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ジョゼ・ジョヴァンニ監督の『ル・ジタン』を国内盤DVD(ジュネオン・ユニバーサル)で観た感想。
『LE GITAN』(75年)
監督・原作・脚本:ジョゼ・ジョヴァンニ
撮影:ジャン=ジャック・タルベ
音楽:クロード・ボラン
出演:アラン・ドロン、ポール・ムーリス、アニー・ジラルド、マルセル・ボズフィ、レナート・サルヴァトーリ
再見。
ヨーロッパでいまだ残るジプシーへの偏見に対する怒りを、原作、脚本も担当したジョゼ・ジョヴァンニ監督がお得意の警察批判を絡めて描いた作品で、監督の作品中でも『最後のアドレス』(69)と並んで好きな作品です。
ジプシーの実情や問題点が必ずしも丁寧に描いているわけではありませんが、ストーリーが抜群に面白く、アクション映画として素直に楽しめます。
国内盤DVD(東北新社)は長らく廃盤でしたが、最近ようやくジュネオンから再発されました。
キャスティングもなかなか豪華。
髭姿のアラン・ドロンは見事にジプシーに化けており、その表情、物腰がとにかくかっこいい。
革ジャン姿もよく似合います。
アラン・ドロンとポール・ムーリスの顔合わせは珍しく、映画前半ではほとんど絡みはありませんが、後半の二人の共演は見ごたえたっぷり。
アニー・ジラルドは彼女らしい持ち味を出しているものの、見せ場が少な目なのがちょっともったいない気がします。
そして、この映画で特筆すべきは警視役のマルセル・ボズフィの好演でしょう。
マルセル・ボズフィといえば、メルヴィルの『ギャング』、コスタ・ガヴラス監督の『Z』、『フレンチ・コネクション』など、どちらかというと悪役のイメージの強い人ですが、この警視役はいかにもそれらしく見事な存在感と演技を披露しています。
ジャンゴ・ラインハルトのギターをフューチャーしたジプシー風の音楽もいい。
スタンリー・キューブリック監督の『現金に体を張れ』を国内盤DVDで観た感想。
『THE KILLING』(56年)
監督・脚本:スタンリー・キューブリック
撮影:ルシアン・バラード
音楽:ジェラルド・フリード
出演:スターリング・ヘイドン、マリー・ウィンザー、コリーン・グレイ、ヴィンセント・エドワーズ、ジェイ・C・フリッペン、テッド・デ・コルシア、ティモシー・ケリー、イライシャ・クック・ジュニア
再見。
フィルム・ノワール随一の傑作。
この作品を残しただけでもキューブリックは偉大である。(ちなみにカラーになってからのキューブリック作品はあまり好きではない…)
時間の進行を立体的に前後させて描いたユニークな構成が見事な効果を挙げており、ルシアン・バラードによるスタイリッシュなモノクロ映像も素晴らしい。
主演のスターリング・ヘイドンも良く、タフガイとしての存在感だけでなく、どことなく男の哀愁が感じられるのが魅力。
また、マリー・ウィンザーが史上最強(?)のファム・ファタールを演じており、イライシャ・クック・ジュニアが独自の怪演ぶりで存在感を発揮しているのも嬉しい。
ハワード・ホークス監督の『リオ・ブラボー』を国内盤DVDで観た感想。
『RIO BRAVO』(59年)
監督・製作: ハワード・ホークス
脚本:ジュールス・ファースマン、リー・ブラケット
撮影:ラッセル・ハーラン
音楽:ディミトリ・ティオムキン
出演:ジョン・ウェイン、ディーン・マーティン、リッキー・ネルソン、アンジー・ディキンソン、ウォルター・ブレナン、ウォード・ボンド、ジョン・ラッセル、クロード・エイキンス、ハリー・ケリー・Jr
再見。
久々に見直してみると、少々長すぎる印象はあるが、以前紹介した同じハワード・ホークス監督の『エル・ドラド』ほどではないものの、この作品もさすがに面白い。
保安官役のジョン・ウェインの男気溢れるキャラクターも相変わらず気持ち良いし、その補佐役のウォルター・ブレナンにもなんともいえない枯れた味がある。
ディーン・マーティンとリッキー・ネルソンの歌のシーンもいい。
また、ヒロイン役のアンジー・ディキンソンが素敵だ。
溝口健二監督の『近松物語』を国内盤DVDで観た感想。
『近松物語』(54年)
監督:溝口健二
脚本:依田義賢
撮影:宮川一夫
音楽:早坂文雄
出演:長谷川一夫、香川京子、南田洋子、進藤英太郎、小沢栄、菅井一郎、田中春男、石黒達也
再見。
タイトルだけ見ると、まるで近松の生涯を映画化したもののように思えてしまうが、内容は近松原作の浄瑠璃『大経師昔暦』(だいきょうじむかしごよみ)を脚色、映画化したもの。
この作品は近松の浄瑠璃作品としてはさして傑作とも思えぬし、歌舞伎文楽ともに上演回数もさほど多くないが、この映画は優れた脚色、演出によって、世界に冠たる作品に仕上がった。
もちろん、近松、とりわけその世話物は映画や歌舞伎よりも文楽、つまり人形浄瑠璃で観る(聴く)のがベストである。
近松の作品の多くがその意図で書かれているのだから当然といえば当然なのだが、役者などの生身の人間が近松のキャラクターを演じる場合、あまりに生々しくなってしまう点に違和感を感じてしまうのだ。
その意味で、この作品における長谷川一夫はあまりに美男過ぎ、色気があり過ぎて、当然近松の人物像からははみ出しているが、抜群の所作の美しさによって、そういった価値観を当てはめること自体意味のないことのように思わせてしまう。
そして、この映画がなにより素敵なのは、なんといっても、おさんを演じた香川京子が魅力的だからだ。
近松のキャラクターという意味においては、彼女ですら無理が感じられる部分も当然あるのだが、とにかくこの作品での彼女は美しい。
このおさんを観るだけでもこの作品は価値があると思ってしまう。
ところどころに響く太棹の音色も印象的であり、宮川一夫の撮影も美しい。
ジョセフ・ロージー監督の『パリの灯は遠く』を国内盤DVD(東北新社)にて鑑賞。
『MR. KLEIN』(76年)
監督:ジョセフ・ロージー
脚本:フランコ・ソリナス、フェルナンド・モランディ
撮影:ジェリー・フィッシャー、ピエール=ウィリアム・グレン
音楽:エジスト・マッキ、ピエール・ポルト
出演:アラン・ドロン、ジャンヌ・モロー、シュザンヌ・フロン、ミシェル・オーモン、マッシモ・ジロッティ、ミシェル・ロンダール、ピエール・ボイト、 ジュリエット・ベルト
再見。
舞台はあのメルヴィルの『影の軍隊』(69)と同じ1942年のドイツ占領下のフランス。
自分と同姓同名(ロベール・クライン)の男がユダヤ人であることから当局に追われる羽目になった主人公が、その同姓同名の人物を捜し求めるというのが簡単なストーリー。
このテーマだけで2時間もたせてしまう演出のパワーは大したものだと思うのだが、それにしても、この重苦しさは尋常ではない。
重苦しいといえばやはり『影の軍隊』もそうだが、あちらの方がまだいろいろとドラマチックな展開があるので救われる気がするが、こちらはミステリーともサスペンスともつかない、むしろホラーに近いような恐ろしさや不気味さを湛えている。
城館のシーンなど悪夢か何かのように思われるし、そこに登場するジャンヌ・モローなど、ほとんど幽霊のようだ。
もう一人のロベール・クラインのアパートの場面もなんとも薄気味悪い。
そこがまた映画的興味を惹くのも事実なのだが。
一方で、名匠アレクサンドル・トローネルによる美術が、この作品に見事なまでの古典的な風格を与えている。
そして、その格調ある映像美にピタリとはまるアラン・ドロンの存在感と演技がまた素晴らしい。
そのクラシックなファッションと着こなしも見ものである。
また、ドロンの弁護士役のミシェル・ロンダールも好演している。
ところで、話は変わるが、ジャンヌ・モローといえばルイ・マル監督の『死刑台のエレベーター』のHDニューマスター版DVDが9月に紀伊国屋書店から発売になる模様。
詳細はこちら。
ハワード・ホークス監督の『エル・ドラド』を国内盤DVDで観た感想。
『EL DORADO』(66年)
監督・製作:ハワード・ホークス
脚本:リー・ブラケット
撮影:ハロルド・ロッソン
音楽:ネルソン・リドル
出演:ジョン・ウェイン、ロバート・ミッチャム、ジェームズ・カーン、アーサー・ハニカット、エドワード・アズナー、ミシェル・ケリー
面白い。
テキパキと進むホークス流(?)のストーリー展開が見事である。
ジョン・ウェインがいいのは当然として、ロバート・ミッチャムがそれに劣らぬ存在感を見せ付けているのに驚かされる。
若きジェームズ・カーンがまた素晴らしい。
フランク・シナトラのキャピトル時代のアレンジャーとしても著名なネルソン・リドルのスコアも印象的。
ハワード・ホークス監督の『三つ数えろ』を国内盤DVDで観た感想。
『THE BIG SLEEP』(46年)
監督・製作:ハワード・ホークス
原作:レイモンド・チャンドラー
脚本:ウィリアム・フォークナー、リー・ブラケット、ジュールス・ファースマン
撮影:シド・ヒコックス
音楽:マックス・スタイナー
出演:ハンフリー・ボガート、ローレン・バコール、ジョン・リッジリー、マーサ・ヴィッカーズ、レジス・トゥーミイ、ペギー・クヌードセン、ドロシー・マローン、イライシャ・クック・ジュニア
再見。
レイモンド・チャンドラー原作のハードボイルド小説『大いなる眠り』の映画化作品。
何度観てもすばらしい。
シャープなストーリー展開、雰囲気描写がなんとも見事。
会話もウィットに富んでいて粋である。
何度観てもストーリーは複雑で分かりにくいが、たとえストーリーが分からなくても楽しめてしまうのがこの映画の凄い(?)ところ。
キャストも主演のハンフリー・ボガート、ローレン・バコールが良いのは当然として、脇役が充実しているのもこの作品の大きな魅力。
マーロウの友人の刑事やジョー・ブローディ役の俳優、マース役の俳優ら、いかにもチャンドラーの作品世界に合った雰囲気を持った俳優が起用されていると思う。
マーロウにガイガーの情報を提供する古本屋の女(ドロシー・マローン)の色っぽさもいい。
また、個人的にはちょっとだけ登場するイライシャ・クック・ジュニアが短い登場シーンながら持ち味を出しているのが嬉しい。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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