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9月12日、パリにおいてクロード・シャブロル監督が80歳で亡くなりました。
現在のところ死因は不明。
http://www.cinematoday.jp/page/N0026859
言うまでもなく、ゴダール、トリュフォー、ロメール、リヴェットらと並んで、“ヌーヴェル・ヴァーグ”の代表的監督の中の一人であり、近年も精力的に監督活動を行っていました。
遺作は2009年の『ベラミー / Bellamy』(日本未公開)。
初期には『美しきセルジュ』(58)『いとこ同志』(59)『二重の鍵』(59)『気のいい女たち』(60)等の秀作、60年代後半からは、当時の妻であったステファーヌ・オードランを主演に迎えた、俗に“エレーヌもの”と呼ばれる特異な恋愛犯罪映画を次々と監督しました。
また、我らがジャン=ピエール・メルヴィル監督との関係も良好で、『恐るべき子供たち』(50)や『賭博師ボブ』(55)といったアンリ・ドカが撮影したメルヴィルの初期作品に魅了されていたシャブロルは、先に挙げた自身の初期作品にことごとくドカを撮影監督に迎えていますし、『青髭』(62)においては、メルヴィルに俳優として出演してもらっています。
個人的には、つい先日『女鹿』(68)をDVDで観て魅了されたばかりでした。
70年代以降の作品を観る機会が少なかったのは残念ですが、初期の作品はシャブロル独特ともいえる“苦味”を感じさせる作風のものが多く、好き嫌いが分かれるところかもしれません。
私個人も必ずしもすべてが好きな作風というわけではありませんでしたが、国内未公開作が大変に多い監督でしたので、今後さらに国内DVD化が進むことを願っています。
それにしても、フランスの映画監督の訃報がこのところ多くなっているのはフランス映画ファンの一人としてとても残念です。
今年の1月には巨匠エリック・ロメール監督も亡くなりましたし、メルヴィルの『ギャング』のリメイク作『マルセイユの決着(おとしまえ)』(07)のアラン・コルノー監督も8月の末に67歳で亡くなったばかりです。
あれよかれよという間にヌーヴェル・ヴァーグの監督で健在なのはリヴェットくらいになっちゃいましたね。
あ、ゴダールがいたか…。
シャブロル監督のご冥福をお祈りしたいと思います。
ジャン=リュック・ゴダール監督の『男性・女性』を国内盤DVD(ギャガ・コミュニケーションズ)で観た感想。
『MASCULIN FEMININ』(65年)
監督・脚本:ジャン=リュック・ゴダール
撮影:ウィリー・クラン
音楽:フランシス・レイ
出演: ジャン=ピエール・レオー、シャンタル・ゴヤ、マルレーヌ・ジョベール、カトリーヌ=イザベル・デュポール、ミシェル・ドゥボール、ブリジット・バルドー、フランソワーズ・アルディ
再見。
ゴダールでは『気狂いピエロ』と『メイド・イン・USA』の間のモノクロ作品となる。
この作品を観るのは今回で3回目くらいだが、正直言って、以前観た時はつまらないという印象しか残らなかった。
ところが、今回観直してみて、意外なほど楽しめた。
ほとんど期待しないで観始めたせいだろうか。
確かに男女間の会話がほとんどの内容で100分あまりの長さは冗長な感は否めないのだが、パリのロケ撮影の生々しさと出演俳優たちの若々しさが相俟って、なんとも惹きつけられたのである。
撮影が珍しく盟友ラウル・クタールではなくウィリー・クランなのだが、これが決して作品の弱点にはなっていない。
それどころか、ドキュメンタリー・タッチでパリの表情を切り取った映像は大変魅力的だった。
主演のジャン=ピエール・レオーとシャンタル・ゴヤもいい。
この映画においても、やはりジャン=ピエール・レオーはいつものジャン=ピエール・レオーであり、その意味において彼らしいとしか言いようのない役柄だが、ここまでイキイキと(彼自身?を)演じ切っていると観ていて気持ちいい。
ジャン=ピエール・レオーといえば、どうしてもトリュフォー作品のイメージの方が強いわけだが、(『メイド・イン・USA』『中国女』等、他のゴダール作品の印象も含め)ゴダール作品との相性は良いと思う。
ヒロインのシャンタル・ゴヤはアップになると意外なほど角張った顔立ちなのが気になるが、可憐さは申し分ない。
アンナ・カリーナの不在を物足りなく感じさせないだけでも上出来である。
そして、今回観ていて初めてマルレーヌ・ジョベール(『最後のアドレス』『雨の訪問者』のヒロイン)がこの映画に出ていることに気付いた。
あまり目立つ役ではないが、常にシャンタル・ゴヤに寄り添っている関係はどことなくレズビアンの匂いが漂っている。
また、レオーの友人役のミシェル・ドゥボールがいい。
映画の冒頭でのカフェのシーンにおけるレオーとのやり取りもいいが、カトリーヌ=イザベル・デュポールを口説いている時のニヤついた表情が最高。
ところで、山田宏一著『ゴダール、わがアンナ・カリーナ時代』(ワイズ出版)によれば、
ゴダールの「政治の季節」がはじまるのは『男性・女性』からである。(327p)
ということで、実際、この後のゴダールの映画の内容はどんどん政治的になってゆくわけだが、この作品は政治的な色合いは確かにあるものの、それ一辺倒というわけではなく、まだなんとか気にせずに観ていられるレベルだと思う。
アラン・ドロン生誕75周年記念映画祭が10月23日(土) から11/12(金) まで新宿K’s cinemaで開催されます。
http://www.so-net.ne.jp/movie/news/?type=show&id=308
公式サイト(http://cinefil-imagica.com/dvd/ad75/)(9月中旬オープン予定)
上映作品は次の5本。
『若者のすべて』(監督:ルキーノ・ヴィスコンティ 60年)
『地下室のメロディー』(監督:アンリ・ヴェルヌイユ 63年)
『黒いチューリップ』(監督:クリスチャン・ジャック 63年)
『世にも怪奇な物語』(監督:ルイ・マル他 67年)
『あの胸にもういちど』 (監督:ジャック・カーディフ 68年)
ドロンさんの映画祭が開催されることは快挙だと思いますし、そのこと自体は大変嬉しいのですが、一言だけ言わせて下さい。
なぜメルヴィル作品がないんだ!!
今回は60年代の作品に限っているようですので、60年代のドロン×メルヴィル作品といえば“アレ”しかないわけですが…。
ましてや、映画祭の副題が“スクリーンに香るダンディズム。”というのであれば…。
やはり一言では済みませんでしたが(笑)、それはともかく、いろいろな事情はあるのでしょうけど、ラインアップは正直なところちょっと微妙ですね。
メルヴィルのことはともかく、『太陽がいっぱい』などルネ・クレマン監督の作品がないのは解せないところがあります。
個人的に、『若者のすべて』は2004年のヴィスコンティ映画祭で観た時に字幕のアクシデントで何度か上映が止まってしまうという悲惨な事態に遭遇しましたので、今度こそはリベンジ?したいという思いがあるのですが。
大好きな映画ですので、今度出るニューマスターのDVDも買う予定です。
ルネ・クレマン監督の『パリは霧にぬれて』を国内盤DVD(紀伊国屋レーベル)で観た感想。
『LA MAISON SONS LES ARBRES』(71年)
監督:ルネ・クレマン
脚本:ルネ・クレマン、ダニエル・ブーランジェ
撮影:アンドレア・ウィンディング
音楽:ジルベール・ベコー
出演:フェイ・ダナウェイ、フランク・ランジェラ、バーバラ・パーキンス、モーリス・ロネ、カレン・ブラック
初見。
以前紹介した『雨の訪問者』(70)と同様のロマンティックな雰囲気濃厚な、この時期のルネ・クレマン独特のムード・サスペンス。
オープニングのタイトルバックが美しく印象的。
随分前に観た『ラスト・コンサート』(76)とかもそうだったけど、70年代ってこういうソフト・フォーカスの撮影って流行だったのかなぁ。
まぁ、映画の内容は全然違うが…。
この作品は前半がどうにも暗く、物語に入り込みにくいが、中盤あたりから盛り返す。
とにもかくも、フェイ・ダナウェイが美しく撮られた映画で、そのお姿を拝めるだけでも満足度は高い。
そのせいもあって、一般的な評価はあまり高くない作品なようだが、個人的には好きな作品である。
夫役のフランク・ランジェラも悪くない。
特別出演のモーリス・ロネはワンシーンのみの出演で、“組織”のボスらしき人物を演じている。
ジョーゼフ・H・ルイス監督の『拳銃魔』を国内盤DVD(ジュネス企画)で観た感想。
『GUN CRAZY』(50)
監督:ジョーゼフ・H・ルイス(ジョゼフ・H・リュイス)
脚本:マッキンレー・カンター、ミラード・カウフマン
撮影:ラッセル・ハーラン
音楽:ヴィクター・ヤング
出演:ジョン・ドール、ペギー・カミンズ、ベリー・クルーガー、モリス・カルノフスキー、アナベル・ショウ、ハリー・ルイス
再見。
ボニー&クライドものの一つ。
ゴダールの『気狂いピエロ』(65)におけるベルモンドとカリーナの車のすれ違いながらのキスシーンはこの映画の影響だろう。
改めて再見してみて、物語の構成、テンポ、演出、撮影、音楽など素晴らしいという印象。
ワンカットで撮られた銀行強盗のシーンはやはり圧巻である。
主演の二人の演技もなかなか。
とりわけバート役のジョン・ドールはいい。
一方で、個人的にどうしてもひっかかるのがアニー役のペギー・カミンズのあまり魅力的とは思えない容姿と、そのキャラに全くといっていいほど感情移入できない点である。
特に後半は見ていて退く。
ある意味、それだけ演技が優れているとも言えるが…。
ジュネス企画から出ているDVDはこのレーベルらしい今一つの画質だが、とにもかくもこのカルト?作品を日本語字幕付で観られるのはありがたい。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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