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先日挙げた私の好きなジャズ・アルバム・ベスト20の中から今回取り上げるのは⑤(順位ではありません)に挙げたリー・コニッツ『モーション』。
『MOTION』(Verve)
①アイ・リメンバー・ユー②オール・オブ・ミー③フーリン・マイセルフ④帰ってくれればうれしいわ⑤四月の思い出(ボーナストラック除く)
リー・コニッツ(as)、ソニー・ダラス(b)、エルヴィン・ジョーンズ(ds)(61年)
40年代から60年代の演奏を中心にリー・コニッツはよく聴いていますが、彼を好きになったキッカケがこの『モーション』であり、やはり今でも一番好きなのもこのアルバムなのです。
楽曲はスタンダードを中心に5曲。
スタンダードを肴に、とことんアドリブの可能性を追求している印象の強いアルバムです。
アルトサックス、ベース、ドラムという珍しいトリオ編成で、これはソニー・ロリンズが名盤『ヴィレッジ・ヴァンガードの夜』(57)で採っていたトリオ編成と同じ。
ピアノのコードの制限を受けないためにソロイストにより大きな自由がもたらされるとのことで、ここではコニッツがとことん自由奔放に吹きまくっている印象です。
似たような曲調の演奏が続くので、ちょっと聴いただけでは、どの曲も同じように聴こえてしまうかもしれませんが、このアルバムを聴いていますと、言葉では説明しがたい、妙なくらい心地良さがあり、コニッツ独特の音色、フレージングを楽しむのに、これ以上のアルバムはないのではないかと思わされます。
ソニー・ダラスのベースプレイも、不思議な浮遊感のある4ビートを刻んでいて魅力的です。
また、ドラムのエルヴィン・ジョーンズの参加がコニッツの演奏に“熱さ”をもたらしたのは間違いないと思われますが、どうもこのアルバムのサウンドは、コニッツのアルトが前面に出すぎているせいかドラムの音像に距離感があり、エルヴィンのドラム・プレイの魅力が今一つ伝わってこないと感じるのは私だけでしょうか。
私の聴いているオーディオシステムの原因もあるかもしれませんが、これはなんとも惜しい気がします…。
ちなみに、ジャケット写真に大きく写っている赤い影のようなものはスティックを握ったエルヴィンの手だとのこと。
以前別サイトにて書いたフランソワ・トリュフォー監督作品のレビューの転載です。(一部手直しあり)
今回は『夜霧の恋人たち』。
『BAISERS VOLES』 (68年)
監督:フランソワ・トリュフォー
脚本:フランソワ・トリュフォー、クロード・ド・ジヴレー、ベルナール・ルヴォン
撮影:ドニ・クレルヴァル
音楽:アントワーヌ・ドゥワメル
出演:ジャン=ピエール・レオー(アントワーヌ・ドワネル)、クロード・ジャド(クリスチーヌ・ダルボン)、デルフィーヌ・セイリグ(ファビエンヌ・タバール)
92分、カラー
原題の意は『奪われた唇』。
『大人は判ってくれない』、『二十歳の恋』に続く“ドワネルもの”の第3作に当たる作品です。
アントワーヌが軍隊を除隊し、職業を二転三転、人妻にうつつをぬかしながらも結婚を決意するまでがここでは描かれています。
全体にコメディタッチで生き生きとしたテンポ感があり、なんともいえない明るい幸福感のある作品となっており、それがとても魅力的。
アントワーヌ・ドワネルという愛すべき人物のいかがわしさ、いい加減さが全面的に披露され、目が離せません(笑)。
特に、探偵事務所に勤め、晴れて探偵となったアントワーヌのダメっぷりには笑わされます。
そして、ここで初めて登場することになるクロード・ジャド。
アントワーヌの婚約者となるクリスチーヌを演じていますが、とても初々しい魅力があり、(ここでは)アントワーヌとは実にお似合いのカップルです。
『去年マリエンバートで』や『ブルジョワジーの密かな愉しみ』などで知られる女優、デルフィーヌ・セイリグの出演も嬉しいところ。
なんともエレガントな美しさで、アントワーヌならずとも心動かされますが、特に、彼女が初めて登場する、閉店後の靴屋でアントワーヌが彼女を認める場面は、実に詩的で素晴らしいシーンです。
また、アントワーヌが勤める探偵事務所の面々も個性的な連中ばかり。
アンリ・ヴェルヌイユ監督の『太陽の下の10万ドル』を国内盤DVDで観た感想です。
『CENT MILLE DOLLARS AU SOLEIL』(64年)
監督:アンリ・ヴェルヌイユ
脚本:マルセル・ジュリアン、アンリ・ヴェルヌイユ
撮影:マルセル・グリニヨン
音楽:ジョルジュ・ドルリュー
出演:ジャン=ポール・ベルモンド、リノ・ヴァンチュラ、レジナルド・ケルナン、ゲルト・フレーベ、アンドレア・パリジ、ベルナール・ブリエ
再見。
北アフリカを舞台に、トラック野郎たちの争いを描いた作品で、かなり面白いアクションもの。
ミステリアスなサスペンスタッチとコメディタッチが隠し味としてうまく効いており、こういった娯楽性の高い作品を撮らせると、アンリ・ヴェルヌイユ監督は職人的な巧さを見せますね。
ラストは少々強引ですが…。
ロードムーヴィー的な内容は、どことなく、あの『恐怖の報酬』を思い起こさせる部分もあります。
ストーリー的には、逃げるジャン=ポール・ベルモンドよりも、追うリノ・ヴァンチュラとレジナルド・ケルナンの絡みの方が面白い。
彼らのキャラクターも役柄にピッタリでした。
他にも、ベルナール・ブリエの狂言廻し的存在感が光ります。
ベルモンドの相手役を務めた女優のアンドレア・パリジーは、ニコラス・ローグ監督の『赤い影』(83年)にも出演しているようです。
ジョルジュ・ドルリューの音楽も映画によく合っていて良かったですね。
先日挙げた私の好きなジャズ・アルバム・ベスト20の中から、1枚1枚を取り上げ、いろいろ書いていこうと思います。
今回取り上げるのはベスト20の①(順位ではありません)に挙げたジャズ・クインテット60の『プレゼンティング・ジャズ・クインテット60』。
『PRESENTING JAZZ QUINTET 60』(Fontana)
①ワン・モア・チャント②アンティシペーション③ヤケ・デ・ヤク④ワルツ・フォー・シャーリーン⑤エヴリー・タイム・ウィ・セイ・グッバイ⑥リトル・アニー・ファニー⑦聖ヴァイタスの踊り
ベント・アクセン(p)、アラン・ボッチンスキー(tp)、ニールス・ハサム(ts)、ニールス・ペデルセン(b)、ビヤルン・ロストヴォルド(ds)
ジャズ・クインテット60はデンマークのグループで、リーダーはトランペットのアラン・ボッチンスキーとピアノのベント・アクセン。
彼らの関連アルバムは近年いろいろCD化されており、澤野工房からも『JAZZ QUINTET 60』という、これと間違えそうなタイトルのCDが発売されています。
なんでも、澤野から出ているのが彼らのファースト・アルバムで、今回取り上げた『プレゼンティング・ジャズ・クインテット60』はセカンド・アルバムなのだということ。
このセカンド・アルバムも数年前に国内盤の紙ジャケが発売されていますが、輸入盤の方が入手しやすいと思います。
私が所有しているのも輸入盤です。
このアルバムは、何の予備知識もないまま輸入盤店で試聴したのがキッカケで購入したのですが、とにかく曲、演奏ともにカッコ良く、すぐに気に入りました。
曲調は典型的なハード・バップで、とりわけニールス・ペデルセンのベースプレイが素晴らしい。
この人は個人的にも好きなベーシストの一人で、このアルバムを聴いて以降、彼の参加しているCDを探し回ったほど。
ベース・プレイの良し悪しは専門家ではないので、ハッキリ言ってよく分かりませんが、一般的に、音の好き嫌いは結構あります。
好みはズンズン、バキバキ響いてくる音。
そういう意味で理想は、やはりチャールズ・ミンガス。
ポール・チェンバース、ジミー・ギャリソンあたりの音も好きですが、ポール・チェンバースのアルコ・プレイ(弓弾き)は苦手。
良さがよく分からないのはロン・カーターとか…。
やはり4ビートのノリ、迫力、美しさがポイントでしょうか。
話が逸れましたが、このアルバムは、アラン・ボッチンスキーのトランペットも印象的で、個々の作品でもボッチンスキー作曲による①③⑥あたりがオススメ。
以前別サイトにて書いたフランソワ・トリュフォー監督作品のレビューの転載です。(一部手直しあり)
今回は『黒衣の花嫁』。
『LA MARIEE ETAIT EN NOIR』 (67年)
監督:フランソワ・トリュフォー
脚本:フランソワ・トリュフォー、ジャン=ルイ・リシャール
撮影:ラウル・クタール
音楽:バーナード・ハーマン
出演:ジャンヌ・モロー(ジュリー・コレール)、ジャン=クロード・ブリアリ(コレー)、シャルル・デネ(フェルギュス)
107分、カラー
内容は、ふとしたきっかけで結婚式において結婚相手を殺されてしまった花嫁が、加害者5人に対する復讐の旅に出る…というもの。
後の『暗くなるまでこの恋を』と同様に、ウィリアム・アイリッシュの原作をトリュフォーが映画化したもの。
映画の題材としてもちろん悪くなく、ストーリー的にもかなり面白い作品です。
後で述べるように、作品としては欠点もいろいろ目に付く作品ですが、個人的にはこの作品はかなり好きなんですよね。
加害者側の5人の男たちのキャスティングも良く、画家役のシャルル・デネを始め、いかにも一癖も二癖もありそうな個性的な連中ばかりですし、出番が少ないのが勿体無いながら、その友人役のジャン=クロード・ブリアリの存在感も良し。
一方、『突然炎のごとく』から6年後のジャンヌ・モローは存在感はさすがに大したものですが、急激に老けた感じで、期待したほどヒロインとしての魅力が感じられないのがちょっと惜しいかな・・・。
役が役なので、彼女本来の明るい魅力が発揮されていないのは残念な気がします。
また、映画そのものの雰囲気がどこか寒々しい感じがするのも残念な点。
トリュフォー自身も言っていることですが、白昼のシーンが多く、しかもカラーで撮影されたばかりに作品そのもののミステリアスなサスペンス的側面が感じられなくなっているのがその原因と言えるでしょう。
ストーリーが面白いだけに、なんとも勿体無い気がします。
実際、トリュフォーはこの反省を踏まえ、後に『日曜日が待ち遠しい!』を白黒で撮ることにするわけですが…。
音楽を担当したハーバード・ハーマン(ヒッチコックの映画音楽で有名)の音楽も、どうも映画に乗り切らない感が拭えず、特に画家の部屋における音楽が大げさ過ぎて作品に合っていない気がしてなりませんでした…。
以前別サイトにて書いたフランソワ・トリュフォー監督作品のレビューの転載の続きです。(一部手直しあり)
今回は『華氏451』。
『FAHRENHEIT 451』 (66年)
監督:フランソワ・トリュフォー
脚本:フランソワ・トリュフォー、ジャン=ルイ・リシャール
撮影:ニコラス・ローグ
音楽:バーナード・ハーマン
出演:オスカー・ウェルナー(モンターグ)、ジュリー・クリスティ(リンダ・モンターグ/クラリス)、シリル・キューサック(消防隊長)
112分、カラー
書物を読むことが禁じられた未来社会。書物の捜索と焼却を任務とする消防士のモンターグは、偶然出会ったある女性の影響で、本の存在を意識し始める…というのが映画の簡単な内容。
レイ・ブラッドベリのSF小説をトリュフォーが映画化したもので、タイトルの『華氏451』とは書物に火がつき、燃え上がる温度のこと。
英語の出来ないトリュフォーがイギリスに渡り、英語で撮らざるを得なかったイギリス映画です。
またこれは、トリュフォー初のカラー作品でもあり、彼が手掛けた唯一のSF作品となりました。
ただ、SFとはいっても、もともとSF嫌いの彼のことですから、あまりそれを強調した場面は多くなく、書物の禁じられた未来社会を描くことで、逆に彼の書物に対する愛情を投影した作品となっています。
その意味では書物そのものが主役の映画であるとも言え、その点、まさにトリュフォーならではの題材と言えますが、映画そのものの雰囲気は彼らしい愉しさと暖かさに欠ける気が…。
それは主役のモンターグの人間性が今一つ上手く伝わってこず、やけに冷たい人柄のように感じてしまうせいかもしれません。
おそらく、モンターグを演じるオスカー・ウェルナーとトリュフォーの関係がこの映画の撮影中上手くいかず、お互いに反駁し合っていたということが原因なのではないでしょうか。(実際この撮影が原因で、トリュフォーとウェルナーはトリュフォーの死の直前まで仲違いしていました)
一方、2役を演じるジュリー・クリスティの美しさと存在感が作品に潤いを与えており、この映画の最大の魅力と言えるでしょう。
ただ、その2役も役柄の人間性がよく伝わってこない点はモンターグ同様で、なんとも惜しい気がしてなりません。
ラストの森のシーンは、個人的にゴダールの『ウィークエンド』の森のシーンを思い出しました。
今後、私の好きなジャズをいろいろと紹介する前に、まずは好きなジャズのアルバム名を思いつくままにズラッと挙げてみます。
できれば10枚といいたいところでしたが、それはさすがに絞り込むのが大変なので、20枚挙げてみます。
ヴォーカルものは除いて、基本的に各アーティストのリーダー・アルバム1枚。
順位は関係ありません。
①ジャズ・クインテット60『プレゼンティング・ジャズ・クインテット60』(フォンタナ)
②ミハエル・ナウラ・クインテット『EUROPEAN JAZZ SOUNDS』(澤野工房)
③モダン・ジャズ・カルテット『ラスト・コンサート』(アトランティック)
④ジョン・ルイス&サッシャ・ディステル『アフタヌーン・イン・パリ』(アトランティック)
⑤リー・コニッツ『モーション』(ヴァーヴ)
⑥グラント・グリーン『アイドル・モーメンツ』(ブルーノート)
⑦ウェイン・ショーター『ナイト・ドリーマー』(ブルーノート)
⑧ビル・エヴァンス『ザ・パリ・コンサート』(ワーナー)
⑨スタン・ゲッツ『カフェ・モンマルトル』(ユニバーサル)
⑩ザ・ダイアモンド・ファイヴ『ブリリアント!』(フォンタナ)
⑪バルネ・ウィラン『バルネ』(BMG)
⑫ケニー・ドーハム『カフェ・ボヘミアのケニー・ドーハム』(ブルーノート)
⑬ソニー・ロリンズ『ヴィレッジ・ヴァンガードの夜』(ブルーノート)
⑭ミルト・ジャクソン&ジョン・コルトレーン『バグス・アンド・トレーン』(アトランティック)
⑮オーネット・コールマン『ゴールデン・サークルのオーネット・コールマン1』(ブルーノート)
⑯アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズ『カフェ・ボヘミアのジャズ・メッセンジャーズ』(ブルーノート)
⑰リー・モーガン『Vol.2』(ブルーノート)
⑱ジョン・コルトレーン『ライヴ・イン・ジャパン』(インパルス)
⑲マイルス・デイヴィス『マイルス・イン・ベルリン』(コロンビア)
⑳アート・ペッパー『モダン・アート』(イントロ)
次点バド・パウエル『ジャズ・ジャイアント』
挙げたものは有名な人が多いだけに、挙げたアルバム以外にも好きなものはたくさんあります。
③のMJQなら『ヨーロピアン・コンサート』を入れずに『ラスト・コンサート』を入れた理由は気分としかいいようがないですし、⑰のリー・モーガンはさっきまでは『ザ・ジゴロ』でした(笑)。
一番悩まされるのが⑱のコルトレーンと⑲のマイルス。
コルトレーンなら60年代のヨーロッパのライヴを集めた『ライヴ・トレーン~ジ・ヨーロピアン・ツアーズ』(PABLO)が最高だと思いますが、ボックスなので却下。
エリントンと組んだ『デューク・エリントン&ジョン・コルトレーン』も実に捨てがたい。
マイルスなら、『ラウンド・ミッドナイト』か『マイ・ファニー・ヴァレンタイン』に差し替えてもいいのですが、事実上初めて聴いたジャズ・アルバムであり、今でもたまに聴く『イン・ベルリン』にしました。
ちなみに、次点は20選に選ばれなかったというよりは入れ忘れていたもの。
最近はほとんど聴きませんが、昔好きだったバド・パウエルを入れないのはどうも落ち着きませんので…。
今後、これらのアルバムをネタにいろいろ書いていこうと思っています。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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