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エリア・カザン監督の『影なき殺人』を国内盤DVD(ジュネス企画)で観た感想です。
『BOOMERANG』(47年)
監督:エリア・カザン
脚本:リチャード・マーフィ
撮影:ノーバート・ブロダイン
音楽:デヴィッド・バトルフ
出演:ダナ・アンドリュース、リー・J・コッブ、ジェーン・ワイアット、アーサー・ケネディ、サム・レヴェン、ロバート・キース、テイラー・ホームズ、エド・ベグリー、カール・マルデン、カーラ・ウィリアムズ、バリー・ケリー
実話を元にしたというセミ・ドキュメンタリー・タッチのサスペンス映画で、製作年代を反映してか、フィルム・ノワール色も感じられる作品。
作品自体、内容も大変面白く、テンポもいい。
ユーモアにも富んでいます。
傑作とか名作とかいった風格には乏しいかもしれませんが、これはなかなかの良作ではないでしょうか。
とりわけ、映画後半で検事が目撃者たちの数々の証言を覆してゆく展開は見事でした。
キャストも一見地味ながら、この時代のアメリカ映画をよく観ている人なら、知る顔知る顔のオンパレードではないかと思われます。
悪役のイメージが非常に強いリー・J・コッブが良い人の役を演じている映画を観たのはこれが初めてかもしれません。
もちろん、検事役のダナ・アンドリュースも素晴らしかったです。
ポール役の俳優は、最後のフィルム・ノワールとも言われているロバート・ワイズ監督の『拳銃の報酬』(59)にも出演しているエド・ベグリー。
記者役を演じているヒゲの俳優はロバート・シオドマク監督の『殺人者』(46)で刑事役を演じていたサム・レヴェンでした。
カザン作品の常連、カール・マルデンも刑事役で出演しています。
以前別サイトにて書いたフランソワ・トリュフォー監督作品のレビューの転載です。(一部手直しあり)
今回は『柔らかい肌』。
『LA PEAU DOUCE』 (64年)
監督:フランソワ・トリュフォー
脚本:フランソワ・トリュフォー、ジャン=ルイ・リシャール
撮影:ラウル・クタール
音楽:ジュルジュ・ドルリュー
出演:ジャン・ドサイ(ピエール・ラシュネー)、フランソワーズ・ドルレアック(ニコル・シュメット)、ネリー・ベネデッティ(フランカ)
118分、モノクロ
文芸評論家の中年男性と、若いスチュワーデスの不倫模様を描いた作品。
男女の、恋愛に至るまでの微妙な心理の変化と、繊細な恋愛心理を巧みに描き出したサスペンスチックな恋愛劇であり、その繊細な心理描写がいかにもトリュフォーらしい。
中でも、エレベーターの中で2人が互いを認め合うシーンが印象的。
映像の細かいカット割りが、両者の心理状態を丁寧に写し出していて見事です。
ヒロインのニコルを演じるフランソワーズ・ドルレアックは、ご存知のようにカトリーヌ・ドヌーヴの実の姉で、後に交通事故で早逝してしまったため、トリュフォー作品への出演はこれだけになったのが大変に惜しい。
主演作品の代表作としては、この作品とジャック・ドゥミ監督の『ロシュフォールの恋人たち』が挙げられるのではないかと思われます。
この映画では、ミステリアスな存在感がとても魅力的で、特にバーで明るく踊るシーンが個人的には好きです。
メルヴィルの『いぬ』や『リスボン特急』にも出演している名優ジャン・ドサイ演じる文芸評論家ピエール・ラシュネーは、中年男性という設定であり、また役柄の性格も優柔不断で、あまり魅力的な役柄とは言い難いのは事実です。
感情をほとんど表に出さないこともあり、観ていて今一つ感情移入しにくいきらいもありますが、それに関してはトリュフォー自身の指示によるものだったとのことで、これはこれでしょうがないのかもしれません。
むしろ、ジャン・ドサイの持ち味と存在感によって、映画全体に落ち着いた雰囲気がもたらされたことを可とすべきなのではないかと思われます。
実際の撮影では、トリュフォーとドサイの関係はあまり良くなかったらしいのですが…。
あと、なんといってもラウル・クタールによるモノクロの映像の美しさは特筆モノの素晴らしさですし、ヒッチコックの演出を彷彿とさせる、後半の写真のくだりからラストにかけての緊迫感も素晴らしい。
あと、奥さんがコワイ…(笑)。
以前別サイトにて書いたフランソワ・トリュフォー監督作品のレビューの転載です。(一部手直しあり)
今回は『二十歳の恋/アントワーヌとコレット』。
『L’AMOUR A VINGT ANS/ANTOINE ET COLETTE』
(62年)
監督:フランソワ・トリュフォー
脚本:フランソワ・トリュフォー
撮影:ラウル・クタール
音楽:ジュルジュ・ドルリュー
出演:ジャン=ピエール・レオー(アントワーヌ・ドワネル)、マリー=フランス・ピジェ(コレット)
31分、モノクロ
国際オムニバス映画『二十歳の恋』の中のフランス篇をトリュフォーが担当したこの映画。
『大人は判ってくれない』に続く、アントワーヌ・ドワネルを主役とした第2作に当たる作品であり、17歳の時のアントワーヌ・ドワネル、その初恋の様子を映し出した作品です。
トリュフォー自身かなり楽しんで作った作品らしく、後のインタビューで、「作った映画の中で本当に気に入っているのはこれだけ」と言うほど気に入っていた作品とのこと。
この映画で、アントワーヌは一応は独り立ちしていますが、すでに後の“ダメ男”ぶりが現れてきており(笑)、演奏会で知り合った、美しいコレットに不器用なまでに一方的に入れ揚げ、コレットの家の向かいに引越しまでする様子が可笑しく、また悲しい。
その積極性は大いに見上げたものですが、当の相手より、相手の両親に気に入られるという点が実に彼らしいと言えましょうか・・・。
これは30分ほどの小品ですが、マリー=フランス・ピジェ演じるコレットは後の『逃げ去る恋』(78)でも重要な役どころを演じており、“ドワネルもの”を理解する上では絶対に見逃すことのできない作品。
ジョルジュ・ドルリュー作曲のワルツ風のテーマ音楽の素晴らしさも忘れてはならず、ラストのシャンソン風の歌(グザヴィエ・デプラスによる)もウットリするような美しさ。
ジャズを分かりやすく解説し、初心者をその世界に導くというよりは、レコード会社や評論家など、ジャズの周囲の事柄に対する不平不満を延々と書き連ねている印象が強い本。
“入門”というわりには、ハッキリ言って、初心者には向かない本である。
だからこそ“超”なのかもしれないが。
ただ、個人的には、だからこそ面白かったともいえる。
ある意味、ジャズファンの日頃抱いている不満を代弁してくれている本だからだ。
第一、初心者向けのジャズCD紹介本など、もう掃いて捨てるほどあるから、それと変わらない内容なら、この本の存在意義などないだろう。
この著者の本は何種類も出ている『マイルスを聴け!』がなかなか面白いのだが(私が持っているのは随分前に出たヴァーションのもの)、『エヴァンスを聴け!』、『ディランを聴け!!』もなかなか面白い。
なかなか選り好みの激しい人なのだが、読み物としてはそれくらいの方が面白い。
特に、楽曲ごとの解説が読める『ディランを聴け!!』は良かった。
以前別サイトにて書いたフランソワ・トリュフォー監督作品のレビューの転載です。(一部手直しあり)
今回は『突然炎のごとく』。
『JULES ET JIM』 (61年)
監督:フランソワ・トリュフォー
脚本:フランソワ・トリュフォー、ジャングリュオー
撮影:ラウル・クタール
音楽:ジュルジュ・ドルリュー
出演:ジャンヌ・モロー(カトリーヌ)、オスカー・ウェルナー(ジュール)、アンリ・セール(ジム)、マリー・デュボワ(テレーズ)107分、モノクロ
原作となったアンリ=ピエール・ロシェの小説を映画化したもので、恋と友情、三角関係の微妙な心理を巧みに描き出して、初期の作品では『大人は判ってくれない』と並んで、トリュフォーの代表作にもたとえられる傑作。
それと同時に、男性を虜にする“魔性”を感じさせる魅力的なヒロイン・カトリーヌを演じるジャンヌ・モローが素晴らしい。
カトリーヌは、冷静に考えればとんでもない女性なのですが、なんだかんだいっても男が(勝手に)描く理想の女性像を体現しているような女性なのです。
ジャンヌ・モローといえば、いつも不機嫌そうな口元が印象的ですが、この映画では、彼女の屈託のない笑顔が印象的で、とても美しい。
彼女が『つむじ風』を歌うシーンが耳に残って離れません。
彼女を巡るオスカー・ウェルナーとアンリ・セールのコンビぶりが、現代性と時代性のバランスが良く、この映画の成功の大きな要素でしょう。
また、セット、衣装など第一次大戦前後の時代背景を巧みに表現した視覚的要素もこの映画の魅力として無視できません。
このブログではこれまでメルヴィル作品のサントラ以外、音楽についてはほとんど取り上げてきませんでしたが、今後はジャズについていろいろ書いていこうかと考えています。
このブログを立ち上げた当初は、ジャン=ピエール・メルヴィル監督の映画に関することを中心としたブログでありたいと考えていましたが、正直なところ、監督が故人であることもあってネタが少な過ぎますし、私個人もメルヴィルの映画だけに関心があるわけではないので(もちろん一番関心が強いのはメルヴィルの映画ですが)、このブログでは、他のフランス映画など、自分の好きな映画についてもいろいろと書き散らしていますが、実は映画と同じくらい関心があるのがジャズなのです。
ご存知のように、フランス映画、とりわけヌーヴェル・ヴァーグとジャズは浅からぬ因縁がありますし、ジャン=ピエール・メルヴィル監督自身、大変なジャズのレコードのコレクターだったということで、その映画にも度々ジャズは使われています。
したがって、これまで取り上げてきたブログのテーマと全く関係のないテーマでもないと思うのです。
まぁ、こじつけと言われても仕方ないですが、所詮ブログなんて自己満足の世界ですから、何を書いてもいいんじゃないかと思ったりもするわけです。
もともと私は映画ファンである以前に大の音楽ファンであったのですが、これまではあまりジャンルにこだわらずに音楽を聴いてきました。
もともとが中学時代にYMOやニューミュージック、ビートルズなどにハマッたのが音楽に強い関心を持った最初ですが、高校時代はハードロックやストーンズ、大学時代はほとんどクラシック、就職してからは60~70年代のロックなどを中心に聴いてきました。
フランソワーズ・アルディからフレンチ・ポップスやシャンソンに被れた時期もありましたが、ここ数年はもっぱらジャズ、もうほとんどジャズしか聴かなくなってしまいました。
そのせいで、どういうわけか、あれほどよく聴いていたロックも全く耳にしなくなってしまいました。
ジャズもかれこれ20数年前から聴いており、確かにこの10年ほどはジャズを中心に聴いてはいたのですが、ジャズしか聴かなくなった時期というのは現在が初めてかもしれません。
高校時代ブラバンでトランペットを吹いていた関係で、今もトランペットの音が好きですが、現在はジャズ関係の楽器ができるわけでもありませんし、ライヴにもほとんど行きません。
オーディオにも全く凝っていませんので、普段聴いているCDの再生装置も大した物ではありません。
レコード(CD)のコレクションめいたこともしておりませんし、誰も知らないようなマイナーなミュージシャンを自分で発掘しようという気もありません。
いまだに聴いているのは有名ミュージシャンがほとんどです。
よって、世間で言うところの、いわゆるマニア的な聴き方はほとんどしていません。
これらは金銭的なことが大きな原因でもありますが…。
夜、ネットをしながらパソコンのWMPでジャズを聴くのが唯一の(?)リラックスタイムですが、ホーン奏者の入っているCDを聴いていると、家人から『うるさいからラッパはやめて』と言われてしまう生活です…。(サックスのこともラッパと言われています…)
それはともかく、ジャズと一言で言いましても、中にはいろんなジャンル、いろいろなミュージシャンがおり、なかなか広大で深い世界でもあります。
これまで、どういったミュージシャンが好きだったかといいますと、聴き始め当初はビリー・ホリデイやフランク・シナトラなどのジャズ・ヴォーカル、アート・ペッパーやソニー・ロリンズが好きでした。
それから、ウエスト・コースト・ジャズが好きになりましたが、それ以後はバド・パウエル、チャールズ・ミンガス、オーネット・コールマンが好きだった時期もあります。
もちろん、ビル・エヴァンスはずっと好きなピアニストですし、マイルス・デイヴィスは今でも聴いていて飽きないですね。
ジョン・コルトレーンも基本的には好きですが、最近はほとんど聴きません。
セロニアス・モンクは昔も今も苦手な方です。
レーベルではやはりブルーノートに凝っていた時期もあります。
現在好きなミュージシャンは、まずMJQ(モダン・ジャズ・カルテット)でしょうか。
あと、リー・モーガン、ケニー・ドーハム、ハンク・モブレーあたりが昔から好きなミュージシャンです。
ミュージシャンを好きになる要素としては、まずその人の出す音が好きか否かですね。
楽器で一番聴くのが好きなのはベースとドラムなんですが。
あと、ヴィブラフォンも好きなので、ヴィブラフォンが入っているCDだと思わず欲しくなってしまいます。
オルガンも好きですね。
ここ1~2年は50~60年代のヨーロピアン・ジャズに凝っていろいろ聴いてきましたが、最近またブルーノートに戻ってきました。
ブルーノートは、凝り出すと他のレーベルの音楽は寄せ付けなくなるという不思議な習性があります。
ブルーノートといえば、最近になって、ようやくジャッキー・マクリーンやジョー・ヘンダーソン、ウェイン・ショーターの良さが分かりかけてきました。
まだまだ旅の途中のようです。
音楽の好き好きにも波があり、結構飽きっぽいので(笑)、このジャズ好きもいつまで続くか分かりませんが、とりあえず適当に、そして気楽に、好きなジャズについてポツポツと書いていこうと思います。
以前別サイトにて書いたフランソワ・トリュフォー監督作品のレビューの転載です。(一部手直しあり)
今回は『ピアニストを撃て』。
『TIREZ SUR LE PIANISTE』 (60年)
監督:フランソワ・トリュフォー
脚本:フランソワ・トリュフォー、マルセル・ムーシー
撮影:ラウル・クタール
音楽:ジュルジュ・ドルリュー
出演:シャルル・アズナブール(シャルリ・コレール)、マリー・デュボワ(レナ)、ニコル・ベルジェ(テレサ)
84分、モノクロ
『大人は判ってくれない』に続く長編第2作に当たる作品。
フィルム・ノワールを思わせるサスペンスタッチの恋愛劇です。
しかし、サスペンスとはいってもヒッチコック作品のようなテンションの高さはなく、適度な“ユルさ”加減がいかにもトリュフォーらしい。
ピアニストを追うギャングもかなりユーモラスというか、けっこうマヌケに描かれています。
でも、その具合が面白く、この映画の不思議な魅力の一つです。
キャストでは、なんといっても魅力的なのが、ヒロイン役のマリー・デュボワ。
クールというよりは温かみのある親近感を感じさせる女優で、この作品では柔らかい笑顔がとてもいい。
また、シャルリの元妻役のニコル・ベルジェも魅力では負けていません。
こういった魅力的な女優の人選にトリュフォーらしいセンスが表れていると思います。
事実、後にメルヴィルの『フェルショー家の長男』(62)にヒロイン役で出演しているミシェール・メルシエのヌードがこの映画の途中に登場しますが、これは「トリュフォーが私のために撮ってくれた」(メルヴィル談)とのこと。
臆病なピアニスト・シャルリを演じる、主演のシャルル・アズナブールはちょっとオッサンぽい容姿が損してますが、そこはかとないユーモアを感じさせる味のある演技です。
雪の山荘で繰り広げられるラストシーンがなんとも美しい。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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