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ユニバーサル盤DVD『仁義』をやっと観終わりました。
この作品を通して観るのは本当に久々なのですが、新しい字幕で映画を観るとこれまで観てきたIVC盤の字幕との違いがいろいろと気になって、まるで初めてこの作品を観るような印象を持ちました。
字幕の違い等の細かい検証はいずれ時間の取れた時にやりたいと思いますが(我ながら半信半疑)、とりあえず、DVDの仕様等についての簡単な雑感はファンサイトのDVDのページに書きました。
それにしても静かな印象を与える作品です。
音楽らしい音楽が鳴るのはサンティのクラブのシーンとエンドクレジットだけですし、メルヴィル映画らしくセリフも少ない。
登場人物も声高に声を張り上げることはほとんどなく、皆つぶやくようにボソボソ言うばかり。
それに、改めて気づかされましたが、他の映画でなら『ストーリーに直接関係ない!』とプロデューサーに削除されてしまいそうな細かい描写が数多くあります。
よくもまあ、プロデューサー(ロベール・ドルフマン)が認めたなぁという感じ。
そういったシーンをちょこちょこと削除すれば、映画は楽々2時間以内で収まったでしょうからね。(実際は2時間20分)
それでいて、ストーリーの分かりやすさを補完するような描写や説明は最低限に抑えられています。
こういったところを押し切れるのは、やはり、監督の力なのでしょうか。
または、それを認めたプロデューサーに見る目があったということなのか。
おそらくはその両方なのでしょうが、そういったいわゆる“無駄”や“難解さ”によって、作品に深いコクが加味されていることは紛れもない事実だと思います。
それらの要素もあってか、この作品は繰り返し観ても、全く飽きることがありません。
それでも、このような、決して通俗的とも思えない作品が公開時にフランス国内で400万人を超える記録的な大ヒットだったという事実には驚かされます。(あの『ボルサリーノ』と並ぶ観客動員)
公開直前に亡くなったブールヴィル(マテイ警視役で、もともとはフランスの大コメディアン兼俳優兼歌手)の遺作となったことも大きな理由の一つでしょうが、それだけではここまで当たらないでしょう。
アラン・ドロンやイヴ・モンタンといったスターの出演も当然大きな要素の一つでしょうが、やはり、映画の内容そのものが当時のフランスの大衆にウケなければ、ここまでの大当たりにはならなかったはずです。
こういった地味で静かな映画が1970年当時のフランスの大衆に支持されたという事実は今日の我々からすると不可思議ではありますが、今日の日本では決してありえない状況であるだけに(もしや今日のフランスでも?)、その時代の受容風土というか、精神状況?をどこか羨ましく感じてしまいます。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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