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以前別サイトにて書いたフランソワ・トリュフォー監督作品のレビューの転載です。(一部手直しあり)
今回は『突然炎のごとく』。
『JULES ET JIM』 (61年)
監督:フランソワ・トリュフォー
脚本:フランソワ・トリュフォー、ジャングリュオー
撮影:ラウル・クタール
音楽:ジュルジュ・ドルリュー
出演:ジャンヌ・モロー(カトリーヌ)、オスカー・ウェルナー(ジュール)、アンリ・セール(ジム)、マリー・デュボワ(テレーズ)107分、モノクロ
原作となったアンリ=ピエール・ロシェの小説を映画化したもので、恋と友情、三角関係の微妙な心理を巧みに描き出して、初期の作品では『大人は判ってくれない』と並んで、トリュフォーの代表作にもたとえられる傑作。
それと同時に、男性を虜にする“魔性”を感じさせる魅力的なヒロイン・カトリーヌを演じるジャンヌ・モローが素晴らしい。
カトリーヌは、冷静に考えればとんでもない女性なのですが、なんだかんだいっても男が(勝手に)描く理想の女性像を体現しているような女性なのです。
ジャンヌ・モローといえば、いつも不機嫌そうな口元が印象的ですが、この映画では、彼女の屈託のない笑顔が印象的で、とても美しい。
彼女が『つむじ風』を歌うシーンが耳に残って離れません。
彼女を巡るオスカー・ウェルナーとアンリ・セールのコンビぶりが、現代性と時代性のバランスが良く、この映画の成功の大きな要素でしょう。
また、セット、衣装など第一次大戦前後の時代背景を巧みに表現した視覚的要素もこの映画の魅力として無視できません。
以前別サイトにて書いたフランソワ・トリュフォー監督作品のレビューの転載です。(一部手直しあり)
今回は『ピアニストを撃て』。
『TIREZ SUR LE PIANISTE』 (60年)
監督:フランソワ・トリュフォー
脚本:フランソワ・トリュフォー、マルセル・ムーシー
撮影:ラウル・クタール
音楽:ジュルジュ・ドルリュー
出演:シャルル・アズナブール(シャルリ・コレール)、マリー・デュボワ(レナ)、ニコル・ベルジェ(テレサ)
84分、モノクロ
『大人は判ってくれない』に続く長編第2作に当たる作品。
フィルム・ノワールを思わせるサスペンスタッチの恋愛劇です。
しかし、サスペンスとはいってもヒッチコック作品のようなテンションの高さはなく、適度な“ユルさ”加減がいかにもトリュフォーらしい。
ピアニストを追うギャングもかなりユーモラスというか、けっこうマヌケに描かれています。
でも、その具合が面白く、この映画の不思議な魅力の一つです。
キャストでは、なんといっても魅力的なのが、ヒロイン役のマリー・デュボワ。
クールというよりは温かみのある親近感を感じさせる女優で、この作品では柔らかい笑顔がとてもいい。
また、シャルリの元妻役のニコル・ベルジェも魅力では負けていません。
こういった魅力的な女優の人選にトリュフォーらしいセンスが表れていると思います。
事実、後にメルヴィルの『フェルショー家の長男』(62)にヒロイン役で出演しているミシェール・メルシエのヌードがこの映画の途中に登場しますが、これは「トリュフォーが私のために撮ってくれた」(メルヴィル談)とのこと。
臆病なピアニスト・シャルリを演じる、主演のシャルル・アズナブールはちょっとオッサンぽい容姿が損してますが、そこはかとないユーモアを感じさせる味のある演技です。
雪の山荘で繰り広げられるラストシーンがなんとも美しい。
以前別サイトにて書いたフランソワ・トリュフォー監督作品のレビューの転載です。(一部手直しあり)
今回は初期の代表作『大人は判ってくれない』。
『LES QUATRE CENTS COUPS』 (59年)
監督:フランソワ・トリュフォー
脚本:フランソワ・トリュフォー、マルセル・ムーシー
撮影:アンリ・ドカ
音楽:ジャン・コンスタンタン
出演:ジャン=ピエール・レオー(アントワーヌ・ドワネル)、クレール・モーリエ(母)、アルベール・レミー(継父)、ギー・ドコンブル(担任教師)
101分、モノクロ
トリュフォー自身の少年期をそのまま映画化したかのような自伝的要素の強い作品。
カンヌ映画祭監督賞受賞作であり、ゴダールの『勝手にしやがれ』(59)と並んで、ヌーヴェル・ヴァーグの代表作とも言われる作品です。
トリュフォーといえば、まずこの作品を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
これはまた、トリュフォーの分身とも言えるアントワーヌ・ドワネルを主役とした作品群の第1作に当たる作品でもあります。
後に“ドワネルもの”と言われることになるその連作は、ジャン=ピエール・レオーという一人の俳優が同じ役を年代に応じて演じ続けるという、映画史上にも例のないユニークな作品となったのです。
それは、なんといってもトリュフォーの“分身”たるジャン=ピエール・レオーという一人の俳優をこの映画の主演に得たことが大きかったと思われます。
この映画を初めて観た時は、正直言って身につまされるシーンが多く、主人公が気の毒に思えて、それほど好きな作品とは言えなかったのですが、観る度に素晴らしい映画だと感じるようになりました。
特にラストは映画史に残る名場面といってよいでしょう。
この映画におけるジャン=ピエール・レオーは本当に素晴らしいです。
ちなみに、アンリ・ドカが撮影を担当したトリュフォー作品は意外にもこの作品のみ。
また、担任教師役のギー・ドコンブルはメルヴィルの『賭博師ボブ』(55)で刑事役を演じています。
これも必見。
今回は『水の話』。
『HISTOIRE D’EAU』 (58年)
監督:フランソワ・トリュフォー、ジャン=リュック・ゴダール
脚本:フランソワ・トリュフォー
編集:ジャン=リュック・ゴダール
撮影:ミシェル・ラトゥーシュ
出演:ジャン=クロード・ブリアリ(青年)、カロリーヌ・ディム(娘)
18分、モノクロ
大洪水で交通網が破壊される中、偶然知り合った男女の恋愛模様を描いた作品で、なんと、トリュフォーとゴダールの唯一の共同監督作品です。
たまたまその時期フランスで大洪水があり、せっかくの機会だから、と撮ったのがこの作品だったとだとか。
彼らに関心のある者にとっては、彼らの共同監督というだけで興味津々ですが、時間も短く、内容にもさして観るべきものがないのがちょっと残念…。
ただ、主演の2人が魅力的なのと、音楽の使い方がユニークで面白いことは指摘すべきでしょう。
それにしても、映像で観る限り、この洪水はスゴイ…確かに「水の話」には違いありません(笑)。
以前別サイトにて書いたフランソワ・トリュフォー監督作品のレビューの転載です。(一部手直しあり)
今回は短編処女作の『あこがれ』。
『LES MISTONS』 (57年)
監督:フランソワ・トリュフォー
脚本:フランソワ・トリュフォー
撮影:ジャン・マリージュ
音楽:モーリス・ル・ルー
出演:ベルナデット・ラフォン(ベルナデット)、ジェラール・ブラン(ジェラール)、子供たち
19分、モノクロ
トリュフォー25歳の時の短編処女作で、20分足らずの小品。
すでにヒロインや子供たちの描写に後年のトリュフォーならではの明るい雰囲気が感じられ、小品ながら十分楽しめます。
ヒロインのベルナデット・ラフォンは、これが映画初出演とのことですが、ここでは健康的なお色気がとても魅力的。
逆にその恋人役のジェラール・ブランはほとんど存在感がありません…なんでも彼と撮影で対立したトリュフォーがブランの目立つシーンをカットしてしまったのだとか。
ちなみに撮影当時、ラフォンとブランは実生活でも夫婦でしたが、この作品の後別れてしまったという、あまり笑えない話もあります。
小品ではありますが、大変瑞々しい作品であり、トリュフォー・ファンならずとも一見の価値のある作品です。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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