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戦争で負傷し、記憶を喪失したジョージ・テイラーという男が、過去の自分を知る手がかりとしてラリー・クラバットなる人物を探すが、そこからさまざまな事件に巻き込まれる…というお話。
これは面白かったですね。
謎が謎を呼ぶストーリーが無駄なく展開し、飽きさせません。
主演の二人の魅力が今一つという印象はありますが、脇を固めるリチャード・コンテ、ロイド・ノーランといったところが良い味を出しています。
この時代の20世紀FOXのノワール作品には外れがないですね。
このところ観た映画のメモの続きです。
●『マンハッタンの哀愁』(65年、監督:マルセル・カルネ、出演:アニー・ジラルド、モーリス・ロネ)
ジョルジュ・シムノン原作『マンハッタンの三つの部屋』の映画化。
メルヴィル監督が映画化しようとして実現しなかったことでも知られる作品です。
映画史上の傑作『天井桟敷の人々』(45)で有名なマルセル・カルネ監督も50年代以降は低迷したというのが定説となっているようですが、これは個人的にとても好きな作品ですね。
確かにストーリー的にはかなり地味ですが、人生の倦怠感が実に巧く映像化されている作品だと思います。
アニー・ジラルドはもともと大好きな女優ですが、この作品の彼女の演技は本当に素晴らしい。
心のひだに沁みるようなマル・ウォルドロンのジャズも映画に相応しい見事な出来栄えです。
このところ観た映画のメモの続きです。
今回はロベール・ブレッソン監督の2作。
●『抵抗』(56年、監督:ロベール・ブレッソン、出演:フランソワ・ルテリエ、シャルル・ル・クランシュ)
第二次大戦中にドイツ軍に逮捕された若者が、監獄から脱獄を試みるというお話。
私が観たビデオパッケージのタイトルは『抵抗』だけだったが、『抵抗(レジスタンス)-死刑囚の手記より-』というタイトルで公開されたようだ。
一言、凄い映画。
あまりの緊張感に観ている方が逃げ出したくなる。
凡百のサスペンス映画が束になっても敵わない本物のスリルがある。
ストーリーも分かりやすく、簡潔な描写が題材によく合っていることもあって、ブレッソンの映画では入りやすい方だと思う。
他の映画だと押し付けがましくなりがちな感情の高まりをバッサリ拒絶したラストも、だからこそ印象的だ。
●『ジャンヌ・ダルク裁判』(62年、監督:ロベール・ブレッソン、出演:フロランス・ドゥレ)
最近発売されたブレッソン監督のDVDボックスから。
この作品に関しては、正直なところ、言葉で表現するのは難しい。
ジャンヌ・ダルクをテーマとした映画ではカール・ドライヤー監督の『裁かるゝジャンヌ』が有名であり、私もそれを一度観ただけで一生残るような強烈なショックを与えられた。
当然のことながら、ブレッソン監督はそれとは全く異なるアプローチで描き、そこにあった感情の異様なまでの高まりとか表現上のグロさは極力廃している。(『裁かるゝ…』で多用されたジャンヌのアップはここには全く無かったのではないか)
ジャンヌ・ダルクを演じたフロランス・ドゥレはいかにも普通の若い女性で、ブレッソン独特の簡潔な演出によって余計な感情身振りがないのは、かえって不自然だと思えなくもない。
裁判長の審問に澱みなく、キツいくらい冷静な口調で答えるジャンヌ像は新鮮と言えば新鮮である。
しかし、ジャンヌ本人よりも裁判そのものを描いたこの作品にはそれが相応しいのかもしれず、観終わった後にまた観直したくなる不思議な味わいを湛えている作品。
最近観た映画の続きです。
●『生きるべきか死ぬべきか』(42年、監督:エルンスト・ルビッチ、出演:キャロル・ロンバード、ジャック・ベニー、ロバート・スタック)
名人芸!と言いたくなるような見事な映画。
原題の『To Be or Not to Be』とは「ハムレット」の有名なセリフで、映画の中でも大きな意味合いを持ってくる言葉です。
ナチス・ドイツのポーランド侵攻という重いテーマを扱いながらも、内容はナチスを徹底的に皮肉っている。
スリラー的な手法とコメディが混合した得も言われぬ味わいがあります。
主演のキャロル・ロンバードはクラーク・ゲーブルの妻であったことでも知られる人で、“スクリューボール・コメディの女王”と呼ばれただけあって、容姿の美しさも含めて素晴らしい。
最近出たばかりの国内盤DVDで観たが、画質は良いが、字幕が分かりにくくて最悪。
しかし、映画は最高。
第二次大戦中のフランスのレジスタンス活動を描いた仏米合作映画『パリは燃えているか』を観ましたので、その簡単なメモです。
●『パリは燃えているか』『Paris brûle-t-il?』『IS PARIS BURNING?』(英題)(66年)
監督:ルネ・クレマン
撮影:マルセル・グリニヨン
音楽:モーリス・ジャール
出演:ジャン=ポール・ベルモンド、シャルル・ボワイエ、グレン・フォード、アラン・ドロン、カーク・ダグラス、ゲルト・フレーベ、オーソン・ウェルズ、レスリー・キャロン、シモーヌ・シニョレ、ジャン=ピエール・カッセル、ジョージ・チャキリス、イヴ・モンタン、アンソニー・パーキンス、ジャン=ルイ・トランティニャン、ロバート・スタック、ミシェル・ピコリ、ピエール・ヴァネック 他
この映画にはオリジナル版と英語版があるようですが、私が観たのは英語版です。
フランシス・フォード・コッポラが脚本に参加していることでも知られているこの作品は、レジスタンス組織内部の葛藤と、ヒトラーからパリ壊滅を命令されたドイツ軍司令官の葛藤などを描いています。
時期は44年8月と、ドイツ軍によるパリ占領末期からパリ解放までを描いていますが、他の戦争映画のような、ドンパチドンパチの戦闘シーンはそれほど多くありません。
ナチス・ドイツによるパリ壊滅作戦がなぜ行われなかったかの事情が詳しく描かれていないなど、それなりの不満はありますが、私はかなり面白く観ました。
3時間近い映画ですが、ほとんど退屈なシーンもなく、解放前後のパリ市民の高揚した精神が描かれているのが大きな見ものだと思います。
実際の映像もところどころ加えられていますが、モノクロの映像ということもあって、大きな違和感はありませんし、それを観られるのはむしろ貴重でしょう。
超豪華キャストで有名な作品であり、もちろん、それが映画の大きな魅力でもありますが、少々持て余し気味で、ちょっと勿体無い感はあります。
必ずしも皆に大きな見せ場が用意されているわけではありません。
個人的に印象的だったキャストを挙げてみます。
ドイツ軍の監視をかい潜ってアメリカ軍にパリの窮状を知らせに行くレジスタンス活動家を演じたピエール・ヴァネック。
この俳優は、先日観た『勝負をつけろ』(ジャン・ベッケル監督)にも出ていましたが、超豪華キャストを向こうに回して、ここではほとんど主演に近い扱いです。
パリに憧れるアメリカ兵を演じたアンソニー・パーキンスの存在感も忘れがたい。
出演場場面は少ないですが、独特の持ち味が出ています。
また、ドイツ軍司令官コルティッツ将軍を直接降伏に追い込むジャン=ピエール・カッセルも儲け役。
そして、なんといっても、映画の影の主役といえるのが、コルティッツ将軍を演じたゲルト・フレーベ。
パリの街が“主役”の映画でもあり、ヒトラーの命令に背いて、そのパリの街を救った彼こそが映画の本当の主役であるとも言えるでしょう。
アラン・ドロン、ジャン=ポール・ベルモンドの数少ない共演作でもあり、二人が同じ画面に写る嬉しいシーンもありますが、残念ながら二人の見せ場と言える場面はほとんどありません。
観たのが英語版ということもあって、特にベルモンドの吹き替えに違和感があります。
それにしても、これを観ると、同じレジスタンスを描いたメルヴィルの『影の軍隊』がいかに渋く、地味な作品かがよく分かります。
同じ第二次大戦中でも、描かれている時期が、『影の軍隊は』42年10月から翌年にかけて、『パリは燃えているか』は44年8月とすでに解放の光明が見え始めている時期なので、レジスタンスに携わる人々の気分が全く違うということはあるのですが、こちらは仏米合作ということで、ハリウッド資本も入っている映画なので、当然のことながら、映画としての“見せ方”が全く異なります。
私個人はどちらも好きです。
このところ40年代後半のアメリカ映画のフィルム・ノワール作品を続けて観ましたので、そのメモです。
●『闇の曲り角』(46年、監督:ヘンリー・ハサウェイ、出演:マーク・スティーヴンス、ルシル・ボール、クリフトン・ウェッブ)
●『死の接吻』(47年、監督:ヘンリー・ハサウェイ、出演:ヴィクター・マチュア、リチャード・ウィドマーク、ブライアン・ドンレヴィ)
●『情無用の街』(48年、監督:ウィリアム・キーリー、出演:マーク・スティーヴンス、リチャード・ウィドマーク、ジョン・マッキンタイア)
どれも20世紀FOXの作品なのですが、ほぼ同時期の作品ということもあって、監督、キャストなど、いろいろ共通点があります。
『闇の曲り角』と『情無用の街』の撮影はジョー・マクドナルド、『死の接吻』の撮影はノーバート・ブロダインです。
『闇の曲り角』
殺人事件に巻き込まれてしまう探偵のお話。
主演のマーク・スティーヴンスが魅力的。
風貌がコーネル・ワイルドとちょっと重なる印象がありますが、どことなくセルジュ・レジアニにも似ている気もします。
先日観た『ガラスの鍵』にも出ていたウィリアム・ベンディックスがここでも持ち味を発揮。
ヒロインのルシル・ボールの明るさがノアールとは異質な感もありますが、これはこれで魅力的。
『ローラ殺人事件』でも印象的だったクリフトン・ウェッブが、ここでも同じような役柄をこなしています。
ストーリーもなかなかよく出来ていて個人的にも好きな作品です。
『死の接吻』
主演のヴィクター・マチュアのキャラクターが若干魅力に欠けるものの、この作品で鮮烈デビューを飾ったリチャード・ウィドマークの存在感がなんとも印象的。
彼の怖さを印象付ける演出が見事。(画面に不在でも存在感を感じる!)
『闇の曲り角』と同じヘンリー・ハサウェイ監督の作品ですが、ストーリー的には『闇の曲り角』より一枚落ちる感はあるものの、冒頭の宝石強盗からエレベーターで下るあたりの緊張感のある描写など印象的。
やはり『ガラスの鍵』で悪徳政治家を演じていたブライアン・ドンレヴィが、ここでは全くイメージの異なる検察官役を好演。
『情無用の街』
FBIの内幕をセミ・ドキュメンタリー・タッチで描いた作品。
後半よく理解できないシーンがありましたが、ストーリー的にもかなり面白かった作品です。
これもやはり『闇の曲り角』と同じマーク・スティーヴンス主演作で、彼個人の魅力としては『闇の曲り角』の方が上という感じがしますが、ここでも、敵役のリチャード・ウィドマークの存在感が光ります。
『死の接吻』よりも後の作品ということもあって、演技にさらに磨きが掛かっている印象。
単にコワいだけでなく、人間的な愛嬌も感じさせるのが俳優としての彼の魅力でしょう。
主演作の『街の野獣』(監督:ジュールス・ダッシン)が観たい…。
あと、『アスファルト・ジャングル』(監督:ジョン・ヒューストン)のコミッショナー役ジョン・マッキンタイアが脇役で出ているのも嬉しいところ。
またまた、このところ観た映画のメモです。
●『陽のあたる場所』(51年、監督:ジョージ・スティーヴンス、出演:モンゴメリー・クリフト、エリザベス・テイラー)
BS放送にて鑑賞。
これまでエリザベス・テイラーの出演作は観た記憶がほとんどないので、初めて彼女を観るような気持ちで鑑賞。
彼女の容姿は個人的に趣味ではないが、確かに美しいといえば美しい。
この時代らしいハリウッド映画らしい堅実な作りで、隙のない演出、ストーリー展開、俳優の演技、いずれも見事な出来。
内容が内容なので、あまり好きな映画ではないが。
個人的には、最後の裁判シーン以後は無くてもよいような気がした。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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