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アンリ・ヴェルヌイユ監督の『エスピオナージ』を国内盤DVD(IVC)で観た感想。

LE SERPENT』(73年)
監督:アンリ・ヴェルヌイユ 
脚本:アンリ・ヴェルヌイユ、ジル・ペロー 
撮影:クロード・ルノワール 
音楽:エンニオ・モリコーネ 
出演:ユル・ブリンナー、ヘンリー・フォンダ、ダーク・ボガード、フィリップ・ノワレ、ミシェル・ブーケ、マリー・デュボワ、ヴィルナ・リージ、ヘルガ・アンデルセン、ファーリー・グレンジャー

初見。
ピエール・ノールの原作を元に、東西冷戦時代の欧米各国の諜報活動を取り上げた政治スリラー映画
往年のフランス映画ファンにはおなじみのアンリ・ヴェルヌイユ監督の作品ですが、作品のスケールも大きく、なんといってもキャストが豪華。
ユル・ブリンナーヘンリー・フォンダダーク・ボガードの3人が揃うというのはかなり凄いことではないでしょうか。
また、それぞれにバランス良く見せ場を用意しているのもさすがアンリ・ヴェルヌイユ監督で、内容も実に見応えのある、面白い映画でした。

ダーク・ボガードなんてあのヴィスコンティの『ベニスに死す』(71)の次に出た映画がこれですからね~。
表情の演技がなんとも絶妙に上手い。
ヘンリー・フォンダは、どちらかというと苦手な俳優の一人ですが、この映画のヘンリー・フォンダは自然体の演技に味があって自然体でいいですね。
フランス人俳優ではフィリップ・ノワレも良かったです。
音楽はモリコーネ
撮影はクロード・ルノワール

ソフトは日ごろあまり評判の良くないメーカーのDVD(CDケース仕様)で観ましたが、画質は期待していた以上に良かったです。
これは嬉しい誤算。

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クロード・シャブロル監督の『女鹿』を国内盤DVD(紀伊国屋レーベル)で観た感想。

Les Biches』(68年)
監督:クロード・シャブロル
脚本:クロード・シャブロル、ポール・ジェゴフ 
撮影:ジャン・ラビエ 
音楽:ピエール・ジャンセン 
出演:ステファーヌ・オードラン、ジャン=ルイ・トランティニャン、ジャクリーヌ・ササール、ネイン・ゲルモン、アンリ・アタル、ドミニク・ザルディ

初見。
先日80歳で亡くなったクロード・シャブロル監督が、当時の妻ステファーヌ・オードランを主役に起用した絶頂期の作品の一つ。
女性二人、男性一人、という三角関係は初期の代表作『いとこ同志』(59)と逆の設定だが、内容もそれを彷彿とさせるものがある。
これまた、シャブロル的、としか言いようのない傑作である。

まず、冒頭の橋のシーンが素晴らしい。
フレデリック役のステファーヌ・オードランの黒尽くめのファッション、表情があまりにカッコ良く、のっけから釘付けになってしまう。

ところで、ステファーヌ・オードランという女優は当時シャブロルの妻だったわけだが、改めてよく見ると、確かに美人といえば美人なのだが、バランスのとれた完璧な美人というわけではなく、どこか癖のあるというか、不思議な顔付きの美人だ。
斜視っぽい目がそう思わせるのだろうか。
しかし、それがシャブロルのミステリアスな映画のテイストに驚くほどよく合っている。
この二人が結婚しただけでなく、映画を何本も撮ったのは当然といえば当然なのかもしれない。(80年に二人は離婚)

オードランよりも若く、顔立ちの整った美人であるジャクリーヌ・ササール(ホワイ役)は、映画の冒頭ではとても魅力的に見えるのに、映画が進行してくると、オードランと比較してしまうせいだろうか、何故かだんだんと物足りなく感じてしまう。
シャブロルの映画には、彼女がフツー過ぎる美人であるためかもしれない。

その二人に惚れられる男ポールを演じているポール役のジャン=ルイ・トランティニャンは、元はステファーヌ・オードランの実生活での夫であった。
そのトランティニャンと、自分の妻オードランを共演させ、ラヴシーンまで演じさせるシャブロル監督というのはちょっと我々日本人の感覚では分からない。
同時に映画の成功のためには、妻の元夫だろうがなんだろうがなりふり構わぬ配役をしてしまうという、監督の底知れぬ意思の強さを感じるのもまた確かだ。

e78ded73.jpegBILL EVANS From Left to Right』(69、70)

ビル・エヴァンスは最も好きなピアニストの一人だが、このアルバムはずっと敬遠してきた。
事実、このアルバムは、アコースティックピアノ(スタインウェイ)だけでなく、エレクトロニックピアノ(フェンダー・ローズ)の多用、多重録音、オーケストラとの共演、といった、アタマの固いジャズファンから嫌われる要素満載なのである。(どうやら私もアタマの固いジャズファンだったようだ)

ところが、先日たまたまCDショップでこのアルバムを試聴してビックリ。
なんという美しい音楽!
1曲目がミシェル・ルグラン作曲『What Are You Doing The Rest Of Your Life? これからの人生』なのだが、これがもうたまらない。
甘ったるいと言ってしまえばそうかもしれないが、この美しさは尋常ではない!

とりわけフェンダー・ローズの音色のなんたる味わい深さ、叙情性。
エヴァンスがどうとかジャズがこうとか言う以前に、これは音楽として実に魅力的だ。
オーケストラの使い方に、イージーリスニング的というか、BGM的な感じはあるのだが、ある意味、ここまで徹底していると、むしろだからこそ素晴らしいと思ってしまう。

ちなみに、ユーチューブは『これからの人生』のオーケストラの入らない別テイクの演奏だが、こちらの方が一般的なエヴァンスらしい演奏といえるかもしれない。


71f1f932.jpegアイアン・メイデンはかれこれ30年近くに渡って追いかけているバンドで、個人的な思い入れも強い。
これまで、さんざんいい思いをさせてもらったので、彼らが今も変わらず新譜を発表し続けていることだけでも充分に満足なのだが、その内容が今も変わらず充実しているのは驚異的としか言いようがない。
先月、メイデンのニューアルバム『ファイナル・フロンティア/THE FINAL FRONTIER』が発売されたので、私もずっと聴いている。

このニューアルバムはネットで調べる限り、あまり評判は良くない。
どちらかというと失望した人の方が多いようである。
ちなみに、私は前作の『ア・マター・ライフ・アンド・デス~戦記』も大変気に入ったし、その日本ツアー(日本武道館、東京国際フォーラム)にも行った。

そのツアーではアルバム全曲が楽曲順に披露されるという前代未聞のライヴだったこともあり、その予習も含め、アルバムをおそらく30~40回は聴いただろう。
アルバムの内容もとても気に入ったし、ライヴも驚異的な出来栄えだった。
とりわけ国際フォーラムでは2列目という好位置でバンドのポテンシャルの高さを心行くまで楽しむことができた。

そこで、このニューアルバム『ファイナル・フロンティア』である。

発売以来、かれこれ20回くらいは聴いただろうか。
今回のアルバムの内容は基本的には前作『ア・マター・ライフ・アンド・デス~戦記』の延長上にある内容であり、楽曲1曲1曲のレベルは高い。
難解という評価もあるようだが、決してそんな印象はない。
むしろ、前作の方が難解だったように思う。
前作は5回くらい聴き返してようやく内容の魅力に気付いたほどだったが、今回のアルバムは2~3回聴き通すうちにその内容がいかに魅力的であるかが実感できた。
そうなるには、ある程度近年のメイデンのアルバムを聴き込んでいる必要はあるかもしれないが…。

ニューアルバムは捨て曲なしの優れたアルバムだが、個人的に気に入ったのは①、④、⑤、⑦、⑧あたり。
76分という収録時間は確かに時間だけを考えれば長いが、1曲1曲を聴いていれば長さを感じることは全くといってよいほどない。
今回は3人のギターソロがかなりカッコいいし、ニコのドラムサウンドもいい。
ただ、方々で言われている通り、全体の音はこもっている感じで“音がいい”という感じではないのは確かに残念だ。

このアルバムはメイデン史(それはとりもなおさずメタル史ということだが…)に残る傑作とまでは言わないが、アイアン・メイデンを聴く喜びを満喫させてくれる力作であることは間違いない。
ファン必聴である。

セルジュ・ブールギニョン監督の『シベールの日曜日』を国内盤DVDで観た感想。

CYBELE OU LES DIMANCHES DE VILLE D'AVRAY』(62年)
監督:セルジュ・ブールギニョン 
脚本:セルジュ・ブールギニョン、アントワーヌ・チュダル 
撮影:アンリ・ドカ
音楽:モーリス・ジャール 
出演:ハーディ・クリューガー、パトリシア・ゴッジ、ニコール・クールセル、ダニエル・イヴェルネル、アンドレ・オウマンスキー 

初見。
セルジュ・ブールギニョン監督の長編第1作であり、アカデミー賞外国語映画賞受賞作。
長らく国内DVD化が熱望されていた映画であり、Amazon等のレビューを読む限り、現在でも一般的な人気が高い作品のようです。

以前もこのブログで紹介したことがありますが(記事はこちら)、監督のセルジュ・ブールギニョンは学生時代にジャン=ピエール・メルヴィルに映画作りを教わり、その縁で20歳にして『恐るべき子供たち』(50)の助監督を務めています(ノンクレジット)。
言うまでもなく『恐るべき子供たち』の撮影監督はアンリ・ドカであり、『シベールの日曜日』にドカが起用されたのもその縁なのでしょう。

また、あまり知られていない事実かもしれませんが、シベール(フランソワーズ)役のパトリシア・ゴッジはこの作品の前年(61年)にメルヴィルの『モラン神父』にエマニュエル・リヴァの娘役で出演しています。(『シベールの日曜日』が彼女の映画初出演だという記事もあるが、これは間違い)

当時『モラン神父』がフランス国内でヒットしたこともあり、セルジュ・ブールギニョンは『モラン神父』を観てパトリシア・ゴッジをこの映画にキャスティングした可能性は高いと思われます。
ちなみに、『モラン神父』の撮影監督もやはりアンリ・ドカ。
いろいろな意味でメルヴィルとも縁のある作品だといえましょう。

そんなわけもあってこの作品のDVDを買って観たのですが、映画自体は大変素晴らしい。
なんといっても、圧倒的に魅力的なのはアンリ・ドカの撮影
なんという美しいモノクロ映像でしょう。
これだけでもこの映画は不滅だと思います。

ただ、映画の内容には今一つ共感できませんでした。
主演のハーディ・クリューガーパトリシア・ゴッジともに演技は見事なのですが、その人物像というか、キャラに私はどうしても付いていけなかった。
この点がこの映画を好むか否かの分岐点なのではないかと思われます。

ピエールの愛人マドレーヌ役のニコール・クールセルは『港のマリー』(49年。マルセル・カルネ監督)に出演していた女優であり、それから10年余り、そのまま大人の女性に美しく成長していて魅力的。
しかし、どう考えてもイカレているピエールに献身的に尽くす姿がせつなくも理解不能。
まァ、だからこそ映画だとも言えるわけですが…。

ventura.jpg9月18日に池袋・新文芸坐にてジャン=ピエール・メルヴィル監督の『ギャング』(66年)が上映されます。
上映時間は 13:35/16:25/19:15 の3回。

今回の『魅惑のシネマクラシックス Vol. 12』と題された新文芸坐の特集上映では、他にも『ゲームの規則』『ベラクルスの男』『殺られる』などフランス映画の名作や『白夜』『熊座の淡き星影』のヴィスコンティ作品が上映予定。

9月23日にはメルヴィル監督の『恐るべき子供たち』も上映されます。
特集上映の詳しいスケジュールはこちら

ギャングの予告編です。(英語字幕付き)
言うまでもなくメルヴィルの大傑作ですが、この予告編だけでもしびれますね。

マルセル・カルネ監督の『嘆きのテレーズ』を国内盤DVD(パブリック・ドメイン)で観た感想。

THERESE RAQUIN』(52年)
監督:マルセル・カルネ 
脚本:マルセル・カルネ、シャルル・スパーク 
撮影:ロジェ・ユベール 
音楽:モーリス・ティリエ 
出演:シモーヌ・シニョレ、ラフ・ヴァローネ、ローラン・ルザッフル、ジャック・デュビー、シルヴィー

初見。
エミール・ゾラの原作『テレーズ・ラカン』をマルセル・カルネシャルル・スパークが脚色。
ゾラの原作を映画化した作品はルネ・クレマン監督の『居酒屋』などもそうだが、すこぶる暗い。
この作品もご他聞に洩れずだが、映画の内容は一級のサスペンスで、元水兵役のローラン・ルザッフルが現れてからの後半の畳み掛けるような展開は見事。

今さらながらだが、若い頃のシモーヌ・シニョレは美しい。
演技もすでに完成の域。
相手役のラフ・ヴァローネも役柄に合っていて良いが、それよりも、意地の悪い義母役を演じたシルヴィーが絶品。
口が利けなくなってからの目の演技のコワさといったら…。

ところで、今回観たDVDはパブリック・ドメイン盤で価格は『天井桟敷の人々』と2枚組で驚愕の500円
更に驚きは画質の良さ。
『天井桟敷の人々』は以前のパイオニア盤DVDに比べるとさすがにガクンと画質が落ちますが、『嘆きのテレーズ』に関しては字幕も含め全く不満を感じませんでした。(廃盤となったパイオニア盤は未見です)

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マサヤ
性別:
男性
趣味:
フランス映画、ジャズ
自己紹介:
フランスの映画監督ジャン=ピエール・メルヴィル監督作品のファンサイト附属のブログです。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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