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ジャック・ドゥミ監督の『天使の入江』を国内盤DVD(紀伊国屋書店『ジャック・ドゥミ初期作品集DVD-BOX』収録)で観た感想。
『LA BAIE DES ANGES』(62年)
監督・脚本:ジャック・ドゥミ
撮影:ジャン・ラビエ
音楽:ミシェル・ルグラン
出演:ジャンヌ・モロー、クロード・マン、ポール・ゲール、アンナ・ナシエ
初見。
ジャック・ドゥミ監督の長編第2作にあたる作品で、あの『シェルブールの雨傘』(63)の一つ前にあたる作品。
これはずっと日本未公開だった作品だが、観てみるとストーリーも面白く、なかなかの良作と感じた。
主演のジャンヌ・モローが破滅的な女ギャンブラー、ジャッキーを演じていて、これが凄い。
有り金を次々とギャンブル(ルーレット)に注ぎ込む様は、メルヴィルの『ボブ』も顔負けの賭博師ぶりである。
外見的にはかなり老けて見えるのでさして魅力的とは思えないが、そのファム・ファタール的な存在感、キャラで魅せる。
相手役ジャックを演じるのがクロード・マン。
あのメルヴィルの『影の軍隊』(69)で“マスク”を演じた俳優である。
この『天使の入江』が映画初出演というが、初出演とは思えないしっかりした演技だった。
どういうわけか他の出演作を観る機会がほとんどない俳優なので、初出演にして主演作を観ることができるこの作品は貴重である。
銀行員という堅物の若者が遊び人の友人の影響でギャンブルにのめり込んでしまうという、いかにも“ヌーヴェル・ヴァーグ”的なナイーブな役柄だが、これを瑞々しい存在感で演じていて好演。
一回りも年齢が違うジャンヌ・モローとは恋人というよりはまるで母と子供のようだが(ジャンヌ・モローが1928年生まれ、クロード・マンが1940年生まれ)、ある意味その関係性がこの作品では面白いとも言える。
音楽はやはりミシェル・ルグランで、同じピアノのテーマが何度も繰り返し使われている点はちょっと不満が残るが、メロディそのものはやはり魅力的。
ジャン・ラビエのカメラがいい。
国内盤DVDの画質は観にくくはないのだが全体的に暗めで多少不満が残る。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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