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11月22日に東京フィルメックス(会場:有楽町朝日ホール)で上映された『モラン神父』。
この作品を私は英BFI盤DVDで何度か観ていますが、それは英語字幕でした。
今回初めて日本語字幕版を観たことになります。

そのため、今回この作品を観て、初めて理解できた部分も多々ありました。
なにより、ここまで女性の欲望をあからさまに描いた映画だと気づいたのは初めてかもしれません。
確かメルヴィルは、『映画ではセックスを描くのがなによりも一番難しい』というような発言をどこかでしていたように思いますが、裸やベッドシーンを描かずに(夢想のキスシーンはあり)ここまでエロイ映画を撮っていたことに驚かれた方も多かったのではないでしょうか。
スクリーンで観るエマニュエル・リヴァは美しく、素晴らしかったですね。
神父役のジャン=ポール・ベルモンドも、あの若さであの演技の隙の無さは凄いと思います。

それと同時に、想像以上にユーモラスなシーンも多かったという印象です。
たとえば、解放後、バルニーの娘を預かっていた老婆2人がわざわざ娘を返しに現れて、実はここまで来たのはドイツ兵と密通していた女たちの丸刈りを見に来たのだ、というシーンがあります。
これなどエマニュエル・リヴァが出演したアラン・レネ監督の『二十四時間の情事』(59)を知っていればニヤリとするシーンです。

それと、観ていて気づいたのですが、実は今回上映されなかったカット部分がありました。
ドイツ軍が去った後、バルニーと娘が連合国軍兵士2人と連れ立って歩くシーンがあります。
今回の上映ではこの後のシーンがカットされていましたが、BFI盤DVDにはこの後に兵士の一人にバルニーが誘惑されるシーンがあります。
バルニーを英語で誘う兵士に対して、バルニーは娘がいることを理由に断ります。
なおも兵士はしつこくバルニーを誘いますが、バルニーは首にかけた十字架を見せて誘いを拒絶するというシーンがあるのです。
この部分(2~3分ほど)が今回の上映ではどういうわけかカットされていました。

なお、上映プリントの状態はまずまず。
これまで観ていたDVDに比べるとかなり暗めで、決して良いとはいえません。
あと、気になる客入りですが、終演後に見た感じですと、客席は午前10時50分スタートにしては驚くほどよく埋まっていたと思いました。

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このブログでもたびたびお知らせしてまいりました、第10回東京フィルメックスと東京・日仏学院における特集上映『コードネームはメルヴィル』、本日フィルメックスにおいて、いよいよスタートいたしました。
私は、本日上映されました『モラン神父』、『ギャング』を観てまいりました。

melvillebook.gifまず、その映画の感想を書く前に、私が今回なにより一番驚いたのは、会場で『映画伝説 ジャン=ピエール・メルヴィル』(古山敏幸 著 フィルムアート社)なる新刊本が販売されていたことでした。
聞くところによれば、この本は11月26日に書店で発売される予定とのことで、今回フィルメックスの会場にて先行発売されていたのです。
もちろん、私は速攻で購入しました。
出版元のフィルムアートの紹介ページへのリンク

ところでメルヴィル本といえば、サムライ』(ルイ・ノゲイラ著 井上真希訳 晶文社刊)がなんといっても我々ファンには馴染み深いわけですが、そちらはメルヴィル自身の言葉を記録した貴重なインタビュー集であり、今回の本は、メルヴィルその人、全ての監督作品について第三者によって詳細に論評されているのが大きな特徴です。

もちろん、国内でこのような本が発売されること自体驚きと言う他ありませんし、内容も実に興味深く、是非とも多くのファンの皆さんに目を通していただきたい素晴らしい内容の本だと思います。
かくいう私もまだ読み始めたばかりなのですが。

この本の内容についても、いずれHP、ブログにおいて紹介してゆきたいと考えております。

エリック・ロメール監督の『美しき結婚』を国内盤DVD(紀伊国屋レーベル)で観た感想。 

LE BEAU MARIAGE』(81年)
監督:エリック・ロメール
撮影:ベルナール・リュティック 
音楽:ロナン・ジール、シモン・デジノサン 
出演:ベアトリス・ロマン、アンドレ・デュソリエ、アリエル・ドンバール、フェオドール・アトキン、ユゲット・ファジェ、ヴァンサン・ゴーティエ

初見。
主演女優のベアトリス・ロマン(Beatrice Romand)はアルジェリア出身。
古くは『クレールの膝』(70)から『緑の光線』(85)『レネットとミラベル』(86)『恋の秋』(98)に出ているロメールのファンにはお馴染みの常連である。

この映画の簡単なストーリーは、妻子ある中年男性との不倫に飽き飽きしたヒロインがいわゆる今で言うところの“婚活”を始める…というものだが、私が男だからかもしれないが、ヒロインの強引さや思い込みの強さには思わずヒイてしまう。
それにしても、ヒロインの性格がベアトリス・ロマンその人だと思えてしまうほど、役柄にピッタリである。
相手役のアンドレ・デュソリエはなかなか巧く男の複雑な心理を表現していたと思う。
ヒロインの友人役のアリエル・ドンバールがやはり魅力的。

好きなジャズCDということで、マイルス・デイヴィスコンプリート・ブラックホーク』のご紹介。

jacket.jpgDISC[1]①オレオ②ノー・ブルース③バイ・バイ(テーマ)④イフ・アイ・ワー・ア・ベル⑤フラン・ダンス⑥オン・グリーン・ドルフィン・ストリート⑦ザ・テーマ
DISC[2]①オール・オブ・ユー②ネオ③アイ・ソウト・アバウト・ユー④バイ・バイ・ブラックバード⑤ウォーキン⑥ラヴ,アイヴ・ファウンド・ユー
DISC[3]①イフ・アイ・ワー・ア・ベル②ソー・ホワット③ノー・ブルース④オン・グリーン・ドルフィン・ストリート⑤ウォーキン⑥ラウンド・ミッドナイト⑦ウェル・ユー・ニードント⑧ザ・テーマ
DISC[4]①枯葉②ネオ③トゥー・ベース・ヒット④バイ・バイ(テーマ)⑤ラヴ,アイヴ・ファウンド・ユー⑥アイ・ソウト・アバウト・ユー⑦サムデイ・マイ・プリンス・ウィル・カム⑧朝日のようにさわやかに

マイルス・デイヴィス(tp)、ハンク・モブレー(ts)、ウィントン・ケリー(p)、ポール・チェンバース(b)、ジミー・コブ(ds)
1961年4月21~22日 サンフランシスコのジャズ・クラブ『ブラックホーク』におけるライヴ録音

このライヴ音源は、以前から『ブラックホークのマイルス・デイビス』という名前で2枚のアルバムに分かれて発売されていました。
その2枚は以前から聴いていましたが、正直あまり印象に残らないというか、マイルスのライヴ盤としては地味な印象が強かったように思います。
マイルスには他に刺激的な内容のライヴ盤がいくつもありますし…。

そんな中、数年前にこのライヴ音源を未発表のものまで集大成したコンプリート版が発売されました。
それまでCD2枚で12曲の収録曲だったのが、CD4枚で29曲というボリュームです。
私も一年くらい前にこのコンプリート版の輸入盤を入手し繰り返し聴いているのですが、このライヴってこんなに良かったっけ?と思うほど演奏内容が充実しているんですよね。

内容は極めてオーソドックスなハードバップ。
しかし、意外とマイルスがそういった演奏を繰り広げたライヴ盤は少なく、その意味でも貴重です。
全体的にリラックスした雰囲気の中で音楽が奏でられており、最初から最後まで長時間聴いていても全く疲れず、飽きることがありません。

あるいは内容がオーソドックスな点で好みが分かれるかもしれませんし、もっとマイルスの刺激的な演奏を聴きたい人には物足りなさを感じるかもしれませんが(そんな方々にはそれなりのアルバムがしっかり用意されているのはご存知の通り)、正統派?のモダン・ジャズにじっくりと浸れるという意味でも、このコンプリート版は絶対のおすすめ。

サイドメンも素晴らしい。
まず、テナー・サックスのハンク・モブレー
マイルスのグループにおける彼は概して評判が良くありません。
しかし、ここに記録された彼の演奏を聴く限り、単にリーダーの音楽性との相性が悪かっただけのことではないかと思われます。
このアルバムでも、中には確かに魅力に欠ける演奏も含まれていますが、それは誰にも言えること。
このライヴにおけるモブレーの演奏は彼ならではの実力を発揮したものが多く、私自身は堪能しました。

そして、ここでのウィントン・ケリーの躍動感に溢れたピアノの魅力は言葉にならないほど。
実はこれまでウィントン・ケリーのリーダー作も何枚か聴いてきて、正直あまり面白いと思ったことないんですが…このライヴの彼はホントに素晴らしい。

ポール・チェンバースのベースは言うまでもありませんが、ドラムスのジミー・コブの見事なスイング感、それでいて決して邪魔にならない安定した演奏は個人的に大好きです。
これ以前のリズム・セクション(レッド・ガーランドポール・チェンバースフィリー・ジョー・ジョーンズ)、これ以後のリズム・セクション(ハービー・ハンコックロン・カータートニー・ウィリアムス)よりもこのアルバムの3人のリズム・セクションが私は一番好きかもしれません。

最後に、マイルスのトランペットも全体的にいつになく伸び伸びとした音色を奏でており、その点でも魅力的です。
 

エリック・ロメール監督の『飛行士の妻』を国内盤DVD(紀伊国屋レーベル)で観た感想。

LA FEMME DE L'AVIATEUR』(80年)
監督・脚本:エリック・ロメール
撮影:ベルナール・リュティック
音楽:ジャン=ルイ・ヴァレロ
出演:フィリップ・マルロー、マリー・リヴィエール、アンヌ・ロール・ムーリー、マチュー・カリエール、ファブリス・ルキーニ

初見。
DVDに収録された特典のロメール監督のインタビューによれば、この作品はパリへの愛、そして、マルセル・カルネ監督へのオマージュだという。
その言葉の通り、パリの街角や公園などでのロケ撮影が魅力的な作品。
また、一つ一つの偶然の出来事が物語を進行させてゆくストーリー展開が見事で、いかにもロメールらしい恋愛劇である。

恋愛の行方にミステリーの要素が加味された内容も実に面白い。
キャストも、これがロメール作品初登場であり、後にロメール作品の常連となるマリー・リヴィエールがやはり魅力的だが、どう見てもフランソワ役のフィリップ・マルローとはお似合いには見えない。
そこがこの映画のポイントなのかもしれないが。

一方で、リシュー役のアンヌ・ロール・ムーリーがまた良いのだが、この役が15才というのがちょっと理解しがたい頭の回転の早さ。
それにしても、リシューが物語に登場してくることで、作品に楽しさや明るさが加わっていると思う。

なんにせよ、また一つお気に入りのロメール作品が見つかったという思いだ。

ロベール・ブレッソン監督の『少女ムシェット』を国内盤DVD(紀伊国屋レーベル)で観た感想。

7bd0e42a.jpegMouchette』(67年)
監督・脚本:ロベール・ブレッソン
原作:ジョルジュ・ベルナノス
撮影:ギスラン・クロケ
音楽:モンテヴェルディ、ジャン・ウィエネル
出演:ナディーヌ・ノルティエ、ポール・エベール、マリア・カルディナール、ジャン=クロード・ギルベール

初見。
前作『バルタザールどこへ行く』(64年)に続いて、不幸な少女を主人公にした作品。
原作のジョルジュ・ベルナノスは同じくロベール・ブレッソン監督の『田舎司祭の日記』(50年)の原作者でもある。
この映画では主人公を取り巻く人間関係に関する説明がないので、始めはその点が少々分かりにくいが、全体的に観れば必ずしも複雑な話というわけではなく、その意味では難解な映画ではない。

それにしても、全く救いのない暗い映画である。
この作品を撮ったブレッソン監督にどういう意図があるのかは計り知れぬが、ムシェットという少女に対する同情や憐みは少なくとも描写の中には全くと言ってよいほど感じられない。
そのあたりの厳格さ?はいかにもブレッソン監督らしい作品といえるが、こと美しさにおいては『バルタザールどこへ行く』ほどの魅力は感じられない。
題材的にもこの映画を好きと言える自信はとてもないが、観る者を惹きつける、なんともいえない魅力が感じられるのもまた確かである。

とりわけ、全篇で唯一の明るいシーンといえる、遊園地のバンピング・カーでムシェットが遊ぶシーンが忘れがたい。

ジャック・リヴェット監督の『彼女たちの舞台』を国内盤DVDで観た感想。

LA BANDE DES QUATRE』(88年)
監督:ジャック・リヴェット
脚本:ジャック・リヴェット、パスカル・ボニツェール、クリスティーヌ・ローラン 
撮影:カロリーヌ・シャンプティエ
音楽:モンテヴェルディ
出演:ビュル・オジェ、ブノワ・レジャン、ロランス・コート、イネス・デ・メディロス、フェイリア・ドゥリバ、ベルナデット・ジロー、ナタリー・リシャール、イレーヌ・ジャコブ

初見。
ジャック・リヴェットの国内盤DVDボックスを所有しているが、この作品だけ観ていなかった。
これもまた2時間半を超える長い映画で、観ていて長さを感じないと言ったら嘘になるが、始終内容の面白さに釘付けとなった。

そのドキュメンタリー・タッチの色合いにロメールの作品などに共通する要素を感じるのは確かだが、リヴェットの作品の方がカット割り、カメラの構図など、従来の映画のタッチに近い芝居っ気が感じられ、安心して観ていられる気がする。

内容としては、演劇学校の教師(ビュル・オジェ)とその生徒5人(ロランス・コートイネス・デ・メディロスフェイリア・ドゥリバベルナデット・ジローナタリー・リシャール)の芝居の稽古風景が全体の4分の1程度?を占める映画だが、それらのシーンも決してつまらなくはないし、謎の男(ブノワ・レジャン)と生徒たちを巡るサスペンスタッチの絡みがなんともいえず面白い。
生徒役の女優たちも皆存在感があってキャラも立っているし、演劇の指導にあたる教師役のビュル・オジェのどこかミステリアスな存在感も魅力的である。

それにしても、クレジットにあるイレーヌ・ジャコブ(『ふたりのヴェロニカ』)はどこに出ていたのだろう?
 

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マサヤ
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男性
趣味:
フランス映画、ジャズ
自己紹介:
フランスの映画監督ジャン=ピエール・メルヴィル監督作品のファンサイト附属のブログです。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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