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0d0ddc48.jpeg以前別サイトにて書いたフランソワ・トリュフォー監督作品のレビューの転載です。(一部手直しあり)
今回は初期の代表作『大人は判ってくれない』。

LES QUATRE CENTS COUPS』 (59年)
監督:フランソワ・トリュフォー
脚本:フランソワ・トリュフォー、マルセル・ムーシー
撮影:アンリ・ドカ
音楽:ジャン・コンスタンタン
出演:ジャン=ピエール・レオー(アントワーヌ・ドワネル)、クレール・モーリエ(母)、アルベール・レミー(継父)、ギー・ドコンブル(担任教師)
101分、モノクロ

トリュフォー自身の少年期をそのまま映画化したかのような自伝的要素の強い作品。
カンヌ映画祭監督賞受賞作であり、ゴダールの『勝手にしやがれ』(59)と並んで、ヌーヴェル・ヴァーグの代表作とも言われる作品です。
トリュフォーといえば、まずこの作品を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。

これはまた、トリュフォーの分身とも言えるアントワーヌ・ドワネルを主役とした作品群の第1作に当たる作品でもあります。
後に“ドワネルもの”と言われることになるその連作は、ジャン=ピエール・レオーという一人の俳優が同じ役を年代に応じて演じ続けるという、映画史上にも例のないユニークな作品となったのです。
それは、なんといってもトリュフォーの“分身”たるジャン=ピエール・レオーという一人の俳優をこの映画の主演に得たことが大きかったと思われます。

この映画を初めて観た時は、正直言って身につまされるシーンが多く、主人公が気の毒に思えて、それほど好きな作品とは言えなかったのですが、観る度に素晴らしい映画だと感じるようになりました。
特にラストは映画史に残る名場面といってよいでしょう。
この映画におけるジャン=ピエール・レオーは本当に素晴らしいです。

ちなみに、アンリ・ドカが撮影を担当したトリュフォー作品は意外にもこの作品のみ。
また、担任教師役のギー・ドコンブルはメルヴィルの『賭博師ボブ』(55)で刑事役を演じています。
これも必見。

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truffaut4.jpg以前別サイトにて書いたフランソワ・トリュフォー監督作品のレビューの転載です。(一部手直しあり)
今回は『水の話』。

HISTOIRE D’EAU』 (58年)
監督:フランソワ・トリュフォー、ジャン=リュック・ゴダール
脚本:フランソワ・トリュフォー
編集:ジャン=リュック・ゴダール
撮影:ミシェル・ラトゥーシュ
出演:ジャン=クロード・ブリアリ(青年)、カロリーヌ・ディム(娘)
18分、モノクロ

大洪水で交通網が破壊される中、偶然知り合った男女の恋愛模様を描いた作品で、なんと、トリュフォーとゴダールの唯一の共同監督作品です。

たまたまその時期フランスで大洪水があり、せっかくの機会だから、と撮ったのがこの作品だったとだとか。
彼らに関心のある者にとっては、彼らの共同監督というだけで興味津々ですが、時間も短く、内容にもさして観るべきものがないのがちょっと残念…。
ただ、主演の2人が魅力的なのと、音楽の使い方がユニークで面白いことは指摘すべきでしょう。

それにしても、映像で観る限り、この洪水はスゴイ…確かに「水の話」には違いありません(笑)。

truffaut3.jpg以前別サイトにて書いたフランソワ・トリュフォー監督作品のレビューの転載です。(一部手直しあり)
今回は短編処女作の『あこがれ』。

LES MISTONS』 (57年)
監督:フランソワ・トリュフォー
脚本:フランソワ・トリュフォー
撮影:ジャン・マリージュ
音楽:モーリス・ル・ルー
出演:ベルナデット・ラフォン(ベルナデット)、ジェラール・ブラン(ジェラール)、子供たち
19分、モノクロ

トリュフォー25歳の時の短編処女作で、20分足らずの小品
すでにヒロインや子供たちの描写に後年のトリュフォーならではの明るい雰囲気が感じられ、小品ながら十分楽しめます。

ヒロインのベルナデット・ラフォンは、これが映画初出演とのことですが、ここでは健康的なお色気がとても魅力的。
逆にその恋人役のジェラール・ブランはほとんど存在感がありません…なんでも彼と撮影で対立したトリュフォーがブランの目立つシーンをカットしてしまったのだとか。
ちなみに撮影当時、ラフォンとブランは実生活でも夫婦でしたが、この作品の後別れてしまったという、あまり笑えない話もあります。

小品ではありますが、大変瑞々しい作品であり、トリュフォー・ファンならずとも一見の価値のある作品です。

エドゥアール・モリナロ監督の『彼奴を殺せ(きゃつをけせ)』をレンタルビデオで観た感想です。

938ce421.jpegUn Temoin dans la ville』(59年)
監督:エドゥアール・モリナロ
脚本:エドゥアール・モリナロ、ジェラール・ウーリーほか
撮影:アンリ・ドカ
音楽:バルネ・ウィラン
出演:リノ・ヴァンチュラ、フランコ・ファブリーツィ、サンドラ・ミーロ、ジャック・ベルティエ、ダニエル・チェカルディ、ロベール・ダルバン

先日紹介した『殺られる』に続く、エドゥアール・モリナロ監督のフィルム・ノワール作品。
リノ・ヴァンチュラ主演作としては、彼の役にあまり感情移入しにくい作品であるが、ストーリーは分かりやすく、内容も面白い。
ときおり不必要とも思えるタクシー運転手たちのエピソードも挟まるが、映画の後半でそれが効いてくる。
『殺られる』ほどではないが、なかなかの緊迫感を持った作品である。

リノ・ヴァンチュラに追われることになるタクシー運転手役のフランコ・ファブリーツィは『青春群像』や『』など、初期のフェリーニ作品に出演している俳優だが、さして魅力的とは思えない普通っぽさが、却って人物像にリアリティを与えている。
その先輩タクシー運転手役のロベール・ダルバン(『パリ大捜査網』)がなかなかいい味を出しているし、フランコ・ファブリーツィの恋人役にクロード・ソーテ監督の『墓場なき野郎ども』にも出演しているサンドラ・ミーロが出演しているのが嬉しい。
事実、この作品の彼女も『墓場なき野郎ども』に勝るとも劣らないほど魅力的だ。
また、これはアンリ・ドカの素晴らしい夜のロケ撮影が大変魅力的な作品でもある。

ところで、この映画のサントラは、バルネ・ウィラン・クインテットによるもの。
バルネ・ウィランはフランスのテナー・サックス奏者で、あの『死刑台のエレベーター』のサントラに参加していることでも有名。
この『彼奴を殺せ』のサントラCDは、輸入盤や中古盤などでは比較的入手しやすいので、興味のある方は是非一聴を。

同じモリナロ監督の『殺られる』ではアート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズがサントラを担当していたが、やはりアート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズがサントラを担当したロジェ・ヴァディム監督の『危険な関係』(59年)にもウィランは参加している。
この『彼奴を殺せ』のサントラでは、ケニー・ドーハム(tp)、デューク・ジョーダン(p)といった、アメリカから参加した他のメンバーもすこぶる魅力的。

ちなみに、この映画のサントラを録音したのは58年だが、その翌年のの59年4月に、サントラの録音とほぼ同メンバーのバルネ・ウィラン・クインテットがパリのクラブ・サン・ジェルマンでライヴを行っており、そこでも、このサントラのテーマ曲が演奏されている。
ドラムは、メルヴィルの『仁義』のサントラにも参加しているダニエル・ユメール

そのライヴ盤(『バルネ』『モア・フロム・バルネ』の2枚。『彼奴を殺せ』のテーマは『バルネ』に収録)は、演奏の素晴らしさもさることながら、会場となったクラブ・サン・ジェルマンの雰囲気が見事に捉えられていることでもよく知られている。
録音状態も大変良く、個人的にも、最も好きなジャズのライヴ盤の一つである。

キャロル・リード監督の『邪魔者は殺せ(けせ)』を国内盤DVD(東北新社)で観た感想です。
2ad63be5.jpeg
監督:キャロル・リード
原作:F・L・グリーン
撮影:ロバート・クラスカー
音楽:ウィリアム・オルウィン
出演:ジェームズ・メイスン、キャサリン・ライアン、ロバート・ニュートン、シリル・キューザック、ダン・オハーリヒー


久々の鑑賞。
キャロル・リード監督の作品では『第三の男』が有名だが、この作品は『第三の男』に勝るとも劣らぬ作品として指摘されることもある作品。
初めて観た時は、正直なところ『第三の男』のレベルにはとても達していないと思ったものだが、今回観直してみて、こんなに面白く、凄い作品だったのかと再認識した次第。

初めて観たときの印象では、負傷したジェームズ・メイスンがウロウロしているだけの映画だという印象だったのだが、彼の周囲の人々の葛藤がこれほどまでに面白く描かれている映画だったとは。
その脇役たちも実に芸達者が揃っており、一つ一つのエピソードがなんともおもしろい。

もちろん、中心人物たるジェームズ・メイスンの存在感がしっかりしていなければ映画として締まらないと思うが、実際はジェームズ・メイスンの演技も文句のつけようのない素晴らしい出来である。
ヒロイン役のキャサリン・ライアンの冷たい風貌がいい。
他のキャストも誰しも印象的である。

内容はシリアスなようでいて、ところどころユーモアが効いているのはいかにもイギリス映画といったところか。
映画後半の画家のアパートや場末のバーの雰囲気、ラストの雪の光景、またロバート・クラスカーによる陰影深い撮影、ウィリアム・オルウィンの音楽など、どれも素晴らしい。

ジャック・ドレー監督の『パリ警視J』を国内盤DVD(東北新社)で観た感想です。

56ddec33.jpegLE MARGINAL』(84年)
監督:ジャック・ドレー
脚本:ジャック・ドレー、ジャン・エルマン
撮影:ザヴィエ・ショワルツェンベルガー
音楽:エンニオ・モリコーネ
出演:ジャン=ポール・ベルモンド、ヘンリー・シルヴァ、ピエール・ヴェルニエ、チェッキー・カリョ、ジャン・エルマン

初見。
ジャン=ポール・ベルモンドが破天荒な刑事役を演じるアクション映画。
原題は“はみ出し者”とかいう意味らしく、ベルモンド演じる刑事のことを指しています。
国内盤DVDは現在廃盤ですが、廃盤の割にはAmazonでほぼ定価で入手できました。

先日HPでも紹介した雑誌『映画秘宝 2009年2月号』の特集記事の中で『フレンチ・フィルム・ノワール傑作選20!』に選出されている作品ですが、実際に観てみますと、フィルム・ノワールといった雰囲気は薄く、あくまでベルモンド主演のアクション映画といった感じです。
作風もベルモンド主演作らしい明るさがあります。

映画としては、ストーリーにもう一つ奥行きがなく、ラストの盛り上がりにもどこか物足りなさが残りますが、とにかくベルモンド一人の魅力に負うところ大の映画。
『映画秘宝』によると、ベルモンドの派手なスタントの観られるほとんど最後の作品とのことですが、実際、この映画のベルモンドはまだまだ充分にカッコ良く、彼のファンなら、まずは満足できる作品なのではないでしょうか。
とりわけ、モンマルトルの場末のバーでの殴り合いのシーンは最高。

エンニオ・モリコーネの音楽は、映画のトーンよりは少々湿っぽい感じがしますが、充分に魅力的。

image27.jpgロベール・ブレッソン監督の『たぶん悪魔が』を国内盤DVD(紀伊国屋書店)で観た感想です。

LE DIABLE PROBABLEMENT』(77年)
監督:ロベール・ブレッソン
脚本:ロベール・ブレッソン
出演:アンリ・ドゥ・モブラン、アントワーヌ・モニエ、レティシア・カルカーノ

相変わらず素人の俳優を起用したブレッソン後期の作品。
映画の印象はブレッソンらしい暗さで、内容も分かりそうでよく分からない。
ストーリー的には環境問題が大きなテーマとなっているようなのだが、正直なところ、登場人物たちの言わんとすることが分かりにくいのだ。(おそらく私の理解不足でしょう)

製作年代が近いこともあってか、次作『ラルジャン』(83)に映画の印象は近いが、緩そうな流れでいながら、それでいて油断のならない緊張感が映画を支配していると言ったらよいのだろうか。
この流れに身を任せるのは決して不快な感じではなく、むしろ、どこか心地良かったりする。
当然、退屈なシーンもあるが。
もちろん、ストーリー的な面白さを期待すべき映画ではないというのは分かってはいるのだが、映画を観る側の感受性によってもかなり作品の評価が分かれそうな作品ではある。
個人的には、そう何度も観たい作品ではない。

それでも映画の舞台となったパリのカルチェラタンの風景や、美しいカラー映像には救われる。
それと、登場人物たちの容姿が美しいのもブレッソン作品らしい。

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マサヤ
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男性
趣味:
フランス映画、ジャズ
自己紹介:
フランスの映画監督ジャン=ピエール・メルヴィル監督作品のファンサイト附属のブログです。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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