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佐伯清監督の『昭和残侠伝 破れ傘』(72年)をDVDで観た感想。

シリーズ第9作にして最終作。
前作に引き続いて鶴田浩二が出演しており、北島三郎まで出ている。
見応えは充分だが、内容はかなり混沌としており、人物関係を整理しながら観るのが大変である。

二役を演じた星由里子がいい。
特に女郎役は星由里子に似た女優かと思った。
それだけイメージが変わっていたのである。
あと、敵役を演じた山本麟一が憎たらしいくらい良く、これでこそ敵役の鑑だ。
安藤昇もいい。

高倉健池部良はさすがの一言。
この作品が最終作になると気づいていたのか、たっぷり堪能させてくれる。
この作品の続編がもう観られないのは寂しい。
また第1作から観直すか・・・。

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澤野工房から発売されているジョルジュ・アルヴァニタス・クインテットの『SOUL JAZZ』(60年)というアルバム。

ジョルジュ・アルヴァニタス(p)、フランソワ・ジャヌー(ts)、ベルナール・ヴィテ(bugle)、ミシェル・ゴードリー(b)、ダニエル・ユメール(ds)

セッション・リーダーのジョルジュ・アルヴァニタスはフランスのピアニストだが、なんとメルヴィルの『仁義』(70年)のサウンドトラックの録音セッションにも参加していた。
『仁義』のテーマにおけるあのピアノはアルヴァニタスの音なのである。
90年代には日本でも録音を残しているが、2005年に74歳で亡くなった。

『仁義』のテーマ(作曲:エリック・ド・マルサン)


ドラムスのダニエル・ユメールはフランス・ジャズ界を代表する大物で、やはりメルヴィルの『仁義』(70年)のサントラの録音セッションに参加しているが、この人はフィル・ウッズ & ヨーロピアン・リズム・マシーンでの活躍も有名である。

アルバムは、ボビー・ティモンズの『This Here』から始まり、モンクの作品が2曲、バド・パウエルの作品が3曲、マックス・ローチの『Mister X』、オスカー・ペティフォードの『Bohemia After Dark』等々、“どこかで聴いたことのある”名曲が並ぶ。
演奏は典型的なハード・バップだが、ヨーロピアン・ジャズ独特のスリリングな切れ味と熱があり、このような色が好きな人にはたまらない魅力がある。
特に『Mister X』、『Bohemia After Dark』がいい。

Mister X


Bohemia After Dark


アルヴァニタスのピアノ・プレイはバド・パウエルの影響が顕著。
はっきりとは分からないが、この録音の時期はバド・パウエルがパリで活動していた時期とも重なるのではないだろうか。
パウエルの影響はその辺りにもあるのかもしれない。

ちなみに、ベルトラン・タヴェルニエ監督の映画『ラウンド・ミッドナイト』(86年)はパウエルのフランスでの活動のエピソードを基に作られたというのは有名な話。
ベルトラン・タヴェルニエはメルヴィルの『いぬ』(63年)の宣伝を担当するなどメルヴィルとは因縁浅からぬ人物であり、こういったフランス映画とジャズを巡る人間関係の繋がりも面白い。


アンソニー・マン監督の『夜のストレンジャー』(44年)を国内盤DVDで観た感想。

アンソニー・マン監督の初期の監督作で、55分ほどの中篇。
しかし、中篇とは思えないほど見ごたえのある作品である。

ヒッチコックの『レベッカ』に似たゴシック・ホラーっぽい雰囲気を感じたが、ホラー的な恐怖こそないものの、なんとも不気味というか恐ろしい映画だ。
なんといっても、老母役のアン・オニールの醸し出す狂気が凄い。
事実上の主人公は彼女で、他の登場人物はほとんどその存在感に喰われてしまっており、主人公の軍人など顔も思い出せない。
女医役のヴァージニア・グレイは華がある。

ちなみに、タイトルはシナトラの曲とは何の関連もない。

ルドルフ・マテ監督の『武装市街』(50年)を国内盤DVD(フィルム・ノワール ベスト・コレクション DVD-BOX Vol.3)で観た感想。

誘拐もののフィルム・ノワールであるが、かなり見ごたえのある秀作。
原題が『Union Station』という映画に登場する駅名であり、実際映画の舞台である駅が大きな役割を果たすこともあって、妙にリアルというかセミ・ドキュメンタリータッチの映画である。
やはりバリー・フィッツジェラルドが出演していた『裸の町』(48年。ジュールス・ダッシン監督)に近い感触のある映画だった。
ストーリーもなかなか一筋縄では行かないというか、ありがちな展開に簡単に陥らないのが良い。
なんというか、演出に粘りがあるのである。

主演はウィリアム・ホールデンナンシー・オルソンだが、この二人は同じ年(50年)にあの『サンセット大通り』でも共演している。
あと忘れてはならないのが警視役のバリー・フィッツジェラルドであり、この俳優の醸し出す独特の暖かい雰囲気がこういった作品では一服の清涼剤となっていると言ったら言い過ぎか。

DVDの画質も良かった。

フィリップ・ラブロ監督の『刑事キャレラ 10+1の追撃』(71年)を国内盤DVDで観た感想。

この映画についてはこのブログで7年前に簡単なレビューを書いているが、その時は確かレンタルVHSを観たと記憶している。
今回は以前買ったままほったらかしにしていた国内盤DVDをようやく観た。

前回のレビューでは前半がかったるいと書いているが、今回はそんなことは感じなかった。
謎の連続殺人事件を追うキャレラ刑事、というのがこの映画の基本的な図式だが、その殺人事件の真相が分かってくる過程が大変面白い。
原作はエド・マクベインだが、脚本もよく出来ているのだろう。
舞台となったニースというロケーションも良く、かなりの秀作だと思う。

監督のフィリップ・ラブロはメルヴィルの“精神的息子”と言われたほど深い結びつきのあった愛弟子の一人で、メルヴィルの“最後の晩餐”も共にしている。
今でもメルヴィル関連のドキュメンタリーにはほとんど顔を出す、生前のメルヴィルを知る重要人物の一人である。
この作品の監督当時はまだメルヴィル健在であり、折につけアドバイスをもらっていたらしい。
(フィリップ・ラブロについては以前のこちらの記事を参照)

それにしても、驚くほど豪華なキャスティングの映画だ。
主人公刑事キャレラ役のジャン=ルイ・トランティニャンはもちろん、ドミニク・サンダラウラ・アントネッリカルラ・グラヴィーナと揃ったイタリア女優たちに交じって、ステファーヌ・オードランまで出ているのである。

ステファーヌ・オードランといえば、ジャン=ルイ・トランティニャンと結婚していた時期が50年代に短期間ながらあり、この映画の頃はクロード・シャブロルと結婚していたはず。
日本では元ダンナの主演映画に出るというのはなかなか考えづらいが、あちらの人たちは平気なのだろうか。
しかも、この映画ではどういう訳か胸元がガランと開いたセクシーな格好で出ているのが不思議である。

不思議といえば、映画の前半でドミニク・サンダのヌードシーンが何の脈絡もなく映るのもかなり不思議であった。(ラウラ・アントネッリならともかく笑)
日本の女優ならば必然性がどうのと騒ぎそうなところであるが、あちらのスター女優たちは裸になる必然性など考えないのだろうか。
まぁ、ドミニク・サンダは他の映画でも数多くヌードを披露しているし、そのあたりの度胸が極東の国の女性たちとは根本的に違うのだろう。(もちろん私は極東の国の奥床しい女優たちも大好きだ)

ただ、豪華女優共演の割にはそれぞれが絡むシーンが無く、ドミニク・サンダ以外は出演シーンも少なめなのが残念といえば残念。
この中では出演シーンは短めながら個人的にラウラ・アントネッリが良かったが、つい期待してしまったお色気シーンは残念ながら皆無であった・・・。

フィリップ・ラブロ監督はこの後(73年)、ジャン=ポール・ベルモンド主演の傑作『相続人』を撮ることになるわけだが、これも是非とも国内DVD化して欲しいものである。

またもやブロードウェイから驚愕のDVD-BOXが発売される。
バッド・ベティカー傑作選 DVD-BOX』である。

内容は
●『消えた陪審員』(44年)
●『霧の中の逃走』(45年)
●『閉ざされた扉の陰』(48年)
の3作で、発売日は5月2日

バッド・ベティカーは1916年生まれで1917年生まれのメルヴィルとほぼ同年代の映画監督になる。
日本では西部劇の監督と見なされることが多いようだが、フィルム・ノワールもかなり撮っている。
しかし、日本ではDVD化はもちろん、紹介されることもほとんどなかった。
それが3作一挙にDVD化されるのは慶賀の至りである。

バッド・ベティカーのフィルム・ノワールに関しては映画の國にアップされている吉田広明氏のコラムが詳しい。
http://www.eiganokuni.com/yoshida/26-1.html

まだAmazonではアナウンスされていないが、続報が分かり次第紹介したいと思う。

続報)Amazonにも出ました。
前回、アルバム『Canary』が発売された年、83年の状況についていろいろ書いた。
そして、このアルバムが私の聖子さんの中で一番のフェイバリット・アルバムであることも。

83年12月10日、『Canary』は聖子さんの人気絶頂期に発売された。
当然のようにチャート1位、セールスもLPカセット込みで60万枚以上を売り上げた。
ほぼ同時期にベスト盤『Seiko・plaza』が50万枚以上を売り上げていることを考えれば、いかにこの頃の聖子さんの人気が凄かったかが分かる。

ところで、この『Canary』、一言で言うとかなり大人っぽいアルバムである。
現在アルバム単体として聴いてもそう感じるが、発売当時、アルバム『Pineapple』、『Candy』、『ユートピア』とリアルタイムで聴き進んでいただけに尚更そう感じたものだ。
なにより、グレーの背景をバックに、真っ直ぐ前を見据えたあのジャケットの表情はかなり鮮烈な印象を与えた。
ただ、アルバム発売前のシングルが『ガラスの林檎SWEET MEMORIES』、『瞳はダイアモンド蒼いフォトグラフ』と比較的しっとりした曲が続いていただけに、この変化は子供心にも予想できないでもなかった。

Canary』には、当時から賛否両論というか、様々な評価があったことは確かである。
ネットのない時代なのでラジオや雑誌、口コミが主な情報源だったが、いわく『地味』、『暗い』、『元気な曲が少ない』、『フレンチポップ風』、『ジャジー』・・・どちらかといえばネガティブな評価が多かったように記憶している(最近ネットで得た情報も若干混じっているかもしれない)。
もちろん、アイドル離れしたクオリティの高さを評価する声もあった。

上に述べたような評価の声は決して間違っていない。
どれもアルバムのある一面を表しているのは確かだ。
そしてむしろ、その色合いこそがこのアルバムの魅力ではないかと思うのである。

このアルバムは空気感というか雰囲気がなんとも素晴らしい
これは言葉ではとても説明できない。
もちろん、この雰囲気を決定付ける鍵となるような曲が何曲か、ある。
例えば『Misty』、『Wing』、『Party’s Queen』、『Silvery Moonlight』といった、ほとんどバラードに近いメディアムテンポの楽曲がそれだ。

発売当時、私は『Wing』が特に好きだったのだが、最近聴き直してみて、『Misty』と『Silvery Moonlight』の妖しげで色っぽい魅力に改めてハマってしまった。
聖子さんの歌唱も素晴らしいとしか言いようがない。
こういった楽曲を弱冠21歳の聖子さんが見事に歌いこなしているのは全く驚くほかない。
本当に、今だからこそ凄さが分かるのである。(当時はここまで凄いとは分からなかった)

不思議なことだが、『BITTER SWEET LOLLIPOPS』、『Private School』、『LET'S BOYHUNT』などのような比較的ポップな楽曲ですらこのアルバムの独特の雰囲気を決して壊していない。
そして、これらの楽曲における聖子さんのスイートな声と歌いっぷり、これがまた堪らなく魅力的なのである。

発売当時、『ガラスの林檎SWEET MEMORIES』両曲がアルバムに収録されなかったことに正直なところ不満がなかったわけではない。(この2曲はベスト盤『Seiko・plaza』に収録)
しかし、アルバムを何回か通して聴いた時、その二つの名曲の不在を特に不満に感じない自分がいた。
アルバム『Canary』の完成度はそれほど高かったのである。

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テンプレ作った人:おみそ
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趣味:
フランス映画、ジャズ
自己紹介:
フランスの映画監督ジャン=ピエール・メルヴィル監督作品のファンサイト附属のブログです。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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