・カイヤット監督の『裁きは終りぬ』を国内盤DVD(ジュネス企画)で観た感想。

d6ed9ee7.jpegJUSTICE EST FAITE』(50年)
監督:アンドレ・カイヤット
脚本:アンドレ・カイヤット、シャルル・スパーク
音楽:レイモン・ルグラン
出演:ヴァランティーヌ・テシエ、クロード・ノリエ、ジャック・カステロ、マルセル・ペルス、レイモン・ビュシェール、ディタ・パルロ、ミシェル・オークレール、ジャン・ドビュクール

初見。
アンドレ・カイヤット監督の作品にはこれまで縁がなく未見でした。
この作品は陪審員制度をテーマとした作品ということで堅苦しい内容の作品を予想していましたが、思いのほか親しみやすくてちょっとびっくり。

末期ガンだった愛人を本人の要請に従って毒殺した被告の女(クロード・ノリエ)を7人の陪審員が裁く…というもので、安楽死を巡る問題が大きなテーマになっていますが、映画の内容は、裁判そのものよりも、陪審員一人一人の私生活を丁寧に描いている点が変わっています。
また、描写のタッチもなかなかユーモアに富んでいます。

正直なところ、陪審員の議論の内容にもっと緻密さがあっても良かったと思いますが、陪審員一人一人の私生活を描くことで、自然と陪審員制度の問題点を考えさせられる内容になっているのが面白いと思います。

キャストもいわゆるスター級の俳優は出ていませんが、どこかで見た顔が何人も出演しています。
フェリックスを演じたレイモン・ビュシェールは後にジャック・ベッケル監督の『肉体の冠』(53)でセルジュ・レジアニの友人役という重要な役柄を演じていることになる俳優。

男の陪審員を追うストーカー女性を演じたのはディタ・パルロ
といってもほとんどの人はピンとこないでしょうが、あの『大いなる幻影』の後半でジャン・ギャバンを助けるドイツ人女性といったらお分かりになるのではないでしょうか。
この作品では登場場面が少なかったのが残念。
a1fd4f4c.jpeg
被告人エルザ役のクロード・ノリエは他の作品で見た記憶がないのですが、感情を表に出さない無表情から醸し出される存在感がなかなか良かったですね。
一方で、その愛人役のミシェル・オークレール(『情婦マノン』)のヒステリックな部分が効いています。

あと、この作品の音楽を担当しているレイモン・ルグランは、あのミシェル・ルグランの父だそうです。

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フランスの映画監督ジャン=ピエール・メルヴィル監督作品のファンサイト附属のブログです。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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