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Criterion盤DVD『仁義』の特典映像に収録された、助監督ベルナール・ストラのインタビューの続きです。
『ワンテイク』
通常、映画監督は自分がどんなカットを撮りたいかを助監督に説明し、それを引継いだ助監督が全ての準備を整えます。
それから助監督は、監督の控え室に行って声をかけるのです。
「監督、撮影の準備が整っています」
監督は現場に現れ、リハーサルをし、撮影をしたりしなかったりするわけです。
メルヴィルの場合、その点は非常に明確に準備されました。
間際になって彼を呼びに行くと、彼は問います。
「準備はできたか?」
「はい、監督。 準備は万端です」
確かに我々は、彼を呼びに行く前に、上手くいかないところを何度もリハーサルして確認し、準備を万端にしていました。
そこにメルヴィルが現れ、リハーサルをし、あるいは、彼の慣習として、通常ワンテイクで撮影をしました。
彼は予備のテイクを見ようとはしませんでした。
というのも、最初のテイクが通常良い出来だったからです。
また、彼はリハーサルが好きではなく、控え室に戻ったものです。
彼は、珍しい方法で撮影をし、毎日が驚きの連続でした。
が、それは道理に適っており、我々が予想したような方向へはいかずとも、失望させられることはありませんでした。
ただ実は、彼は監督するにあたって ― 面白いことに ― 台本を持ってこなかったので、我々は前日やその朝に台本を再読せねばなりませんでした。
我々は彼がどう対応するか、撮影できるのか、不思議に思ったものです。
撮影するシーンは特別な何かがあるようには思えません。
一番印象深い例として、ブールヴィルとジャン・マリア・ボロンテの列車のシーンを挙げますが、脚本を読むだけなら、特別変わったものは何もありません。
普通の監督にとっては、特別なシーンとはならず、単に短い場面を撮ることでしょう。
けれどもメルヴィルは常に次のようなセンスを持っていました ― 私はその言い方が好きでした ― 「Kiddo 、広がりをもたせよう」 (訳注:Kiddoとはベルナール・ストラの愛称と思われる)
「広がりをもたせる」とは、ごく些細な部分、脚本の中の3行ほどの部分を、何か重要なものへと膨らませることを意味しました。
事実、映画冒頭の列車のシーンに素晴らしいサスペンスがあり、見事な出来栄えとなっています。
最も単純な状況の中から、彼は物語を展開させるのです。
この項続く。
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マサヤ
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フランス映画、ジャズ
自己紹介:
フランスの映画監督ジャン=ピエール・メルヴィル監督作品のファンサイト附属のブログです。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
リンク、コメント、TB等はご自由にどうぞ。
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