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ジョセフ・ロージー監督の『パリの灯は遠く』を国内盤DVD(東北新社)にて鑑賞。

92738dac.jpegMR. KLEIN』(76年)
監督:ジョセフ・ロージー
脚本:フランコ・ソリナス、フェルナンド・モランディ
撮影:ジェリー・フィッシャー、ピエール=ウィリアム・グレン
音楽:エジスト・マッキ、ピエール・ポルト
出演:アラン・ドロン、ジャンヌ・モロー、シュザンヌ・フロン、ミシェル・オーモン、マッシモ・ジロッティ、ミシェル・ロンダール、ピエール・ボイト、 ジュリエット・ベルト

再見。
舞台はあのメルヴィルの『影の軍隊』(69)と同じ1942年のドイツ占領下のフランス。
自分と同姓同名(ロベール・クライン)の男がユダヤ人であることから当局に追われる羽目になった主人公が、その同姓同名の人物を捜し求めるというのが簡単なストーリー。

このテーマだけで2時間もたせてしまう演出のパワーは大したものだと思うのだが、それにしても、この重苦しさは尋常ではない。
image230.jpg重苦しいといえばやはり『影の軍隊』もそうだが、あちらの方がまだいろいろとドラマチックな展開があるので救われる気がするが、こちらはミステリーともサスペンスともつかない、むしろホラーに近いような恐ろしさや不気味さを湛えている。
城館のシーンなど悪夢か何かのように思われるし、そこに登場するジャンヌ・モローなど、ほとんど幽霊のようだ。
もう一人のロベール・クラインのアパートの場面もなんとも薄気味悪い。
そこがまた映画的興味を惹くのも事実なのだが。

一方で、名匠アレクサンドル・トローネルによる美術が、この作品に見事なまでの古典的な風格を与えている。
そして、その格調ある映像美にピタリとはまるアラン・ドロンの存在感と演技がまた素晴らしい。
そのクラシックなファッションと着こなしも見ものである。
また、ドロンの弁護士役のミシェル・ロンダールも好演している。


ところで、話は変わるが、ジャンヌ・モローといえばルイ・マル監督の『死刑台のエレベーター』のHDニューマスター版DVDが9月に紀伊国屋書店から発売になる模様。
詳細はこちら

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ドロン離れ
この作品の重苦しさ 中学生には正直耐えられなかったというか理解できなかったですね。テーマも難解すぎて… 結果ドロン離れの原因になった作品です。最近観なおしてようやく理解できたかなって感じです。サントラも作品同様重苦しいです。『暗殺者のメロディ』と同じエジスト・マッキの作なので仕方ないけど… 難解なサウンドすぎですわ。
ジュリアン URL 2009/07/19_Sun_22:19:46 編集
パリの灯は遠く
ジュリアンさん
TBありがとうございます。
確かに中学生にはこの作品の重苦しさはキツイでしょうね。
今回久々に観直しましたが、この作品を観直すのはなかなか勇気が要りました。
ご指摘の通り、音楽も難解でしたね。
マサヤ URL 2009/07/20_Mon_00:15:35 編集
無題
マサヤさん、お邪魔します。
>むしろホラーに近いような・・・
鋭いですね。ほんとにそう思います。

>格調ある映像美にピタリとはまるアラン・ドロンの存在感と演技がまた素晴らしい。
確か記事でご使用されている写真のショットだと思いますがわたしは、ドロンがクラインと電話で話すときのライティングとその表情・・・
ほんと怖くて痛烈。わたしもジュリアンさんと同様に中学生のときは全く意味がわかりませんでしたけれど、現在では、あらゆる意味からドロンの最高傑作の一本だと思っています。
では、また。
トム(Tom5k) URL 2009/07/23_Thu_00:06:41 編集
不気味な作品
トムさん
TBありがとうございます。
これはとにかく不気味な作品ですね。
これ見よがしの感じではない分、怖い作品です。

>あらゆる意味からドロンの最高傑作の一本だと思っています。

ドロン氏にとってもとても思い入れのある一本だったようですね。
この映画の雰囲気を楽しめるようになるまでは私はもう少し時間がかかりそうですが、何度か観ているうちに変わってくるかもしれません。
マサヤ 2009/07/23_Thu_10:25:53 編集
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マサヤ
性別:
男性
趣味:
フランス映画、ジャズ
自己紹介:
フランスの映画監督ジャン=ピエール・メルヴィル監督作品のファンサイト附属のブログです。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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