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HPでもたびたびお知らせしているアラン・コルノー監督の『マルセイユの決着(おとしまえ)』のロードショーが渋谷Nシアターにて12月20日から始まりました。
公式サイト
渋谷Nシアターの関連ページ

言うまでもなく、この作品はメルヴィル監督の『ギャング』(66年)のリメイク版です。
キャストもダニエル・オートゥイユモニカ・ベルッチミシェル・ブランジャック・デュトロンエリック・カントナニコラ・デュボシェル…といった豪華なメンツが揃っています。

公式サイトもなかなか読み応えがありますので、是非チェックしてみて下さい。
個人的には、「Special」のページの「Essay」に河原畑寧氏の『フィルム・ノワールの帰還』という文章が掲載されているのが嬉しいところです。

ところで、私は現在東京を離れておりますので、まだ観に行っておりません。
今年中に観に行けるかどうか微妙な情勢です。
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ジャン・ルノワール監督の『黄金の馬車』をレンタルビデオで観た感想です。

Le Carrosse D'or』(53年)
a8818e49.jpeg監督:ジャン・ルノワール
原作:プロスペル・メリメ 
脚本:ジャン・ルノワール、ジャック・カークランド、レンツォ・アヴァンツォ、ジュリオ・マッキ、ジネット・ドワネル
撮影:ロドルフォ・ロンバルディ、クロード・ルノワール
音楽: アントニオ・ヴィヴァルディ、アルカンジェロ・ユレッリ、オリヴィエ・メトラ
出演:アンナ・マニャーニ、オドアルド・スパダーロ、ポール・キャンベル、ダンカン・ラモント、ラルフ・トルーマン

初見。
18世紀のスペイン統治下のペルーを舞台にした作品。
コスチュームものは苦手な人も多いのではないか。
かくいう私も、この作品を「コスチュームものか…」とずっと食わず嫌いしていたのだが、今となってはその偏見が悲しい。
内容は素晴らしく面白く、ルノワールに関心があるならば、これは食わず嫌いしてはいけない作品だと思う。
これほど映画を観ている間中、(観る側の)幸福感が持続する作品も珍しい。

とりわけ、アンナ・マニャーニの存在感が圧倒的。
体はそれほど大きくない人だと思うのだが、なんというか存在感で非常に大きな人に見えてしまう。
マジックである。
彼女を争う3人の男たちはどこかしら顔が似ているのが困るが、ストーリー的に、それが活かされている場面もあるのでしょうがないのかもしれない。
私の耳にいつもはつまらなく聞こえるヴィヴァルディの音楽が、この映画では魅力的に響く。
カラー映像も美しく、是非DVDで観たい作品だ。

ジョーゼフ・H・ルイス監督の『ビッグ・コンボ』を国内盤DVDで観た感想です。

53e0e33c.jpegThe Big Combo』(54)
監督:ジョーゼフ・H・ルイス
脚本:フィリップ・ヨーダン
撮影:ジョン・オルトン
出演:コーネル・ワイルド、リチャード・コンティ、ジーン・ウォレス、ブライアン・ドンレヴィ

紀伊国屋書店から発売されているDVDボックス『フィルム・ノワール傑作選』に収録されている作品の一つで、今回が二度目の鑑賞。
日本公開時の題名は『暴力団』といったらしいですが、日本語のこの言葉のイメージとは映画の内容はかなりニュアンスが異なる感じですので、現況のDVDのタイトルでよいのではないかと思います。

ジョーゼフ・H・ルイス監督の作品では日本では『拳銃魔』(50)の方が有名かもしれませんが、個人的には『ビッグ・コンボ』の方が好きです。
なんといっても、“照明の魔術師”と言われたジョン・オルトンの撮影が凄い。
光と影の対照を活かしたその映像は、美学的といってよいほど徹底されており、ストーリー云々よりも、その映像で映画のトーンが見事に形作られている印象です。

また、補聴器を使った拷問や、あえて補聴器を外して音を消した銃殺シーン、また、金と見せかけてダイナマイトが入っているシーンの演出など、カルトチックな見せ場に事欠かない作品です。
ラストの光景も素晴らしく印象的。

キャストでは、ギャング役のリチャード・コンティが存在感といい、演技といい、完全に刑事役のコーネル・ワイルドを喰っちゃっているように思われました。
セリフの言い方もいかにもそれらしく印象的。
ギャング組織のナンバー2を演じるブライアン・ドンレヴィは、先日観たフリッツ・ラング監督の『死刑執行人もまた死す』で主役の暗殺者役を演じていましたが、ここではかなり影の薄い役廻りとなっています。

ところで、コーネル・ワイルドはこの作品以前、あのヴィヴィアン・リーと結婚していた人なんですね。
この作品のヒロイン、ジーン・ウォレスとは当時、夫婦だったとのことです。(実際、この作品のジーン・ウォレスは魅力的です)
コーネル・ワイルドの顔を、誰かに似ているなぁと思ってこの作品を観ていたのですが、セルジュ・レジアニでした。

ジャン・ルノワール監督の『ピクニック』を国内盤DVDで観た感想です。

194e4d3b.jpegUne Partie de Campagne』(36年 完成は46年)
監督:ジャン・ルノワール
脚本:ジャン・ルノワール、ギイ・ド・モーパッサン 
撮影:クロード・ルノワール 
音楽:ジョセフ・コズマ 
出演:シルヴィア・バタイユ、ジョルジュ・ダルヌー、ジャヌ・マルカン、ジャック・ボレル、ガブリエル・フォンタン

 
紀伊国屋から出ているDVDを所有しているが、これで2回目の鑑賞。
DVDの画質はとても良い。

助監督に、ジャック・ベッケルルキノ・ヴィスコンティイヴ・アレグレアンリ・カルティエ=ブレッソンという、嘘じゃないかという凄い面々。
様々な事情が絡んだ結果、途中で撮影が中止となってしまった作品だが、戦後プロデューサーのピエール・ブロンベルジェの尽力によって完成した。(ピエール・ブロンベルジェはメルヴィルの『海の沈黙』のプロデューサーでもありました)
僅か39分の映画となってしまった作品なのだが、その見応え、満足感は2時間ものの傑作映画に勝るとも劣らない!

自然、森、川、水、雨、そして性と、ルノワール映画のエッセンスが、奇跡的にブレンドされており、この映画の官能性は、どんなエロビデオよりもエロいんじゃないか、と思う。
DVDには撮影風景が本編以上の長時間収録されているが、それらもなんとも貴重な映像である。
とりわけ、本編以上に濃厚なキスシーンを撮っていたことに驚かされる。
ブランコに乗るシルヴィア・バタイユを正面から捉えたカットの素晴らしさには言葉もない。
ジョゼフ・コスマの音楽も素晴らしく、どこかヴェルディやプッチーニ、マスカーニなどの最上のイタリアオペラを彷彿とさせる。

気になる点は、男優陣のキャラ、風貌にことごとく魅力がない点だが(カフェの主人役のルノワール本人除く)、シルヴィア・バタイユ一人の魅力が全て帳消しにする。
雨のシーンが凄い!

エドゥアール・モリナロ監督の『殺られる』(やられる)を国内盤DVDで観た感想です。

8d60920a.jpegDES FEMMES DISPARAISSENT』(59年)
監督:エドゥアール・モリナロ
原作:G・モリス・デュムラン
脚本:G・モリス・デュムラン
撮影:ロベール・ジュイヤール
音楽:アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズ
出演:ロベール・オッセン、フィリップ・クレイ、マガリ・ノエル、エステラ・ブラン、ジャヌ・マルカン
 
この作品を観るのは今回で3回目ぐらいなのですが、何度観ても緊迫感のあるすごい映画だと思います。
若い女性(処女)を騙して売りつけようとする、人身売買をテーマとしながらも、カノジョを救おうとする男とギャングたちの息詰まる争いがなんとも面白く描かれている。
その内容も、深夜を舞台にしたいかにも暗めの映像も、モロ暗黒映画って感じなのですが、その出口の見えないようなドス暗さがある意味なんとも言えない魅力。

33a07e2a.jpegとりわけ殺し屋を演じるフィリップ・クレイの容姿と凄みに圧倒されます。
顔の長い、いわゆる馬ヅラの俳優ですが、ガムを噛んでニタニタ笑いながら、相手を攻める、あのしつこさ、ねちっこさ!
それでいて、どこかユーモアと余裕があるんですよね。
他の映画ではほとんど見かけたことのない俳優ですが、実に魅力的な悪役です。

主人公ピエール役のロベール・オッセンは、役柄のイメージにピッタリで演技も良かった。
その恋人役ベアトリスを演じたエステラ・ブランは、容姿も演技もなかなか魅力的ですが、あのジェラール・ブランの元妻で、後に自殺してしまったとのことです。
先日このブログで取り上げた『筋金を入れろ』にも出演していたマガリ・ノエルが、ギャングの妻役として登場、重要な役柄を演じています。
また、マガリ・ノエルの夫役や、ギャング集団のリーダーなど、ギャング役にいかにもそれらしいキャラが揃っています。

それと、この作品は、当時フランスでも絶大な人気を誇ったアート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズが音楽を担当していることでも有名な作品。
彼らの音楽はオープニングクレジット以外は、ほんのさわり程度しかかからないのが残念なのですが、ブレイキーのドラムだけでサスペンス感を盛り上げるところなどはさすが。
ちなみにメンバーも、リー・モーガンベニー・ゴルソンボビー・ティモンズジミー・メリットという全盛期のメンバーが揃っています。

また、『仁義』でアラン・ドロンに宝石店強盗を持ちかける看守を演じていたピエール・コレがフィリップ・クレイの仲間のギャング役で出演しています。

現在は廃盤となった国内盤DVD(IVC)で観ましたが、VHSの写しみたいな映像で、画質は良くないです。
是非、別のところからでも出し直して欲しいもの。

フリッツ・ラング監督の『死刑執行人もまた死す』を国内盤DVDで観た感想です。

image164.gifHangmen also die』(43年)
監督:フリッツ・ラング
製作:フリッツ・ラング
脚本:フリッツ・ラング、ベルトルト・ブレヒト、ジョン・ウェクスリー
音楽:ハンス・アイスラー
撮影:ジェームズ・ウォン・ハウ
出演:ブライアン・ドンレヴィ、ウォレター・ブレナン、アンナ・リー、デニス・オキーフ

私が観たのは134分のいわゆる完全版。
多少長く感じないこともなく、120分の短縮版でも良かったかもしれません。

映画のタイトルから想像するに、肝心の暗殺シーンまでにいろいろなサスペンスが用意されていると思いきや、むしろ暗殺から始まるプラハ市民の受難が大きく取り上げられた映画であったとは意外でした。
内容は分かりにくいということはないけれど、少々重苦しい。
テーマがテーマだけに仕方ないのでしょうが。
個人的には、もう少しストーリーの流れにスピーディーさがあると良かったかもしれません。
映画的なサスペンス感ももう一つ物足りなさを感じましたが、後半の展開があまりに出来すぎで、そのへんに納得がいかないのかも。
世間的な評価は高い映画のようですが、どうも私とは相性が悪かったようです。

主演のブライアン・ドンレヴィは、ハッキリ言って、主人公としては少々魅力薄な感が拭えませんでした。
むしろ、出番は少ないものの、ノヴォトニー教授を演じたウォレター・ブレナンの方が印象深かったですね。
ヒロインのアンナ・リーはこの作品では容姿の魅力も今一つで、脚本のせいもあってか、役柄の心理的変化がもう一つ伝わってこないきらいがあります。

国内盤DVDの画質はこのメーカー、この時代のものとしてはまずまず。

ジュリアン・デュヴィヴィエ監督の『自殺への契約書』をレンタルビデオで観た感想です。

de968d94.jpegMARIE OCTOBRE』(58年)
監督:ジュリアン・デュヴィヴィエ
原作:ジャック・ロベール
脚本:ジャック・ロベール、ジュリアン・デュヴィヴィエ
撮影:ロベール・ルフェーヴル
音楽:ジャン・ヤトヴ
出演:ダニエル・ダリュー、ポール・ムーリス、リノ・ヴァンチュラ、セルジュ・レジアニ、ベルナール・ブリエ、ポール・フランクール、ポール・ゲール、ダニエル・イヴェルネル、ノエル・ロックヴェール、ジャンヌ・フュジェ・ジル

 
この作品は今回で2度目の鑑賞。
国内盤DVDはいまだに出ておりませんので、レンタルビデオをDVDにダビングしたものを私は観ております。
この作品、個人的にデュヴィヴィエ監督の大傑作だと思っています。
是非とも国内DVD化を期待したい作品の一つ。

簡単なストーリーは…
第二次大戦中のレジスタンスの同志たち10人が15年ぶりに元アジトであった屋敷に集められる。
15年前にその場所で組織のリーダーがドイツ兵に殺されたのだが、実はこの10人の中にリーダーを売った裏切り者がいるというのだ…。

室内劇であり、容疑者が二転三転する様がなんとも印象的な、緊迫感溢れるミステリー劇。
作品より前に、アメリカでは室内劇として有名な『十二人の怒れる男』(57年、シドニー・ルメット監督)が作られており、その影響も全く無いとは言えないでしょうが、あれよりもこちらの方がずっと良いと思っています。(実はヘンリー・フォンダ苦手なもので…)
この作品は、忘れ去られた作品というよりは、世間的にはほとんど存在すら知られていないようで、少々残念です。

image163.gifキャストもよくぞこれだけ集めたと言いたくなる豪華さ。
中でも、ポール・ムーリッスのスマートさ、すぐ熱くなるリノ・ヴァンチュラ、狂言廻し的存在のポール・フランクールセルジュ・レジアニの小心ぶりも印象的ですが、なんといっても、紅一点ダニエル・ダリューのクールな演技が最高。
他の俳優も含め、それぞれの俳優に見せ場がありますので、内容は誰が特に主演という感じの映画でもありませんが、原題の『MARIE OCTOBRE』はダニエル・ダリューの役名ですし、オープニング・クレジットでも一番最初に名前が出るのはダニエル・ダリューなので、事実上彼女が主演なのでしょう。
実は彼女の出演作はこれまであまり見ていませんが、この作品の彼女の美しさには目を見張りました。

ところで、レジスタンスといえば、メルヴィル・ファンとしては、やはりメルヴィル監督の『影の軍隊』(69)を思い起こしますが、『影の軍隊』に出演していたリノ・ヴァンチュラ、ポール・ムーリッス、セルジュ・レジアニがこの作品に出演しています。
これらの俳優には、不思議と“それらしい匂い”がするので、当然のことながら、この作品も何の違和感もなく観ることができました。

あと、ポール・フランクールがテレビでプロレス中継を観ているシーンがいくつかありますが、元プロレス・ファンの一人として、この当時(59年)からヨーロッパにおいても、いかにクラシックなプロレスが展開されていたかがよく分かり興味深いところでした。

ジャン・ヤトヴによる音楽は、オープニングクレジット以外は効果音程度でそれも一部しか流れませんが、それがまたサスペンスを盛り上げています。
効果的なズームなど、カメラの動きも印象的な作品で、サスペンス感を盛り上げるのに大変有効的でした。

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マサヤ
性別:
男性
趣味:
フランス映画、ジャズ
自己紹介:
フランスの映画監督ジャン=ピエール・メルヴィル監督作品のファンサイト附属のブログです。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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