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デューク・エリントンはジャズの神様のような扱いながら日本ではあまり聴かれていない。
もしくは、聴いても途中で挫折することが多いのではないか?
かくいう私がそうだった。

まず何を聴いて良いのか分からないし、聴いたCDも良さが分からないまま聴かなくなる・・・これが20年近く繰り返し続いていた。
ビッグ・バンドに対する偏見というか、聴かず嫌いも少なからずあったように思う。

その私が近年エリントンの音楽にハマった。
きっかけは『THE REAL』という3枚組のCDを聴いてからである。

これは30年代のコロムビア録音を集めたCDで、3枚組1000円(発売当時)というのに惹かれて購入したのだが、正直言って聴き始めた瞬間、やっぱり苦手と思ってしまった。
これまでならここで聴くことをやめてしまったはずだが、なぜか今回は辛抱強く何度も聴き返した。
そのうち、徐々に音楽の魅力に目覚めてきたのだ。

30年代の録音だから当然のことながら元々の録音状態はそれなり。(マスタリングされた音質自体は良い)
それが突然、エリントンの音楽の推進力と各奏者の音の魅力に参ってしまったのだ。
それからは、20年代のコットン・クラブ時代の録音から70年代の大掛かりな組曲の数々に至るまで、エリントン魔術にズブズブとハマってしまったという次第なのである。

ところで、今回取り上げるCDは『A列車で行こう』というタイトルの日本編集(?)のベスト盤である。
もしデューク・エリントンの音楽で何を聴いてよいのか分からない人がいたなら、私ならまずこのCDを聴くことを強くお奨めしたい。

エリントンの全盛期はジミー・ブラントンという稀代のベーシストとテナー奏者ベン・ウェブスターの在籍した40年代前半の、俗に言うブラントン=ウェブスター・バンドと呼ばれる時期であるというのが通説だが、このアルバムの収録曲はほとんどその時期のものである。

40年代ということで録音の悪さにたじろぐ人もいるかもしれないが、エリントンを聴く以上は避けては通れない。
ここで迷うくらいなら引き返した方がいい。

もっとも、このCDは決して悪い音ではない。
それどころか、エリントンのこの時期の録音を収めたCDでは際立って良い音なのである。(もちろん多少のノイズはある)

実のところ、私はエリントンにハマってからもこのCDを聴くことは避けていた。
いかにもベスト盤という感じのCDのジャケット、帯ともにいかにも安っぽく、とても音質が良いようには思えなかったからだ。
ところがたまたま安く入手できたので聴いてみて驚いた。
なんというか実に生々しい音質なのだ。
特にジミー・ブラントンのベースがズンズン響いてくるのはこのCDが一番。
3枚組の『ブラントン=ウェブスター・バンド』のCDよりも私はこのCDの音の方が好きである。

収録曲はもう名曲の嵐。
特にアルバム後半にこれでもかとエリントンの名曲が並んでいるが、個人的には前半のジャンプ・ナンバーの数々が堪らない。
中でも、ベン・ウェブスターのクールなテナー・ソロが光る『コットン・テイル』は最高だ。

Cotton Tail


このアルバムを繰り返し聴くくらいエリントン・ミュージックの魔力に触れたら、次は3枚組の『ブラントン=ウェブスター・バンド』に進むのも良いかもしれない。

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趣味:
フランス映画、ジャズ
自己紹介:
フランスの映画監督ジャン=ピエール・メルヴィル監督作品のファンサイト附属のブログです。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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