[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
ジョセフ・ロージー監督の『パリの灯は遠く』を国内盤DVD(東北新社)にて鑑賞。
『MR. KLEIN』(76年)
監督:ジョセフ・ロージー
脚本:フランコ・ソリナス、フェルナンド・モランディ
撮影:ジェリー・フィッシャー、ピエール=ウィリアム・グレン
音楽:エジスト・マッキ、ピエール・ポルト
出演:アラン・ドロン、ジャンヌ・モロー、シュザンヌ・フロン、ミシェル・オーモン、マッシモ・ジロッティ、ミシェル・ロンダール、ピエール・ボイト、 ジュリエット・ベルト
再見。
舞台はあのメルヴィルの『影の軍隊』(69)と同じ1942年のドイツ占領下のフランス。
自分と同姓同名(ロベール・クライン)の男がユダヤ人であることから当局に追われる羽目になった主人公が、その同姓同名の人物を捜し求めるというのが簡単なストーリー。
このテーマだけで2時間もたせてしまう演出のパワーは大したものだと思うのだが、それにしても、この重苦しさは尋常ではない。
重苦しいといえばやはり『影の軍隊』もそうだが、あちらの方がまだいろいろとドラマチックな展開があるので救われる気がするが、こちらはミステリーともサスペンスともつかない、むしろホラーに近いような恐ろしさや不気味さを湛えている。
城館のシーンなど悪夢か何かのように思われるし、そこに登場するジャンヌ・モローなど、ほとんど幽霊のようだ。
もう一人のロベール・クラインのアパートの場面もなんとも薄気味悪い。
そこがまた映画的興味を惹くのも事実なのだが。
一方で、名匠アレクサンドル・トローネルによる美術が、この作品に見事なまでの古典的な風格を与えている。
そして、その格調ある映像美にピタリとはまるアラン・ドロンの存在感と演技がまた素晴らしい。
そのクラシックなファッションと着こなしも見ものである。
また、ドロンの弁護士役のミシェル・ロンダールも好演している。
ところで、話は変わるが、ジャンヌ・モローといえばルイ・マル監督の『死刑台のエレベーター』のHDニューマスター版DVDが9月に紀伊国屋書店から発売になる模様。
詳細はこちら。
TBありがとうございます。
確かに中学生にはこの作品の重苦しさはキツイでしょうね。
今回久々に観直しましたが、この作品を観直すのはなかなか勇気が要りました。
ご指摘の通り、音楽も難解でしたね。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
リンク、コメント、TB等はご自由にどうぞ。