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ルイス・ブニュエル監督の『ブルジョワジーの秘かな愉しみ』を国内盤DVD(ユニバーサル)で観た感想。
『Le charme discret de la bourgeoisie』(72年)
監督:ルイス・ブニュエル
脚本:ルイス・ブニュエル、ジャン=クロード・カリエール
撮影:エドモン・リシャール
出演:フェルナンド・レイ、ポール・フランクール、デルフィーヌ・セイリグ、ビュル・オジェ、ステファーヌ・オードラン、ジャン=ピエール・カッセル
ルイス・ブニュエル監督の映画はほとんど観たことがない。
ちゃんと観たと言えるのは『昼顔』くらいのものだ(5年ほど前にスクリーンで観れたが、アノ映画は最高)。
『小間使の日記』と『自由の幻想』は東北新社盤のDVDを随分前に買ったが、いまだに観ていない。
ただ、この『ブルジョワジーの秘かな愉しみ』はずっと興味のあった映画で、確かレンタルビデオをDVDに落としたものがあったはずだが、ちょっとだけ観てあまりの画質の悪さに呆れ、それ以来観ていなかった。
今回ユニバーサルから廉価版のDVDが発売されたので、これを機会に観た次第。
内容は…とにかくヘンな映画だ。
しかし、そのヘンなところにちっとも嫌悪感を感じない。
どぎつさやアクの強さはあるが、決してこれ見よがしの印象はないので、全然嫌味な感じがないのだ。
それにしても、よくぞこの6人が揃ったものだというキャストのメンツが素晴らしい。
そのキャスティングの妙に、ブニュエル監督の類稀なるセンスと深い知性を感じずにはいられない。
とりわけ、デルフィーヌ・セイリグ、ビュル・オジェ、ステファーヌ・オードランの女優3人衆の競演はある意味奇跡といってよいのではないか。
デルフィーヌ・セイリグのあの魅力的な容姿と印象的な声、ビュル・オジェの他者とどういう関係なのかも分からない不思議な存在感(あの人物は一体何者なのか?)、ステファーヌ・オードランの淫靡なまでの色気が一度に堪能できるという稀有な映画である。
とにかく、この3人が出ているシーンはすべて良い。
もちろん、俳優陣も魅力的で、ジャン=ピエール・カッセル(『影の軍隊』)はブニュエルの作品世界に違和感無く溶け込んでいるし、フェルナンド・レイとポール・フランクール(『ギャング』)の二人の中年俳優の自然体の味わい深い演技は例えようもないほど素晴らしい。
DVDの画質も良好。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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