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マルコ・フェレーリ監督の『ひきしお』を国内盤DVD(カトリーヌ・ドヌーヴ トリプルBOX)で観た感想。
『LIZA』(71年)
監督:マルコ・フェレーリ
脚本:エンニオ・フライアーノ、ジャン=クロード・カリエール、マルコ・フェレーリ
撮影:マリオ・ヴルピアーニ
音楽:フィリップ・サルド
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、マルチェロ・マストロヤンニ、ミシェル・ピッコリ、コリンヌ・マルシャン
初見。
原題の“リザ”とはカトリーヌ・ドヌーヴの役柄の名前のことで、内容はエーゲ海の孤島での男女の生活を描いた作品。
あまりドラマティックな展開はないし、ここで描かれた男女の関係も一筋縄ではいかない変わったもの。
カトリーヌ・ドヌーヴとマルチェロ・マストロヤンニの魅力で持っているような映画で、二人が出ていなかったらかなり詰まらない映画だったに違いない。
というか、この二人が出ていてさえも、観ていて眠気を我慢するのに苦労した。
ロケーションと映像、フィリップ・サルドの物憂げなスコアは良かったけど。
ちなみに、コリンヌ・マルシャン(『5時から7時までのクレオ』)はマストロヤンニの本妻役。
ミシェル・ピッコリは同じくマストロヤンニの友人役でパリの場面でほんの少し顔を出すだけ。
アラン・ジェシュア監督の『ショック療法』を国内盤DVD(紀伊国屋レーベル)で観た感想。
『TRAITEMENT DE CHOC』(72年)
監督:アラン・ジェシュア
脚本:アラン・ジェシュア、ロジェ・キュレール
撮影:ジャック・ロバン
音楽:ルネ・コーリン、アラン・ジェシュア
出演:アラン・ドロン、アニー・ジラルド、ミシェル・デュショーソワ、ジャン=フランソワ・カルヴェ
初見。
ホラー的要素のあるサスペンス映画といったらいいか。
映画前半はいかにも70年代のフランス映画らしい空気感が心地よい。
そこに徐々に迫りくる黒い影と不気味な謎・・・といった様相のストーリー展開も面白く、個人的には楽しめた。
アラン・ドロン主演作とはいってもドロン自身はほとんど受けに徹しているので、アニー・ジラルドの実質的主演みたいな映画だが、さすがに演技が上手いので安心して見ていられる。
ちなみに、今回観たDVDでは例の有名なシーンは無修正。
あの海のシーンは映画中のアクセントとして結構いいシーンだったように思う。
ニューマスターを謳ったDVDの画質もまずまず。
来る6月8日にアラン・ドロンの70年代の主演映画3本の国内盤Blu-rayとDVDがパラマウントから発売されます。
●『フリック・ストーリー』(75年 ジャック・ドレー監督)
●『友よ静かに死ね』(77年 ジャック・ドレー監督)
●『チェイサー』(77年 ジョルジュ・ロートネル監督)
いずれもDVDは再発となりますが、国内盤ブルーレイは初発売。
『フリック・ストーリー』『友よ静かに死ね』の2作は最近まで紀伊国屋書店からDVDが出ていましたが、権利が移行したようです。
なんといっても注目は『チェイサー』で、国内盤DVDが長らく廃盤でしたし、DVDの画質もあまり良くなかったので、今回の再発は歓迎されるのではないでしょうか。
ブルーレイ、DVDともに価格が抑えられているのも嬉しいところです。
さて、われわれが待ち望んでいる“あの作品”はいつ再発されるのでしょうか・・・。
クロード・シャブロル監督の『沈黙の女 ロウフィールド館の惨劇』を国内盤DVDで観た感想。
『LA CEREMONIE』(95年)
監督:クロード・シャブロル
脚本:クロード・シャブロル、カロリーヌ・エリアシェフ
撮影:ベルナール・ジツェルマン
音楽:マチュー・シャブロル
出演:イザベル・ユペール、サンドリーヌ・ボネール、ジャクリーン・ビセット、ジャン=ピエール・カッセル、ヴィルジニー・ルドワイヤン
初見。
ろくに出演者も確認せずに観始めたものだから、まず映画の冒頭で出てきたオバサンがあのジャクリーン・ビセットであることに気づいてビックリ。
しかも、ジャン=ピエール・カッセル(『影の軍隊』)とヴィルジニー・ルドワイヤンまで出ているではないか!
さすがシャブロルというべきか、なんたる豪華キャスト!
主演はイザベル・ユペールとサンドリーヌ・ボネールの二人だが、二人の名コンビっぷり、弾けっぷりがかなりの見もの。
というか、イザベル・ユペール、やっぱりすごい。
この人はなんでもできるんじゃないだろうか。
それにしてもこんな役のオファー、よく受けたな。
サンドリーヌ・ボネールはもともと美人だと思うけど、この映画では美人に見えたり見えなかったりと微妙。
でも、それがこの映画の役柄によく合っていた。
後半はなんでこうなっちゃうの?という展開なのだが、力技でねじ伏せられちゃった感じ。
それも、テクニックがあまりに鮮やかなので見ている側は啞然呆然という感じなのだ。
間違いなくこれもシャブロルの傑作。
ジャン=リュック・ゴダール監督の『中国女』を国内盤DVDで観た感想。
『La Chinoise』(67年)
監督・脚本:ジャン=リュック・ゴダール
撮影:ラウル・クタール
出演:アンヌ・ヴィアゼムスキー、ジャン=ピエール・レオー、ミシェル・セメニアコ、レックス・デ・ブルイン、ジュリエット・ベルト、フランシス・ジャンソン
再見。
この映画を語る上では、68年5月のパリ五月革命の前年、中国の文化大革命初期の67年という製作時期が重要なのであろうが、今この映画を観ると、なんのためのどういう映画なのかよく分からない。
もちろん、毛沢東主義にかぶれた学生たちを描いた映画だから、共産主義のプロパガンダ映画のように思いがちだが、どうも単純にそうとは思えないのだ。
というか、この映画を観る限りでは、共産主義、あるいはそれを信奉する活動家たちを茶化した映画としか私には思えない。
ただ、翌年のパリ五月革命以降、ゴダールは商業映画から離れ、先鋭化した政治映画にのめり込んでいくわけで、その意味では、この映画で語られているような思想をゴダールもそれなりに共有していたのだろう。
まあ、正直なところ、そういったゴダールの思想なり、思想形成なりに私個人はほとんど興味ないのであえて深く立ち入ろうとは思わない。
それはさておき、今観てもこの映画は(主にビジュアル面だが)魅力的である。
例によって赤、黄、青といった原色を多用した色彩感覚、そして、ジャン=ピエール・レオー、アンヌ・ヴィアゼムスキー、ジュリエット・ベルトといった若い俳優陣がやけに魅力的だし、映画全体を貫くどこかコミカルな味わいが絶妙。
そして、この映画の意外なほど明るい映像にはこの種の政治映画にありがちな暗さ、重苦しさがほとんどない。
思想的内容はさておき、ゴダールの映像に対する視覚的センスはここでも天才的であると言わざるをえないのである。
一方で、当時のゴダールの影響力からして、この映画を見て左翼になっちゃった人とか文化大革命を支持した人とか世界にいっぱいいたんだろうなぁと思うと、手放しでは賞賛できないというのが私の本音。
しかも中山康樹氏の著作だし。
このブログでクラシック音楽について書くのは珍しいが、これはどうしても書き残しておきたい。
ルーマニアの名ピアニスト、ラドゥ・ルプー(Radu Lupu)が11月に来日公演を行う。
●2012年11月8日 (木)19:00 開演
東京オペラシティ コンサートホール
-シューベルト・プログラム-
16のドイツ舞曲 D783, op.33
即興曲集 D935, op.142
ピアノ・ソナタ第21番 変ロ長調 D960 (遺作)
●2012年11月13日 (火)19:00 開演
東京オペラシティ コンサートホール
プログラム
フランク:前奏曲、コラールとフーガ
シューベルト:即興曲集 D935, op.142
ドビュッシー:前奏曲集第2巻
ルプーは1945年生まれだから御年66歳、“千人に一人のリリシスト”のキャッチフレーズで70~80年代はデッカレーベルに頻繁に録音を行っていたが、90年代のある時期を境に録音もインタビューも一切拒否、コンサート以外は公の場に出てこなくなった。
実は2010年秋に来日したが、初日の京都公演の後に体調不良のため残りの公演をキャンセル、帰国してしまったという。
クラシック音楽に長らくご無沙汰の私は当時そのことを知る由もなく、後からルプー来日のニュースを知り愕然としたのだが、今秋の来日公演が実現したのはもしかしたらそのキャンセルのお陰なのだろうか。
そういう意味ではラッキーといえばラッキーだが、今度の来日公演も実質11年ぶりで、次回いつあるか分からないし、今回だって本当にあるかどうかまだ分からない(どうも長時間のフライトが苦手な人らしい)。
こんなことを書くのも私が昔からルプーのピアノのファンだったから。
学生時代から彼のCDをよく聴いており、特にシューベルト(楽興の時と19番ソナタのCD、16番と18番ソナタのCD)、ブラームスの小品集のCDがお気に入りだったが、実は11年前の来日時(2001年11月)にもルプーのリサイタルを藤沢市民会館で聴いているのである。
その時は驚くことに2列目ほぼ中央という良席だったので、ルプーの音楽をまさに心行くまで堪能することができた。
プログラムはシューベルトの19番ソナタがメインで、他にベートーヴェンのソナタや同郷のエネスコの曲なども確か演奏されたと記憶しているが、やはりシューベルトの印象が強烈だった。
寡黙な人というイメージが強い割に、一旦演奏を始めるとうなり声を上げながらガンガンピアノを弾いたのには驚かされたが(特にベートーヴェン)、当然のことながらピアノの音の美しさは比類なかった。
メインのシューベルトのソナタはルプーの抒情的な音楽性が作品の本質にピタリと溶け合い実に感動的だったし、アンコールで弾いたシューベルトの楽興の時の第3番、第6番などもまるで時間が止まるかのように一音一音が精妙に紡ぎ出された詩的な演奏だった。
あのリサイタルは忘れられない。
今秋の来日公演のお得意のシューベルト・プログラムでは最高傑作の一つ、ピアノ・ソナタ第21番が演奏される。
この曲のルプーのCD(94年録音)も聴いているが、ルプーとしてはもう一つ踏み込みが浅いというか表現が熟しきっていない憾みがある。
その録音から年月も経っているので、現在のルプーがこの曲をどう演奏するのか興味は尽きないし、同じくシューベルトの即興曲集D935、そしてドビュッシーの前奏曲集第2巻(ルプー未録音)が今回の来日公演で演奏されるのも実に楽しみだ。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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