忍者ブログ
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

マックス・オフュルス監督の『魅せられて』を国内盤DVD(紀伊国屋レーベル)で観た感想。

Caught』(49年)
監督:マックス・オフュルス
脚本:アーサー・ローレンツ
撮影:リー・ガームス
音楽:フレデリック・ホランダー
出演:ジェームズ・メイスン、バーバラ・ベル・ゲデス、ロバート・ライアン、フランク・ファーガソン、ナタリー・シェイファー

初見。
マックス・オフュルス監督のアメリカ時代の作品で、フィルム・ノワールのジャンルに分けられることの多い作品ですが、ストーリー的にはメロドラマ色が強く、それほどノワール色の強い作品とは思えません。
映像的には確かにノワール色を強く感じさせる作品ではありますが…。

ヒロインのバーバラ・ベル・ゲデスは最初全然魅力的に見えなかったのですが、ストーリーが進むにつれ不思議と魅力的に見えてきました。
また、ジェームズ・メイスンがいかにも彼らしい誠実な役柄を演じており印象的です。

ロバート・ライアンの役柄はハワード・ヒューズがモデルと言われているようで、解説などでは“偏執狂的”と評されているようですが、私にはそれほど特殊には見えませんでしたね。
それは私がもしかしたら“偏執狂的”だからなのでしょうか…。

PR

前回『ゴダール、わがアンナ・カリーナ時代』(山田宏一著、和田誠・絵、装丁、ワイズ出版)を紹介しましたので、今回もちょっとだけアンナ・カリーナについて。

確かにゴダール作品におけるアンナ・カリーナは最高に魅力的ですが、歌手としての彼女も私は大好きです。
ちょっとハスキーな声がなんとも言えず魅力的なのですが、特に好きな曲は、映画『アンナ』においてジャン=クロード・ブリアリとデュエットで歌っていた『Ne dis rien』(『何も言うな』)。

言うまでもなく作曲はセルジュ・ゲンズブールですが、数年前にDVD『セルジュゲンスブール 1958-1969』において当のゲンズブールがアンナ・カリーナとデュエットしている映像を初めて観ました。
これが実にいい雰囲気で素晴らしい。
これまで何度観たか分かりません。

3f2a33cf.jpeg今月刊行されたばかりの本『ゴダール、わがアンナ・カリーナ時代』(山田宏一著、和田誠・絵、装丁、ワイズ出版)を購入しました。
ちょうど『軽蔑』のところまで読んだところです。

題名の通り、アンナ・カリーナが主演した時代のゴダール作品(『勝手にしやがれ』から『ウィークエンド』まで)が取り上げられている本ですが、アンナ・カリーナの主演作以外の作品も含めて論じられているのが特徴。
よって、『カラビニエ』『軽蔑』『男性・女性』『中国女』といったようなアンナ・カリーナが主演していないゴダール作品も取り上げられています。

個人的には、今さらゴダール?という思いも正直ありましたし、税込2940円という、決して安くはない価格に躊躇したのは確かなのですが、冒頭のアンナ・カリーナのインタビューを読み始めてすぐに、この本は全然高くない!と感じましたね。
それくらい面白いし、作品論の内容も大変な労作。
ゴダール作品はしばらく観ていませんが、また観直したくなりました。

中には驚くべき新事実?も。

アルベルト・モラヴィア原作の『侮蔑』は、ゴダール監督、ミシェル・ピコリブリジット・バルドー主演で『軽蔑』として映画化されましたが(63年)、ゴダールが監督に決まる前はジャン=ピエール・メルヴィル監督がジャン=ポール・ベルモンド、ジャンヌ・モロー主演で映画化する予定があったということです。
また、ゴダールは初めはフランク・シナトラキム・ノヴァク主演で撮りたかったのだとか…。

他にも初めて知る事実が多々あり、この先読み進めるのが楽しみな本です。

動くジュリエット・グレコが拝めます。(62年)
歌唱はもちろん、表情や身振り手振りが本当に魅力的!

パリの空の下』といえば、今ならエディット・ピアフの歌唱の方が有名かもしれませんが、もともとはグレコが広めた歌でした。
私はピアフよりもグレコの方がずっと好きです。
この歌も、そして、歌手としても。
心残りはいまだに彼女の歌を生で聴いたことがないことです。
また、来日してくれないかなぁ…。

言うまでもありませんが、グレコは女優としてメルヴィルの『この手紙を読むときは』(53年)に主演しています。

4a10f0ff.gifメルヴィル作品のブルーレイディスク化を密かに今か今かと待っていましたが、本国フランスでは既に『海の沈黙』のブルーレイが発売になっていました!
フランス・アマゾンの商品ページへのリンクはこちら

私個人はいまだにブルーレイレコーダー(プレーヤー)も持っておらず、リージョン等規格の問題もよく理解しておりませんので、このディスクが日本国内で再生できるのか否かも不明ですが、とにもかくにも、メルヴィル作品のブルーレイ化という今後の展開も大いに期待できるのではないでしょうか。
もちろん、国内盤のブルーレイ発売がベストであることに変わりありませんが、なにしろ『サムライ』はじめ、DVDですら満足に観られないような現状ですので…。

ちなみに、フランスでは『海の沈黙』の通常のDVDも発売されています。
こちらはやはりリージョン2PAL盤。

ucco9911.jpgアート・ペッパーの77年のNYヴィレッジ・ヴァンガードにおけるライヴ盤が国内盤CD4枚バラ売りで久々に再発されたので(『ユニバーサルJAZZ THE BEST \1100 バイ・リクエスト50』シリーズ)、まずはその中から『サーズデイ・ナイト・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード+1』と『サタデイ・ナイト・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード+1』の2枚を購入して聴いてみた。

概してアート・ペッパーは50年代の演奏ばかりが人気あり、70年代に復活してからは芸風が変化したこともあり、顧みられることは多いとは言えない。
私個人はどちらの時代のペッパーも好きだが、70年代のペッパーは50年代以上に楽器の鳴りが素晴らしいし、演奏にも深みが増したと高く評価している。
特に、このヴィレッジ・ヴァンガードにおけるライヴは、アート・ペッパーとしても、ヴィレッジ・ヴァンガードにおけるジャズのライヴ盤としても、まずは最高の内容である。

もともと、このライヴは、CD初期には輸入盤で今回のように4枚のCDに分けてバラ売りで発売されていたが、国内盤ではまとめて4枚組、それ以降は未発表音源も加え、9枚組のCDボックスにコンプリート化されて発売されていた。
私も以前はボックスを所有していたクチだが、お世辞にもちゃんと聴いていたとは言いがたい。
というのも、これに限らないことだが、ボックスは概して聴かないものなのである。
いや、たとえ聴いても、聴くこと自体が目的化し、音楽そのものにじっくり浸ろうというふうにはなかなかならない。
あまりに分量があるために、枚数を“こなし”、聴いたという事実だけで満足してしまうのである。
それでも、このライヴの印象が強烈だったのは、やはり演奏があまりに素晴らしかったからだ。

今回の発売はCD初期の輸入盤と同じ4枚バラ売りである。
9枚組ボックスに比べ、マスタリングなどの表示がないので、音質的には評価が難しいが、一枚一枚買ってじっくり聴いてみるにはかえって好都合であるし、当然のことながら価格の安さも魅力的である。

そして、このライヴの大きな魅力は、共演者がジョージ・ケイブルス(p)、ジョージ・ムラーツ(b)、エルヴィン・ジョーンズ(ds)と最高のメンツである点。
実際、彼らの演奏は例えようもないほど見事だ。

特に絶品というべきがジョージ・ケイブルスのピアノで、随所で聴かれるソロはどれも素晴らしいし、ジョージ・ムラーツのベースとの絡みはジャズの醍醐味を堪能させてくれる。
エルヴィン・ジョーンズのドラムは、その二人に比べれば意外と目立たないが、その存在感、スケールの大きさはやはり余人に替えがたいものがある。

そして、なんといっても、ペッパー本人のプレイが実に感動的
特に、『サーズデイ・ナイト・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード+1』においては、1曲目『悲しきワルツ』から2曲目『グッドバイ』、3曲目『ブルース・フォー・レス』という流れが最高に素晴らしい。

ここまでサックスの“音”が哀感をもって聴く側の心に迫ってくる演奏が他にどれだけあるだろうか。
ジャズを通して男の哀愁とか、男のダンディズムとかに触れたかったら、是非ともこれを聴いて欲しい。
これらを聴いていると、これが人生これがジャズだ、とキメぜりふの一つも言いたくなってしまう。

休刊(廃刊?)が決まったスイング・ジャーナル最新号を本屋の店頭で立ち読みしてきた。
いや、最終号ということもあってホントは買うつもりだったのだが、実際はそんな気にならなかった。

表紙はジョン・コルトレーン
中身もビル・エヴァンスの名盤の特集と、私がスイング・ジャーナルを読み始めた20数年前とちっとも変わらない。(ちなみに私がちゃんと毎月買っていたのは90年頃から95年頃まで。最近は立ち読みする機会もなくなっていた。)

これでは休刊もやむなしと感じたのは私だけではないだろう。
いつまでたってもコルトレーン、エヴァンス、マイルス、ロリンズら、50~60年代の名盤特集の繰り返し
今さらレコーディング秘話とかなんとかいったところで、それで雑誌の購買意欲を煽る力にはなり得ないし、アルバムレビューでいえば、業界御用評論家諸氏たちのどこかで読んだようなカビの生えたレビューよりも、ネットの方がもっと屈託のない率直な意見が多く見受けられるのだから(しかもタダ同然で)、雑誌の存在感などなくなるのは当然といえば当然だ。

結局、この数十年の間、ジャズ界において、彼らに変わりうる、もしくは匹敵するようなスターも出ず、アルバムも出なかったということだろう。
CDを買わない人がスイング・ジャーナルを愛読するとも思えない。
その意味で、音楽ソフトの供給ジャンルとしてのジャズの停滞(減退?)という側面は否定できない事実なのだろうと思う。

そして、これはジャズだけの現象ではないのかもしれない。

先日伝えられたHMV渋谷店閉店のニュースは、開店時からあの店を利用してきた客の一人としてはショッキングな出来事だったが、ここ数年は、一方の雄タワーレコードに比べて、価格の高さ、品揃えの悪さ、ポイントサービス等におけるサービスの悪さ等々の理由から自然と足が遠のいていたから、ある意味非常に納得のいく結果であるとも言えた。
上記の理由から、ここ数年は、HMVで買い物をするということは、何か特別やむを得ない事情があった場合のみとなってしまっていたくらいだから。

閉店の理由として、業界全体でCDが売れなくなってきたから、と言われているようだが、それはもちろんネットの普及による通販等の影響は大きいだろうが、聴く者を惹きつける魅力ある音楽がここ10年ほどで急速に生まれなくなってしまっていることが大きいのではないか。
ロック、ポピュラー関係でも、新譜において、これといった大ヒットアルバムの数は明らかに少なくなっているようだし、我々保守的な中年たちにとっては、ここ15年ほどは新譜よりは60~80年代の旧盤のリイシューにしか関心がいかなくなってきていたのもまた確かである。

ただ、名盤のリマスターやら紙ジャケやらの繰り返しにもまた限界があって、今度は音がいいとか、なんとかビットリマスターとか、揚句の果てにはHMCDとかSHM-CDとか言われても、同じアルバムを一体何回出せば気が済むんだよ、さすがにもういい加減にしてくれという気分になってきているのもまた否定できない。
いくら内容が素晴らしいとはいえ、同じアルバムばかり買ってもしようがないのだ。

ある意味、音楽の様式の進化?としては、ほとんど新たな未来の姿が見出せなくなっているジャズはともかく、ロックまでこんなに早く商業規模が衰退し始めるとは思いもよらなかった。

例えば、クラシックは19世紀には膨大な数の傑作を生んだが、20世紀に入るとその数は激減した。
コンサートのレパートリーに残っている20世紀の作品の数を思えばそのことは納得せざるを得ない事実だろう。
ジャズはフリーだ、フュージョンだとなんだかんだ言われつつ、結局は50~60年代の様式(簡単に言えば4ビートのハードバップ)の焼き直しより他にリスナーの関心を繋ぎ止めることができなかった。
『スイング・ジャーナル』の表紙、中身はなによりの証左である。

ここから分かるのは、結局、いいものが生まれる幸福な時代というものがある一方で、その時代が過ぎてしまえば、そのジャンルは創造的には衰退せざるを得ないということだ。

それに比べ、市場規模やポピュラリティからいって一見安泰と思われていたロックも、黄金時代であった70年代以降、知らず知らずのうちにゆっくりと衰退期に入っていたのかもしれない。
それが21世紀になって明らかに、それも急激にジャンルとしての魅力を失いつつあるように思える。
CD売り上げの減少は、そのジャンルそのものの魅力の減退の表れでもあるし、それが大衆と結び付きの強いロックともなれば猶更だ。

CDショップの売り上げを牽引するのはジャズでもクラシックでもなく、やはりポピュラー、とりわけロックだろう。
ジャズやクラシックは商業規模からいって、もともとそんなに売れるジャンルではない。
HMVの閉店に代表される出来事は、結局、ポピュラー、ロックのCDが売れなくなったからなのだろう。

それにしても、昔懐かしいWAVE(とりわけ渋谷店、六本木店、池袋店)、VIRGIN(とりわけ新宿店、京都河原町通り店)に続いてHMVまで撤退ということになったら(いずれおそらくそうなるだろう)さすがに寂しい。
私は仕事で全国を回ることが多いが、大阪にしても、京都にしても、中古CDショップまで激減しているという状況がある。
以前は重宝していた優良店がどんどん店を畳んでしまっているのだ。

HMVのような大手CDショップだけでなく、どうして中古店にまでリスナーの足が向かなくなったかというと、結局は、欲しいCDはすでに皆手元にあって、新たに買い足す必要のある(魅力ある)CDが見当たらないからだと思う。

こう考えてくると、音楽業界はとんでもない氷河期に入ってきているような気がする。
しかも、問題の本質は売り上げ云々という量的なものではなく、質的なものだからより深刻…なのではないだろうか。

 

[92] [93] [94] [95] [96] [97] [98] [99] [100] [101] [102]
テンプレ作った人:おみそ
今すぐブログ始めるなら:[PR]

PR:忍者ブログ
ブログ内検索
プロフィール
HN:
マサヤ
性別:
男性
趣味:
フランス映画、ジャズ
自己紹介:
フランスの映画監督ジャン=ピエール・メルヴィル監督作品のファンサイト附属のブログです。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
リンク、コメント、TB等はご自由にどうぞ。
カテゴリー
最新コメント
[04/14 マサヤ@管理人]
[04/10 mon]
[11/07 マサヤ@管理人]
[11/06 mon]
カウンター
忍者AdMax
NINJA TOOLS
アーカイブ