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HPのトップページ(NEWS)で『仁義』のブルーレイ・ディスクがフランスで9月に発売とお知らせ済みですが、STUDIO CANALのサイトで確認したしたところ、STUDIO CANAL COLLECTION の中の一枚として、フランス、イギリス、ドイツで同時発売されるということが判明しました。
それぞれの国の字幕が付きますが、個人的には英語字幕があった方が有難いので、イギリス盤を購入予定です。
驚くべきは特典映像で、STUDIO CANALのサイトを見ますと、なんとあのドキュメンタリー映画『コードネームはメルヴィル』(08年、オリヴィエ・ボレール監督)が収録されるようです。
日本においては、昨年の同名の映画祭において2度上映されただけの幻の作品ですので、こうして市販されるのは実に嬉しいですね。
また、助監督ベルナール・ストラ、ジョゼ・ジョヴァンニ、ルイ・ノゲイラのインタビューも収録されます。
ベルナール・ストラ、ルイ・ノゲイラのインタビューは『仁義』のCriterion盤DVDにも収録されていましたので、それと同じものである可能性も高いですが、注目すべきはジョゼ・ジョヴァンニのインタビューです。
ジョゼ・ジョヴァンニとメルヴィルの仕事上の関係といえば、もちろん『ギャング』でのコラボレーションに尽きるわけですが、ジョゼ・ジョヴァンニがメルヴィルについてどのように語っているか大変興味深いところです。
ただし!
問題はリージョン・コードがBであることですねぇ…。
普通に考えて、このディスクは日本国内のブルーレイ・プレーヤーでは再生できない可能性が高いです。
心置きなく楽しむためには、リージョン・コードが同じAである米国盤の発売を待つしかないのでしょうか…。
同じSTUDIO CANAL COLLECTIONのブルーレイのシリーズで同時発売の『勝手にしやがれ』はリージョン・フリーで日本語字幕まで付くのですがね。
まぁ、日本盤が発売されるのがベストなのですが…。
フランソワ・トリュフォー監督の『恋愛日記』を国内盤DVDで観た感想。
『L’HOMME QUI AIMENT LES FEMMES』(77年)
監督:フランソワ・トリュフォー
脚本:フランソワ・トリュフォー、シュザンヌ・シフマン、ミシェル・フェルモー
撮影:ネストール・アルメンドロス
音楽:モーリス・ジョーベール
出演:シャルル・デネ、ブリジット・フォッセー、ネリー・ボルジョー
女たらしの一人の根暗男の可笑しさと悲しさを描き、トリュフォーの女性に対するオマージュをそのまま映画化したような作品。
方向性としては『私のように美しい娘』を思わせる、一種のブラックコメディとも言える内容で、ストーリー的にもかなり面白い映画です。
ベルトランを演じる主演のシャルル・デネは『黒衣の花嫁』、『私のように美しい娘』に続くトリュフォー作品への出演。
相変わらずの怪演ぶりですが(笑)、風貌といい、声といい、かなり個性的な俳優なので、それを好むか否かでこの映画に対する好みがハッキリ分かれそうです。
しかし、ジャン=ピエール・レオーのような優男風の美男子を起用せず、シャルル・デネを起用したことで、映画そのものにまた別の意味での滑稽味とリアリズムが加わったことも事実でしょう。
ストーリーも決して滑稽なだけではなく、同じ男性として考えさせられるシーンも多く(笑)、なかなか奥行きのある映画だと思います。
特に、パリのホテルで昔の彼女とバッタリ会い、会話を交わすシーンはなかなか深いなぁーと感じてしまいました。
他にも様々な女性が登場する映画でもありますが、やはり後半に登場するブリジット・フォッセーが美しく、役柄としても魅力があります。
ラストで、ブリジット・フォッセーが一人一人の女性の論評をするシーンも笑えますし、私自身はこの作品、かなり好きです。
ロバート・ワイズ監督の『拳銃の報酬』を国内盤DVDで観た感想。
『ODDS AGAINST TOMORROW』(59)
監督:ロバート・ワイズ
脚本:エイブラハム・ポロンスキー
撮影:ジョセフ・ブルン
音楽:ジョン・ルイス
出演:ハリー・ベラフォンテ、ロバート・ライアン、シェリー・ウィンタース、エド・ベグリー、グロリア・グレアム
『私を最も魅了したアメリカのポリス・スリラー、それは『アスファルト・ジャングル』と『拳銃の報酬』の2本だよ…』
(Criterion盤DVD『仁義』の特典映像に収録されているジャン=ピエール・メルヴィル監督の1973年のインタビュー映像より)
再見。
ロバート・ワイズ監督といえば、『ウエスト・サイド物語』『サウンド・オブ・ミュージック』といった名作ミュージカル映画の監督として有名なので、今ではミュージカル映画の監督のように思われる人もいるかもしれませんが、初期はRKOに所属、低予算のフィルム・ノワール作品を監督していました。
主な作品にロバート・ライアン主演のボクシング映画『罠』(49)があります。
(以前『罠』について書いた記事)
この作品は、それまでのハリウッド映画における黒人の描かれ方に不満を感じていた黒人ポップス歌手のハリー・ベラフォンテが、主演の他に製作も兼ね、ワイズに監督を依頼した作品とのことです。
この映画はこれまで国内ソフトが存在せず、海外盤DVDで観ていましたので、今回初めて日本語字幕付きのソフトで観ました。
改めて観直してみて、ハリー・ベラフォンテ、ロバート・ライアン、エド・ベグリーの主演3人の存在感、バランスがとてもいいですね。
特にハリー・ベラフォンテとロバート・ライアンの黒人白人の対比がいかにもリアリティがあります。
3人のまとめ役エド・ベグリーもなかなか好演しています。
モノクロ時代の最後のフィルム・ノワールとも言われる、犯罪映画の傑作ですが、全体的にどこか“ドヨン”とした弛緩した雰囲気といいますか、倦怠感とでもいったような独特の雰囲気のある映画です。
この雰囲気を好むか否かで映画の評価はかなり異なることでしょう。
私はこの雰囲気がとても好きですが。
今回見直して特に印象的だった場面は、決行当日ハドソン河で落ち合った三人が決行までの数時間を過ごす間の描写です。
三人がそれぞれ別々に何をするでもなく、じっと時の過ぎるのを待っているだけなのですが、映像だけで三人の不安、焦燥感、銀行襲撃にかける思いといったようなものが見事に伝わってきます。
私はこれを観て、メルヴィルの『ギャング』(66)におけるプラチナ強奪シーンを思い起こしました。
ロバート・ライアン絡みでシェリー・ウィンタースとグロリア・グレアムという二人の女優が出演してますが、しどころはあまりありません。
グロリア・グレアムに往年のオーラ?が感じられない点がちょっと残念。
あと忘れてならないのがジョン・ルイスによる音楽の魅力で、作品のムードを見事に表現しています。
メルヴィルの『仁義』(70)の音楽を担当したエリック・ドマルサンは、この『拳銃の報酬』のサントラをメルヴィルに何度も聴かされたということです。
メルヴィル曰く『これこそが私が求めている音色なんだ!』
事実、『仁義』のエンディング・テーマと『拳銃の報酬』のオープニング・テーマはそっくりです(笑)。
皮肉な結末は今見ても説得力があります。
以前この ブログでもお知らせした『マンハッタンの二人の男』の国内盤DVD(エンタメ・プライス)がついに発売になりました。
これまででは考えられない廉価での発売となっておりますので、お持ちでない方はこの機会に是非!
映画は間違いなくメルヴィルの傑作の一本であり、その魅力的な内容についてはここで改めて語るまでもないでしょう。
ロバート・アルドリッチ監督の『北国の帝王』を国内盤DVDで観た感想。
『EMPEROR OF THE NORTH』(73年)
監督:ロバート・アルドリッチ
脚本:クリストファー・ノップ
撮影:ジョセフ・バイロック
音楽:フランク・デ・ヴォール
出演:リー・マーヴィン、アーネスト・ボーグナイン、キース・キャラダイン、チャールズ・タイナー、サイモン・オークランド、マット・クラーク
初見。
“男映画”として大変評判の良い作品だから、期待して観始めたのだが…どうも私の好みではなかった。
キース・キャラダインのキャラが癪に障ってしようがなかったからかもしれない。
それに比べると、リー・マーヴィンとアーネスト・ボーグナインの面構え(この言葉がピッタリ)と存在感は素晴らしく、この二人に関しては文句のつけようがない。
それにしても、リー・マーヴィンは若い頃に比べていい顔になってるなぁ。
ラストの闘いは圧巻である。
フレンチ・フィルムノワールのサントラCDのコンピレーションものといえば、以前このブログでも紹介したことがある『フレンチ・フィルムノワール・アンソロジー』(全4種)が定番と言えるでしょう。
とはいえ、国内盤輸入盤含め、全4種ともに10年ほど前に発売になったきり、長らく廃盤となっていましたが、最近なんと『VOL.3』のみ国内盤で再発されていました。
『VOL.3』は80年代の作品が主となっていますが、ハッキリ言って『VOL.1』や『VOL.2』の方がより需要があると思われるので、これらも是非再発して欲しいものです。
クロード・ソーテ監督の『墓場なき野郎ども』を国内盤DVD(IVC)で観た感想。
『CLASSE TOUS RISQUES』(60年)
監督:クロード・ソーテ
原作:ジョゼ・ジョヴァンニ
脚本:クロード・ソーテ、ジョゼ・ジョヴァンニ、パスカル・ジャルダン
撮影:ギスラン・クロケ
音楽:ジョルジュ・ドルリュー
出演:リノ・ヴァンチュラ、ジャン=ポール・ベルモンド、サンドラ・ミーロ、マルセル・ダリオ、ミシェル・アルダン、クロード・セルヴァル、ジャック・ダクミーヌ、シャルル・ブラヴェット、ジャック・ダクミーヌ、スタン・クロル
再見。
実在のギャング、アベル・ダノスをモデルとしたジョゼ・ジョヴァンニの原作小説を映画化した作品であり、“友情”と“裏切り”を鮮烈に描いた、いかにもフレンチ・ノワールらしい作品である。(映画ではアベル・ダノスの名前がアベル・ダヴォスと変えられています)
それにしても、この映画はいい。
我らがジャン=ピエール・メルヴィル監督が絶賛したことでも知られる作品だが、デビュー間もないクロード・ソーテ監督の見事な演出、それに、キャストの充実ぶりには目を見張る。
とりわけ、かつての仲間に邪険にされ、怒りに震えるアベル・ダヴォス役のリノ・ヴァンチュラが最高。
そして、『勝手にしやがれ』(59)でデビューしたばかりの若きジャン=ポール・ベルモンドが素晴らしい。
ヴァンチュラとベルモンドの友情関係がサラリと、それでいてなんとも義理深く描かれているのがこの映画の大きな魅力であり、この二人以外の脇役陣の層が厚いのもこの映画の優れた点である。
ことにサンドラ・ミーロが色気があって良く、ストーリー全体へのベルモンドとのロマンスの溶け込み具合が絶妙であるし、クロード・セルヴァル(メルヴィルの『賭博師ボブ』にも出演。ロシアのメドベージェフ大統領にそっくりだ!)、エメ・ド・マルシュ(『いぬ』『最後のアドレス』)の出演も個人的に嬉しい。
また、出番は少ないが、刑事役のジャック・ダクミーヌもいい。
この人は『殺られる』(59。エドゥアール・モリナロ監督)でのギャング役も良かったが、どこか30年代風な古風な顔立ちが魅力的な俳優だ。
他に、名優マルセル・ダリオ(『大いなる幻影』『ゲームの規則』)まで出演していることに驚かされるが、この人も出番は多くものの、さすがに上手い。
また、DVDの解説の山田宏一氏によると、ヴァンチュラの妻テレーズ役の女優(シモーヌ・フランス)はジョゼ・ジョヴァンニの実妹だという。
アパートの洗濯女もいい存在感だ。
ギスラン・クロケの撮影も魅力的だし、ジョルジュ・ドルリューの音楽もシンプルながら、効果的。
監督も迷ったというラストがアッサリし過ぎていて微妙と言えば微妙だが、この作品が傑作であるという事実に変わりはないと思う。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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