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以前拙ブログで好きなジャズアルバムベスト20なんてものを選んだが、今回はその中からスタン・ゲッツ『カフェ・モンマルトル』を取り上げたい。
これはスタン・ゲッツが最晩年にデンマーク・コペンハーゲンのクラブで行なったライヴ録音から、ベスト・テイクを収録したライヴ・コンピレーション・アルバムである。
ゲッツは晩年、このクラブで3枚のライヴ・アルバムを残している。
エマーシー・レーベルに残した『アニヴァーサリー』(87年)、『セレニティ』(87年)、『ピープル・タイム』(91年)の3枚で、いずれも優れた演奏内容のアルバムばかりだが、一番有名なのはケニー・バロンとのデュオ『ピープル・タイム』だろう。
実際のところ、このアルバム『カフェ・モンマルトル』には『ピープル・タイム』からも半数以上の5曲が選ばれているから、『ピープル・タイム』を選んでも良いのだが、私個人は『ピープル・タイム』よりもこの『カフェ・モンマルトル』の方がアルバムとして好きなのだ。
ちなみに、87年の演奏を記録した『アニヴァーサリー』、『セレニティ』はクァルテット編成であり、このアルバムにはそこから4曲選ばれている。
メンバーはゲッツの他ケニー・バロン(p)、ルーファス・リード(b)、ヴィクター・ルイス(ds)の4人。
それにしても、ここに記録された音楽の 美しさは尋常ではない。
すべてバラード演奏のみと言ってよい選曲であるが、ゲッツ、ケニー・バロン両者の音色の美しさと演奏内容の素晴らしさが相まって、えにも言われぬ音楽が展開されている。
晩年のゲッツはバロンのことを『自分の片腕のような存在』と言っていたらしいが、その言葉も納得のいく素晴らしいコンビネーションである。
ちなみに『ピープル・タイム』は数年前に7枚組の完全版も発売された。
今のところ未聴だが、いつかは手に入れて聴いてみたい。
ジョン・コルトレーン唯一の来日公演を記録したアルバム『ライヴ・イン・ジャパン(完全版)』のCDは長らく廃盤となっていたが、先ごろめでたく再発された。
以前は4枚組CDとして発売されていたが、今回はSHM-CD仕様、そして来日時のインタビューも含めたCD5枚組。
個人的に、ほとんどフリージャズと化したコルトレーンの晩年の演奏は苦手なものも実は多かったりするのだが、これは初めて聴いた時の衝撃があまりに強すぎたせいか、例外中の例外。
溢れ出る音の洪水に身を浸す歓びは筆舌に尽くしがたい。
以前挙げた私の好きなジャズ・アルバム・ベスト20の中から今回取り上げるのは②(順位ではありません)に挙げたミハエル・ナウラ・クインテット『EUROPEAN JAZZ SOUNDS』。
MICHAEL NAURA『EUROPEAN JAZZ SOUNDS』(63年)
①Three Seconds②Night Flower③Dr. Jekyll④Down In The Village⑤Gruga Mood⑥Sere
MICHAEL NAURA(p) PETER REINKE(as) WAOLFGANG SCHLUTER(vib) WALFGANG LUSCHERT(b) JOE NAY(ds)
ミハエル・ナウラ・クインテットはドイツ人ピアニスト・ミハエル・ナウラがリーダーのコンボ。
これもヨーロピアン・ジャズの“幻の一枚”的な作品で、63年に録音された音源を近年、日本の澤野工房が復刻したもの。
このアルバムは全く音も試聴せずにジャケ買いした一枚だが、見事に“アタリ”だったもので、実際これまで何度聴いたか分からない。
サウンド的にはモーダルな印象の強いハードバップ。
先に述べたようにピアニストがリーダーのコンボだが、アルトサックスのPETER REINKEとヴィブラフォーンのWAOLFGANG SCHLUTERのソロが印象的で、二人の演奏は聴く者に強いインパクトを残す。
とりわけ、WAOLFGANG SCHLUTERのヴィブラフォーンのソロはすべていい。
もちろん、コンボとしてのまとまりもあり、リーダーのミハエル・ナウラのソロもなかなか渋い。
個人的に残念な点はベースがサウンド的に今一つ存在感が薄いことくらいか。
楽曲もどれもいいが、①②④あたりが別格的な素晴らしさである。
澤野工房の関連ページへのリンク
以前紹介した私の好きなジャズ・アルバム・ベスト20の中から今回取り上げるのは⑩(順位ではありません)に挙げたザ・ダイヤモンド・ファイヴ『ブリリアント!』
THE DIAMOND FIVE 『BRILLIANT!』 (Fontana)
①ジョニーズ・バースデイ②ルーインド・ガール③ルトゥリ④ライニング・アップ⑤ニュー・ボーン⑥モノシル
シーズ・スリンガー(p)、シーズ・スモール(tp、flh、v-tb)、ハリー・ヴァーベク(ts)、ジャック・スコールス(b)、ジョン・エンゲルス(ds)
録音:64年5月
“ザ・ダイヤモンド・ファイヴ”はピアニストのシーズ・スリンガー率いるオランダの名コンボで(全員白人)、現在CDはこのアルバムくらいしか市場に出回っていないようだ。
しかし、たとえこのコンボがこの世に残したアルバムがこの一枚だけであったとしても、このコンボの名は不滅である。
以前紹介したジャズ・クインテット60『プレゼンティング・ジャズ・クインテット60』を始め、ヨーロピアン・ジャズに私の関心を向かわせた決定的なアルバムが何枚かあるが、これはその中の一枚。
これまで何百枚のジャズのCD、いや、もしかしたら千枚単位のジャズのCDを聴いてきたが、一体何を求めてジャズのCDを買い求めているかといえば、この作品のような音、曲、演奏が聴きたいからではないかと思う。
それくらい、このアルバムは私のツボに近い。
演奏はモーダルな雰囲気を持ったハード・バップだが、いかにもヨーロピアン・ジャズ的な品格と哀愁を感じさせる曲調、演奏である。
何をもってヨーロピアン・ジャズの特徴というか説明するのは難しいが、音楽性にヨーロッパ的な美的感覚(楽器の音色の美しさ、アレンジの構築性)が感じられる点と、ソロイストの強烈な個性よりはあくまでグループとしての統制のとれたアンサンブルを重視しているように感じられる点などが要素として挙げられるだろう。
もちろん、メンバー個々の演奏も最高で、とりわけ、ジャック・スコールスのベース・ラインと、ジョン・エンゲルスのドラムスの魅力は筆舌に尽くしがたい。
また、録音も素晴らしい。
以前紹介した私の好きなジャズ・アルバム・ベスト20の中から今回取り上げるのは⑲(順位ではありません)に挙げたマイルス・デイヴィス『マイルス・イン・ベルリン』。
①マイルストーンズ②枯葉③ソー・ホワット④星影のステラ⑤ウォーキン⑥ゴー・ゴー(テーマ&アナウンスメント)
マイルス・デイヴィス(tp)、ウェイン・ショーター(ts)、ハービー・ハンコック(p)、ロン・カーター(b)、トニー・ウイリアムス(ds)
64年 ベルリン・ジャズ・フェスティバルの行われたベルリン・フィルハーモニック・ホールでライヴ録音
ジャズのベストアルバム20に入れるくらいだから、マイルス・デイヴィスのアルバム中でもとりわけ好きなアルバムであるのは当然だが、それと同時に個人的に思い入れの強いアルバムでもある。
学生時代にこれからジャズを聴こうと思い立ち、始めにレンタルしたCDの中の一枚がこれだったからだ。
当時マイルス・デイヴィスのものが何か聴きたかったのだが、見るからに良さそうな雰囲気のCDがレンタル店にこれしかなかった。
メンバーも曲もよく分からぬままにこのCDを借りたのだが、音楽のあまりのカッコ良さに衝撃を受け、お陰でジャズに目覚めてしまい、以後20数年聴き続けているというわけだ。
そういう意味では実に罪深いCDであるとも言える。
個人的な思い入れは別としても、このライヴ・アルバムは今聴いても実に素晴らしい。
マイルスのライヴ盤は他のものもかなり聴いたが、ウェイン・ショーターが初参加したばかりというグループ内のテンションの高さと演奏内容の見事さ、収録楽曲の魅力など、一枚のアルバムとしてのバランスではやはりこれが一番だと思う。
メンバーも誰が良いとか悪いとか言う以前にとにかくこのアルバムの全てがカッコいい。
とりわけ①は何度聴いても感動してしまう。
久々にHP更新しました。
ところで、以前挙げた私の好きなジャズ・アルバム・ベスト20の中から今回取り上げるのは⑬(順位ではありません)に挙げたソニー・ロリンズの『ヴィレッジ・ヴァンガードの夜』(完全版)
Sonny Rollins『A Night At The "Village Vanguard"』(BlueNote)
DISC1①チュニジアの夜②アイヴ・ガット・ユー・アンダー・マイ・スキン③チュニジアの夜(イヴニング・テイク)④朝日のようにさわやかに(別テイク)⑤フォー⑥イントロダクション⑦ウッディン・ユー⑧イントロダクション⑨オールド・デヴィル・ムーン
DISC2①恋とは何でしょう②朝日のようにさわやかに③ソニームーン・フォー・トゥー④言い出しかねて⑤四月の思い出⑥ゲット・ハッピー⑦ストライヴァーズ・ロウ⑧オール・ザ・シングス・ユー・アー⑨ゲット・ハッピー(ショート・ヴァージョン)
ソニー・ロリンズ(ts)、ウィルバー・ウェア、ドナルド・ベイリー(b)、エルヴィン・ジョーンズ、ピート・ラロカ(ds)(57年)
このアルバムが録音されたヴィレッジ・ヴァンガードはビル・エヴァンス他のライヴ・アルバムでもよく知られているNYのジャズ・クラブ。
ソニー・ロリンズには『サキソフォン・コロッサス』など他にもたくさん名盤があるので、いろいろ好みは分かれるでしょうが、個人的には断然これです。
とにかく、このアルバムは、曲がどうとか、演奏がどうとかいう以前に、ただひたすらそのテナーサックスの音色に浸ることができるのが最大の魅力。
全篇テナーサックス、ベース、ドラムという珍しいピアノレスのトリオ編成なので、ところどころにドラムソロがある以外はロリンズのソロを心行くまで堪能できます。
たまにチャーリー・パーカーのライヴ盤を聞くと、このアルバムのロリンズのフレーズに非常に似ていると感じることがありますが、当然のことながら、ロリンズの方がパーカー奏法から学んだ結果なのでしょう。
サウンド面も魅力的で、名エンジニアルディ・ヴァン・ゲルダーによる、テナーの音、べースの音、そしてドラムの音に至るまで迫力満点のブルーノート・サウンドをたっぷり味わえます。
ロリンズ以外では、やはりエルヴィン・ジョーンズの圧倒的なスケール感のドラム・プレイが印象的。
私は、基本的にアルバムをボーナス・トラックなどを除いたオリジナル・フォーマットで楽しみたい人間ですが、このアルバムはいつも2枚組の完全版で楽しんでいます。
これはもう素晴らしい演奏の連続なので、CD1枚では物足りません。
以前挙げた私の好きなジャズ・アルバム・ベスト20の中から今回取り上げるのは⑥(順位ではありません)に挙げたグラント・グリーン『アイドル・モーメンツ』。
『Idle Moments』(ブルーノート)
①アイドル・モーメンツ②ジャン・ド・フルール③ジャンゴ④ノマド
グラント・グリーン(g)、デューク・ピアソン(p)、ボブ・クランショウ(b)、アル・ヘアウッド(ds)、ジョー・ヘンダーソン(ts)、ボビー・ハッチャーソン(vib)(63年)
ギタリスト、グラント・グリーンのリーダー・アルバムは今から10年ほど前にブルーノート盤を中心に結構集めましたが、このアルバムは聴きませんでした。
単にタイトルからポップな内容を連想してしまい、敬遠してしまったせいなのですが。
そんなわけで、ずっと無視してきたアルバムですが、最近になって参加メンバーを知ってビックリ。
デューク・ピアソン(p)にジョー・ヘンダーソン(ts)、それにボビー・ハッチャーソン(vib)まで加わっているとは。
ここには、いわゆる“新主流派”と言われるメンツが揃っており、メンバー的にはグラント・グリーンのアルバム中で異質な部類に入るかもしれませんが、実際の内容は想像以上に素晴らしく、今ではグラント・グリーンの中でも一番気に入っているアルバムとなりました。
とにかくアルバム全体のクールな雰囲気が圧倒的に好み。
アルバム全体として、モーダルな響きが印象的で、②、④など実にカッコいい。
②など今聞くとフュージョン風に感じられなくもありませんが、あくまでもグリーン風のソウルフルでブルージーな味付けがなされているので、物足りなさは皆無。
デューク・ピアソン作曲のタイトルトラックの①のブルースも素晴らしい。
とりわけ、この曲ではジョー・ヘンダーソンのつぶやくようなテナーが印象的で、音色も美しい。
③『ジャンゴ』もMJQの名演をよく咀嚼しており、再演モノにありがちな二番煎じ的安っぽさがないのが見事。
左カラム下部に「お気に入りリンク」を加えました。
素晴らしいサイト(ブログ)ばかりですので、是非飛んでみて下さい。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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