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オーディトリウム渋谷でジャン=リュック・ゴダール監督の特集上映があります。
特集は大きく分けて二つ。
●『ジャン=リュック・ゴダール+ジガ・ヴェルトフ集団 WEEK』
日本初公開作品を含む“ゴダール政治の時代”全6タイトル連続上映!
●『ジャン=リュック・ゴダール特集上映 映画史と政治、そして原点』
『勝手にしやがれ』、『気狂いピエロ』他、ゴダールの映画史”最重要作品をゴールデンウィークにセレクト上映!
ちなみに、IVCからは5月31日に『ジャン=リュック・ゴダール+ジガ・ヴェルトフ集団 Blu-ray BOX』が発売されます。
ジャン=リュック・ゴダール監督の『中国女』を国内盤DVDで観た感想。
『La Chinoise』(67年)
監督・脚本:ジャン=リュック・ゴダール
撮影:ラウル・クタール
出演:アンヌ・ヴィアゼムスキー、ジャン=ピエール・レオー、ミシェル・セメニアコ、レックス・デ・ブルイン、ジュリエット・ベルト、フランシス・ジャンソン
再見。
この映画を語る上では、68年5月のパリ五月革命の前年、中国の文化大革命初期の67年という製作時期が重要なのであろうが、今この映画を観ると、なんのためのどういう映画なのかよく分からない。
もちろん、毛沢東主義にかぶれた学生たちを描いた映画だから、共産主義のプロパガンダ映画のように思いがちだが、どうも単純にそうとは思えないのだ。
というか、この映画を観る限りでは、共産主義、あるいはそれを信奉する活動家たちを茶化した映画としか私には思えない。
ただ、翌年のパリ五月革命以降、ゴダールは商業映画から離れ、先鋭化した政治映画にのめり込んでいくわけで、その意味では、この映画で語られているような思想をゴダールもそれなりに共有していたのだろう。
まあ、正直なところ、そういったゴダールの思想なり、思想形成なりに私個人はほとんど興味ないのであえて深く立ち入ろうとは思わない。
それはさておき、今観てもこの映画は(主にビジュアル面だが)魅力的である。
例によって赤、黄、青といった原色を多用した色彩感覚、そして、ジャン=ピエール・レオー、アンヌ・ヴィアゼムスキー、ジュリエット・ベルトといった若い俳優陣がやけに魅力的だし、映画全体を貫くどこかコミカルな味わいが絶妙。
そして、この映画の意外なほど明るい映像にはこの種の政治映画にありがちな暗さ、重苦しさがほとんどない。
思想的内容はさておき、ゴダールの映像に対する視覚的センスはここでも天才的であると言わざるをえないのである。
一方で、当時のゴダールの影響力からして、この映画を見て左翼になっちゃった人とか文化大革命を支持した人とか世界にいっぱいいたんだろうなぁと思うと、手放しでは賞賛できないというのが私の本音。
ジャン=リュック・ゴダール監督の『ヌーヴェルヴァーグ』を国内盤DVDで観た感想。
『NOUVELLE VAGUE』(90年)
監督・脚本:ジャン=リュック・ゴダール
撮影:ウィリアム・ルプシャンスキー
出演:アラン・ドロン、ドミツィアーナ・ジョルダーノ、ロラン・アムステュツ、ラファエル・デルパール
初見。
紀伊国屋から出ているこの映画のDVDを所有しているのでこれまで何度もトライしたのだが、映画が始まって10分ほどで睡魔に襲われることが常で、ずっと観ることが叶わなかった。
今回なんとか最後まで観ることができてそれだけでも感慨無量である。
それにしても、この映画を最後まで観るのはしんどかった。
正直言って観ていてつまらなくてしょうがなかったのだ。
ゴダールの映画だから、と納得して(諦めて?)いなかったら、またあのアラン・ドロンが出ていなかったら途中で観るのをやめてしまっていたかもしれない。
確かにいろいろ深読みのできる言葉や美しい映像は出てくる。
また、アラン・ドロンのキャリアを知っていればニヤリとするようなシーンも用意されている。
それらを味わうのはある種知的な作業であり、そういったことを楽しむ能力や余裕が備わっている人にはこの映画は格別の魅力があるかもしれないが、私はこの映画から強く惹き付けるだけの魅力は感じなかった。
観ている間中も、観終わってからもどこかどんよりした重い気分だけが残った。
遠い将来はわからないが、今は再び観直してみようという気にもならない。
DVDの特典映像にゴダールと村上龍の対談が収録されている。(20数分)
対談といっても、村上龍はゴダールに関心があるが、ゴダールは村上龍に明らかに関心がないわけで、村上龍のゴダールに対するインタビューというのが実情なのだが(ハッキリ言って情けない質問ばかり)、ゴダールの受け答えは結構真面目である。
ゴダールの言葉を聞いていると、今さらながらだが、この人が“普通の映画”を撮る気がもはや全くないことが分かる。(いわゆる“ストーリー”は小説家に任せればいいと言っている)
まあ、“普通の映画”を撮らなかったからこそゴダールは生ける伝説になったわけで、そんなものを期待する方が大間違いなのだが、こんな映画を見せられるともうちょっとなんとかならないの?と言いたくもなる。
つまりは、私がゴダールのことを何も分かってないってことなんだろうけど・・・。
こんなタイトルの本が新書で出ていましたので、買ってきました。
最初のジーン・セバーグの項を読み終えましたが、なかなか面白いので、この先読み進めるのが楽しみです。
そのものズバリのタイトルの本が出ています。
正直なところ、その知名度の割に『勝手にしやがれ』とか『悲しみよ、こんにちは』くらいしか主たる出演作が思い浮かびませんが、彼女、プライベートでもそうとう紆余曲折の人生を送ったようで、時間をかけてじっくり読んでみたい本です。
6月8日、スタジオ・カナル・コレクションからジャン=リュック・ゴダール監督の『勝手にしやがれ』と『気狂いピエロ』の国内盤ブルーレイが発売されます。
それそれ特典映像も豊富で、これまで観たことのないものが大半のようです。
個人的には『気狂いピエロ』のカラー映像がブルーレイで観られるのが楽しみですね。
ちなみに、スタジオ・カナル・コレクションにはゴダールの『軽蔑』、そしてメルヴィルの『仁義』も海外ではラインアップに加えられておりますので、いずれ国内盤ブルーレイが発売されるのでは、という期待が高まります。
ジャン=リュック・ゴダール監督の『軽蔑』を国内盤DVD(東北新社)で観た感想。
『LE MEPRIS』(63年)
監督・脚本:ジャン=リュック・ゴダール
原作:アルベルト・モラヴィア
撮影:ラウール・クタール
音楽:ジョルジュ・ドルリュー
出演:ミシェル・ピコリ、ブリジット・バルドー、ジャック・パランス、フリッツ・ラング
再見。
アルベルト・モラヴィアの原作を映画化したもので、カルロ・ポンティ、ジョルジュ・ド・ボールガール製作。
ゴダールとしては異例の高額予算で撮られた大作映画である。
何度も観ている映画だが、正直なところ、それほど好きなゴダール映画というわけではない。
しかし、後半のカプリ島の海、そして舞台となった別荘が美しく印象的で、それを観るためにこの映画をまた観ようという気になっているような気がする。(もちろん、それだけではないが)
ところで、上記二人の製作はメルヴィルの『モラン神父』(61)『いぬ』(62)と同じである。
それもそのはず、この原作は、メルヴィルがジャン=ポール・ベルモンド、ジャンヌ・モロー主演で映画化するという話もあったという。
一方、ゴダールも元々はフランク・シナトラ、キム・ノヴァク主演で映画化を計画していたらしく、結局ミシェル・ピコリ、ブリジット・バルドー主演で落ち着いたわけだが、結果的にゴダールがメルヴィルの企画を横取りしてしまった映画だと言えるだろう。
もしかしたら、この映画がメルヴィルとゴダールの仲違いの原因のキッカケとなってしまったのかもしれない。
どちらにせよ、ブリジット・バルドーが出演したゴダール映画は後にも先にもこの一作。
その意味でも貴重であるが、ゴダールがバルドーにアンナ・カリーナのような演技を求めたために、バルドーが撮影中にキレてしまったと言われている。
大スター、バルドーにしてみたら、当時のアンナ・カリーナなど格下のまた下くらいの存在であったろうから、それはプライドが許さなかったのだろう。
ゴダールにしてみたら、この映画にはアンナ・カリーナとの自身の結婚生活の苦悩が明らかに投影されており、バルドーにアンナ・カリーナ的なものを求めるのは自然なことだったのかもしれない。(ちなみに、映画中にバルドーが着用する黒髪のウィッグは『女と男のいる舗道』(62)でカリーナが着用したものとクリソツである。またミシェル・ピコリが着用している帽子はゴダールの私物だったという)
大雑把なストーリーとしては夫婦関係の崩壊を描いた単純なものであるが、映画産業における製作者と監督、脚本家の関係も包含しているので、なかなか深い。
中盤の夫婦のアパートの中でのいがみ合いの場面がちょっと長く感じるが、全体としてはゴダールらしいハチャメチャ具合は少ない。
その点が物足りなく感じる人もいるかもしれないし、だからこそ落ち着いて観られるという人も多いだろう。
特筆すべきはフリッツ・ラングが実名の映画監督役で出演していることで、登場シーンも多めなのが嬉しいが、その存在感、貫録、気品とも素晴らしい。
ジョルジュ・ドルリューの音楽は、それ自体は素晴らしいが、同じテーマがあまりにも何度も繰り返し使われているのは少々興醒めである。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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