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ジュリアン・デュヴィヴィエ監督の『並木道』を国内盤DVDで観た感想。
『BOULEVARD』(60年)
監督:ジュリアン・デュヴィヴィエ
脚本:ジュリアン・デュヴィヴィエ、ルネ・バルジャヴェル
撮影:ロジュ・ドルモイ
出演:ジャン=ピエール・レオー、マガリ・ノエル、モニク・ブリエンヌ、ピエール・モンディ
初見。
トリュフォー監督のあの『大人は判ってくれない』から約1年後にジャン=ピエール・レオーが主演した作品だけあって、内容もまるで『大人は判ってくれない』を継承したかのような青春映画である。
ところで、個人的にジュリアン・デュヴィヴィエ監督といえば、このブログでもよく書いているように、戦前は『旅路の果て』、戦後は『埋れた青春』『自殺への契約書』など、最良のフランス映画を撮った名監督という認識なのだが、この作品は彼の監督作の中では残念ながら中の下くらいに位置する作品という印象だ。
決して退屈したわけでもないし、つまらないわけでもないが、観ていてどうも主人公に感情移入しづらいのと、ストーリー的な起伏も少ないのが欠点だろうか。
もちろん、マガリ・ノエルが印象的な役柄で出ていたりとか、モンマルトルのどこかノスタルジックな描写など、好きな部分ももちろんあるのだが。
それはそうと、冒頭のピガールの描写などはメルヴィルの『賭博師ボブ』(55)にビックリするくらいそっくりだ。
ジュリアン・デュヴィヴィエ監督の『商船テナシチー』をレンタルビデオで観た感想。
『LE PAQUEBOT TENACITY』(34年)
監督:ジュリアン・デュヴィヴィエ
脚本:ジュリアン・デュヴィヴィエ、シャルル・ビルドラク
撮影:ニコラ・エイエ
音楽:ジャン・ウィエネル
出演:アルベール・プレジャン、ユベール・プレリエ、マリー・グローリー、マディ・ベリー、ピエール・ローレル、ニタ・アルヴァレス、レイモン・エイムス
初見。
港町を舞台に友情と恋愛、運命の残酷さを描いたメロドラマ。
ジュリアン・デュヴィヴィエ監督らしい作品であると同時に、いかにもこの時代のフランス映画らしい作品である。
脇役に至るまで俳優陣が皆いい。
アルベール・プレジャンといえば、『巴里の屋根の下』(30)などルネ・クレール作品というイメージが強いが、デュヴィヴィエ作品にも違和感なく収まっている。
ヒロイン役のマリー・グローリーの容姿も決して古臭くないのがいい。
撮影は後にメルヴィルの『いぬ』(62)も担当することになる名手ニコラ・エイエ。
ジュリアン・デュヴィヴィエ監督の『巴里の空の下セーヌは流れる』を国内盤DVD(IVC)で観た感想。
『Sous le Ciel de Paris Coule la Seine』(51年)
監督:ジュリアン・デュヴィヴィエ
脚本:ジュリアン・デュヴィヴィエ、ルネ・ルフェーブル
撮影:ニコラ・エイエ
音楽:ジャン・ウィエネル
出演:ブリジット・オーベール、ジャック・クランシー、クリスチアーヌ・レニエ、レイモン・エルマンティエ、マルセル・プランス、ダニエル・イヴェルネル、シルヴィー
初見。
デュヴィヴィエ監督お得意の群像劇。
映画の中盤でシャンソン『パリの空の下』が歌われていることでも有名な作品である。
こういった作品はハッピーエンドが関の山だが…さすがデュヴィヴィエ、充分に皮肉と苦味を聞かせたラストとしている。
デュヴィヴィエと共に脚本を担当したのは、俳優でもありメルヴィルの『いぬ』にも出演している(最初に殺される役)ルネ・ルフェーブル。
撮影は、同じく『いぬ』のニコラ・エイエ。
誰が主役ということもない映画だが、ブリジット・オーベールが美しく魅力的。
他に出演作が少ないのが残念である。
そのブリジット・オーベールが会う男性(フィアンセ?)はロベール・ファヴァール。
といってもほとんどの人は分からないだろうが、あのメルヴィルの『サムライ』のバーテンダー役を演じた俳優と言ったら、お分かりになるだろうか。
個人的な印象としてはデュヴィヴィエ作品の中では中の上くらいの作品だ。
ジュリアン・デュヴィヴィエ監督の『我等の仲間』を国内盤DVD(IVC)で観た感想。
『LA BELL EQUIPE』(36年)
監督:ジュリアン・デュヴィヴィエ
原作・脚本: ジュリアン・デュヴィヴィエ、シャルル・スパーク
撮影:ジュール・クリュージェ
音楽:モーリス・ジョーベール、モーリス・イヴェン
出演:ジャン・ギャバン、シャルル・ヴァネル、ヴィヴィアーヌ・ロマンス、レイモン・エイムス、シャルル・ドラ、ラファエル・メディナ、ミシュリーヌ・シェイエル、レイモン・コルディ
再見。
1930年代という、ジュリアン・デュヴィヴィエ監督が傑作を連発していた時代の一本だが、ジャン・ギャバン、シャルル・ヴァネル主演のこの作品も、その傑作群に連なる一本である。
主演の二人が彼ららしい役柄を演じていて魅力的だし、脇役の面々も充実している。
とりわけ、彼らを掻き回す悪女ジーナを演じたヴィヴィアーヌ・ロマンスの演技、存在感が凄い。
これはノワール作品ではないが、ほとんどファム・ファタールといいたい役柄である。
ちなみに、彼女は後に『地下室のメロディー』(62)でギャバンと共演している。(映画前半に出てくるギャバンの妻役)
この映画は、ラストシーンに2種類あり、それによって観終わった後の印象が全然違う。
その相違は、もう全く別の映画といってよいほどである。
よって、以下ネタバレ含むので注意。
簡単に言えば、ラストがアンハッピー版とハッピー版の二つ存在し、国内盤DVDは国内公開時のアンハッピー版が本編として採用されており、ハッピー版は別バージョンとして観ることができる。
今回改めて両方を観てみると、アンハッピー版はレストランの開店シーンがカットされており、ラストへ向けての展開があまりにも唐突という感がある。
あそこでギャバンが銃を持っているというのもあんまりではないか。
アンハッピー版の悲劇的な結末は確かにデュヴィヴィエ監督作品らしいことは確かなのだが、映画の中盤からどんどん悪いことが重なっていってあのラストではあまりにもやりきれない気がする。
よって、今ではハッピー版の方が個人的には気分である。
ジュリアン・デュヴィヴィエ監督の『フランス式十戒』を国内盤DVD(紀伊国屋レーベル)で観た感想。
『LE DIABLE ET LES DIX COMMANDEMENTS』(62年)
監督:ジュリアン・デュヴィヴィエ
脚本:ジュリアン・デュヴィヴィエ、ルネ・ヴァルジャヴェル
撮影:ロジェ・フェルー
音楽:ジョルジュ・ガルヴァランツ、ギ・マジャンタ、ミシェル・マーニュ
出演:フランソワーズ・アルヌール、シャルル・アズナヴール、ジャン=クロード・ブリアリ、ダニエル・ダリュー、アラン・ドロン、フェルナンデル、メル・ファーラー、ミシュリーヌ・プレール、マドレーヌ・ロバンソン、ミシェル・シモン、リノ・ヴァンチュラ、ジョルジュ・ウィルソン、ルイ・ド・フュネス
初見。
7話からなるオムニバス映画で、そのすべてをジュリアン・デュヴィヴィエが監督している。
デュヴィヴィエ監督のオムニバス映画といえば『舞踊会の手帖』(37)が日本では有名だが、実はデュヴィヴィエ監督は生涯に6本のオムニバス映画を撮っているのだという。
それだけに、オムニバス映画の“コツ”を知り尽くした監督だったのかもしれず、この作品も『十戒』という我々日本人には馴染みにくいテーマのはずなのだが、とにかく7話のエピソード全てが面白い。
例えば、『第2話』なんてマックス・オフュルス監督の『たそがれの女心』(53)やジャック・リヴェット監督の『王手飛車取り』(56)と似たような話だが、にもかかわらず面白い。
フランソワーズ・アルヌールとミシュリーヌ・プレール(『偽れる装い』)の二人の女優も実にいい。
全体的に、他に印象的だった俳優はダニエル・ダリュー、フェルナンデル、そしてミシェル・シモンといったあたりか。
ストーリーが面白いのはもちろんだが、とにかく出演者が豪華なので、観ていて飽きない作品である。
ジャン=クロード・ブリアリというヌーヴェル・ヴァーグを象徴する俳優が“守旧派”のデュヴィヴィエ監督の作品に出ているのも珍しいが(『第6話』)、観ていて全く違和感がないというのも興味深い。
それにしても、ブリアリという人は、そこにいるだけでヌーヴェル・ヴァーグの匂いを醸し出す俳優だ。
ジュリアン・デュヴィヴィエ監督の『埋れた青春』を国内盤DVD(IVC)で観た感想です。
『L'AFFAIRE MAURIZIUS』(53年)
監督・脚本:ジュリアン・デュヴィヴィエ
撮影:ロベール・ルフェーヴル
音楽:ジョルジュ・ヴァン・パリス
出演:ダニエル・ジェラン、マドレーヌ・ロバンソン、シャルル・ヴァネル、ジャック・シャバッソール、エレオノラ・ロッシ=ドラゴ、アントン・ウォルブルック、ベルト・ボヴィ
再見。
ジュリアン・デュヴィヴィエ監督の戦後の作品中でも傑作の一本だと思います。
緻密に組み立てられた脚本やドラマ構成が見事で、ミステリアスな殺人事件の真相の謎を、男女関係の複雑な恋愛模様や弁護士一家の家庭環境などを絶妙に絡ませながら描き出しています。
世間ではあまり知られていないようなのが残念なのですが、個人的にも大好きな映画の一本。
キャストも素晴らしい。
大学教授役のダニエル・ジェランは、清潔感のある雰囲気、物腰がいいですし、美術評論家ワレムを演じたアントン・ウォルブルックの人間味丸出しの演技も見もの。
また検事役の名優シャルル・ヴァネルの老獪な演技、存在感はさすがですし、その一人息子役ジャック・シャバッソールの迫真の演技も素晴らしい。
女優では、エリザベート役のマドレーヌ・ロバンソンもいいですが、アンナ役のエレオノラ・ロッシ=ドラゴがとにかく印象的。
この女優は、ミケランジェロ・アントニオーニ監督の『女ともだち』(55)にも主演していますが、大柄な体格や美貌がイングリッド・バーグマンをどこか彷彿とさせ、とにかく美しい。
それでいて、清潔感のある風貌の裏に淫靡な色気もあり、これでは男は狂うはず(笑)。
その意味において、この作品での彼女の役柄はファム・ファタールと言えなくもありません。
ちなみに彼女に関心があるならば、ジャン=ルイ・トランティニャンと共演したヴァレリオ・ズルリーニ監督のイタリア映画『激しい季節』(60)も必見。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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