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アンリ・ヴェルヌイユ監督の『追悼のメロディ』をユニバーサル盤DVDで観たのでその感想。

image134.gifLe Corps de Mon Ennemi』(77年)
監督:アンリ・ヴェルヌイユ
脚本:アンリ・ヴェルヌイユ、ミシェル・オーディアール、フェリシアン・マルソー
撮影:ジャン・パンゼル
音楽:フランシス・レイ
出演:ジャン=ポール・ベルモンド、マリー=フランス・ピジェ、ベルナール・ブリエ

ジャン=ポール・ベルモンド主演の復讐サスペンスの名作!”とDVDのパッケージには記されている。
観た感じとしては、正直言って、傑作とか名作という形容はできかねるが、それなりに楽しめる作品であることは確か。
DVDの画質も良いと思う。

無実の罪で服役したベルモンドが、7年の刑期を終え出所するところから物語は始まるのだが、さまざまな時系が錯そうするので少々分かりにくい。
私の理解不足かもしれないが、一度観ただけでは意味不明の登場人物も何人かいるし、サスペンスという割には緊張感が今一つ。
復讐というには怒りとか恨みとか行動を駆り立てる感情的な原動力が必要だと思われるが、ベルモンド演じる主人公のクールなキャラクターからはその感情はあまり伝わってこない。
まあ、そういう側面を前面に出そうという気がそもそもないのだろうけど。

それにしても、この邦題は映画の内容からいっても意味不明。

77年の作品ということで、ベルモンドも少々老けた感も無くは無いが、さすがにまだまだ魅力的。
マリー=フランス・ピジェも彼女らしい役柄で好演。
ベルナール・ブリエは今一つキャラクターが伝わってこないが、これは脚本のせいか。
他には、ジャン・パンゼの撮影も良く、また、フランシス・レイの音楽も印象的である。

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ルイ・マル監督の『鬼火』を久々に観たので、その簡単な感想。

image133.gifLe Feu follet』 (63年)
監督:ルイ・マル
撮影:ギスラン・クロケ
音楽:エリック・サティ
出演:モーリス・ロネ、ジャンヌ・モロー他

紀伊国屋書店から出ているDVDで観たが、画質はとても良い。
DVDの時間は104分だが、実際は108分のようなので、PALマスターが使われている可能性が高い。
DVDのパッケージにもリーフレットにもその記述はないが。

物語はシンプル極まりない。
アルコール依存症で精神病院に4ヶ月入院していた男の最後の二日間を追った映画。
暗いといえば暗い映画だが、その暗さが魅力となる映画はそう多くないだろう。
メルヴィルの『サムライ』なんかもそういった映画の一つかもしれないが、フランス映画にそういった映画が多いのはなぜなのだろうと考えたりもする。
それらは、ある意味、キザったらしい映画だとも言えるが、決してそこに堕してはいないと思う。

正直言って、眠気を誘うシーンがなくはないのだが(私の体調のせいもあるけど)、作風にはマルの師匠でもあるロベール・ブレッソンの影響が強く窺える作品でもある。

この作品のレビューをキチンと書こうとするならば、主人公の心理だとか、作品の理論的な分析が必要なのかもしれないが、正直そういった側面にはさして興味もないし、そもそも分析能力も持ち合わせていないので、映画の表面的なことばかり書くことにする。

若い頃なら、主人公の心理にもっと共感して観たような気もするのだが、今はそういう意識ではほとんど観ていない。
それでも、この映画は充分に魅力的。
この映画の撮影のために20キロも減量したというモーリス・ロネの演技が、主人公になりきっていて(外見も含め)魅力的だからだが、その友人たちもあまり有名な俳優、女優は出ていないものの、どれも個性的で魅力的に見える。
ジャンヌ・モローはチョイ役ながら印象的。

また、ギスラン・クロケによるモノクロ映像が大変素晴らしい。
なんというか、映像に他の映画ではあまり味わえないような生々しい感触がある。
ほとんどがパリのロケーション撮影で、ゲリラ的に撮影されたシーンもあることが、映像に映っている周囲の人々の反応でも窺える。

そして、エリック・サティの音楽の使い方が絶妙に巧い。
ところ構わず使うのではなく、本当にここだというところに使われているように感じる。
先日取り上げた『死刑台のエレベーター』でのマイルス・デイヴィスの起用、また『恋人たち』におけるブラームスの音楽の使用もそうだが、この頃のルイ・マルの音楽の選択の才能はある種天才的と言えるかもしれない。

あと、この映画の助監督はフォルカー・シュレンドルフ(『モラン神父』『いぬ』の助監督)。

この10月、東京日比谷のシャンテシネにて「シャンテシネ 21周年記念 旧作特別上映」が行われます。
ビクトル・エリセテオ・アンゲロプロスらの作品をスクリーンで観られるチャンスです。
関連ページへのリンク

上映作品
ベルリン・天使の詩』(ヴィム・ヴェンダース)、『悲情城市』(ホウ・シャオシエン)、『こうのとり、たちずさんで』(テオ・アンゲロプロス)、『エル・スール』(ビクトル・エリセ)、『ミツバチのささやき』(ビクトル・エリセ)、『ユリシーズの瞳』(テオ・アンゲロプロス)、『永遠と一日』(テオ・アンゲロプロス)、『ヘヴン』(トム・ティクヴァ)、『長江哀歌』(ジャ・ジャンクー)

入場料が1000円というのも嬉しいところです。
ビクトル・エリセの作品では、『ミツバチのささやき』は数年前、同じシャンテシネで観ました。
今度は『エル・スール』を是非スクリーンで観たいですねぇ。
テオ・アンゲロプロスの作品は未見なので、いずれかを是非。

ちなみに、ヴィム・ヴェンダースの『ベルリン・天使の詩』は過去DVD等で何度か観ていますが、正直苦手な作品です。(ちなみに、ヴェンダースの作品では特に70年代のものは好きなものが多いのですが)
その理由の一つはハッキリしていて、ヒロイン役の女優の容姿がどうも苦手なのです。
なんとなく、またあの作品の雰囲気に浸りたいという気持ちはありますが…。

来る11月、大阪にて『第15回 大阪ヨーロッパ映画祭』が開催されます。
公式サイト

内容は、「ヨーロッパ最新映画作品上映」、「伝説の巨匠 デビット・リーンとモーリス・ジャール」、「ヌーヴェル・ヴァーグから遠く離れて」、「東欧・ロシア“20世紀・映画の旅”」などですが、とりわけフランス映画ファンにとって興味深いと思われるのが「ヌーヴェルヴァーグから遠く離れて」。

上映作品は以下の通り。

美しきセルジュ』(シャブロル)、『シュザンヌの生き方』(ロメール)、『モンソーのパン屋の女の子』(ロメール)、『恋人のいる時間』(ゴダール)、『男性・女性』(ゴダール)、『愛の昼下がり』(ロメール)、『クレールの膝』(ロメール)、『いとこ同志』(シャブロル)、『ミュリエル』(レネ)、『ヒロシマ・モナムール(二十四時間の情事)』(レネ)、『彼女について私が知っている二、三の事柄』(ゴダール)、『女は女である』(ゴダール)、『5時から7時までのクレオ』(ヴァルダ)、『幸福』(ヴァルダ)、『パリところどころ』(オムニバス)、『O侯爵夫人』(ロメール)、『ラ・ピラート』(ドワイヨン)

上映スケジュールはこちら

トリュフォー、リヴェットなどの作品がないのが寂しいといえば寂しいですが、これだけの数のヌーヴェルヴァーグ作品がスクリーンで観られる機会もそう多くはなく、貴重な機会となることでしょう。

ロベール・ブレッソン監督の『ブローニュの森の貴婦人たち』(45年)を紀伊国屋書店から出ているDVDで観ました。
a8b91c94.gif
監督・台本・脚色:ロベール・ブレッソン
原作:ドニ・ディドロ
台詞監修:ジャン・コクトー
撮影: フィリップ・アゴスティーニ
出演:ポール・ベルナール、マリア・カザレス、エリナ・ラブルデット

ブレッソン監督作品としては、先日観た『罪の天使たち』に続く長編第2作となります。
まだプロの俳優が使われており、ポール・ベルナールマリア・カザレスなど著名な俳優が出演しています。
作風としては先日観た『罪の天使たち』に近く、男女の愛憎劇を描いたメロドラマですが、内容は分かりやすい方なので、かなり楽しめました。
登場人物はヘンな人たちばかりですが…。
キャストでは、なんといっても、マリア・カザレスの存在感が他を圧倒しています。
そのせいか、エリナ・ラブルデットの存在感が薄いような気がしました。

気になるDVDの画質について。
仏版PALマスターが使われているとのことですが、紀伊国屋書店のDVDとしては、画質があまり良くないのが残念。

ヘンリー・ハサウェイ監督の『Gメン対間諜』(45年)を20世紀FOXから出ているDVDで観たので、その感想。
フィルム・ノワールのカテゴリーに入れてよいのかどうか分かりませんが、とりあえず便宜上入れておきます…。

ヘンリー・ハサウェイ監督の作品はこれまで『闇の曲り角』、『死の接吻』を観ていますが、どちらも実に面白かったです。(どちらもまた観たい!)
そんなわけで期待大でこの作品も観始めました。
結論から言いますと、これまで見た作品に比べると、一枚落ちる感は否めません。

第二次大戦中に米国内で活動していたドイツ人スパイFBIとの対立を描いた作品で、FBIが果たした役割を宣伝する目的の映画と言えなくもない作品です。
映画としては面白いことは確かで、クリストファーというドイツ側の大物スパイが誰なのかという謎が終始興味を惹きつけますし、ラストでのオチもなかなか。
ただ、セミドキュメンタリー色が濃いためにナレーションが多く、映画としてのストーリーが膨らんでこないのと、結果として登場人物の魅力がもう一つ伝わってこないもどかしさがあります。

広島に投下された原子爆弾の製造計画の秘密の漏洩が描かれているところなど、日本人としては複雑な気持ちにもさせられますが、思想的なプロパガンダ色がそれほど強くわけではないので、その点は安心して観られました。

キャストでは、FBI捜査官を演じたロイド・ノーランが、いつもながらの知的な雰囲気を醸し出して印象的。

House On 92nd Street』(45年)
監督:ヘンリー・ハサウェイ
主演:ウィリアム・エイスシグニ・ハッソロイド・ノーラン

f8509fd4.gifルイ・マル監督の『死刑台のエレベーター』(57)を久々に観直しました。
観たのは先日購入した紀伊国屋書店のDVDです。

このDVDは、ニューマスターを謳っていますが、画質はベストとは言えないまでもまずまずの仕上り。

この作品を観たのは今回で3~4回目ぐらいでしょうか。
当然結末は分かっていますが、それでも充分楽しめました。
キャストの魅力、無駄のない絶妙なまでの展開など、今さら言うまでもないことですが、改めて傑作だと感じました。

今回観て気に入ったシーンをいくつか。

エレベーター内のモーリス・ロネがタバコの箱に火をつけ、エレベーターの高さを調べるために、下に落とすと、火のついたタバコの箱がゆらゆら落ちていくシーン。

高速道路のシーンすべて。

ジャンヌ・モローの独特の歩き方。

殺人事件を描いた映画なのに、殺人シーンをあからさまに描いていないこと。

出番は必ずしも多くないものの、刑事役のリノ・ヴァンチュラの皮肉が効いた存在感。

モーリス・ロネの男前ぶり。

などなど…です。

マイルス・デイヴィスの音楽も有名ですが、彼によるこの映画のサントラは、マイルスの多くの名盤中でもとりわけ好きなものの一つです。
アンリ・ドカによる素晴らしい映像美も堪能しました。

なお、以前このブログでも紹介した、この作品に関連するルイ・マルのインタビュー記事はこちら

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マサヤ
性別:
男性
趣味:
フランス映画、ジャズ
自己紹介:
フランスの映画監督ジャン=ピエール・メルヴィル監督作品のファンサイト附属のブログです。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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