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シンコー・ミュージックから出ているムックだが、この本を2週間前に買って以来、すっかりソウル・ミュージック漬けになってしまっている。

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ジョン・ヒューストン監督の『キー・ラーゴ』を国内盤DVDで観た感想。

KEY LARGO』(48年)
監督:ジョン・ヒューストン
脚本:リチャード・ブルックス、ジョン・ヒューストン
撮影:カール・フロイント
音楽:マックス・スタイナー
出演:ハンフリー・ボガート、ローレン・バコール、クレア・トレヴァー、エドワード・G・ロビンソン、ライオネル・バリモア、モンテ・ブルー

再見。
以前一度キリしか観ていない映画だが、なぜか最近無性にこの映画が見直したくなっていた。
ほとんど密室劇に近いが、舞台となったマイアミのホテルの雰囲気が印象的だったせいか。
実際に見直してみて、内容も実に緊張感のある面白い映画であった。
元の原作(マックスウェル・アンダーソン)が面白いせいもあるのだろうが、俳優の演技が皆とても上手いし、映画の進行もテキパキとして無駄がない。
ギャング役のエドワード・G・ロビンソンがさすがの存在感。

世界的なバリトン歌手ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウDietrich Fischer-Dieskau)が先日亡くなった。
享年86歳だからいつ亡くなってもおかしくない年齢だが、およそ“死”というイメージとはかけ離れた健康的なイメージの人だったから、訃報は大変意外に思われた。

大往生というに相応しい、あまりにも偉大なる芸術家の死であるが、大げさでなく、私にとってもある意味人生の師といってもよい存在だった。
確かに人生のある時期、私の生活はほとんどこの人の歌声とともにあったからである。

私もこの人によってドイツ・リートの深遠な世界に引き擦り込まれた。
まだ予備校生だった頃、代々木にジュピターという輸入盤屋があったが、そこでシューベルト美しき水車小屋の娘』のCD(ドイツ・グラモフォン)を買ったのが最初である。
その繊細でロマンティックな世界にすぐに虜となってしまった。

次に聴いたのが同じくシューベルトの『冬の旅』(ドイツ・グラモフォン)だったが、『水車小屋』とは全く異なる、あまりに暗く厳しい音楽世界に面食らった。
それでも、音楽に限らず“名作”を理解しようと必死だった頃だから、毎日のように聴き続けた。
ある時期は寝る前にDFDの『冬の旅』を聴くのが日課だったほどである。

思えばなんともネクラな青春時代だったわけだが、逆に言えば、DFDの『冬の旅』を毎日聴ける贅沢な生活を送っていたといえるわけで、この上ない幸福な日々だったと言えるだろう。
『冬の旅』こそあらゆる音楽中の最高傑作と信じるようになったのもDFDのお陰である。
もちろん、『白鳥の歌』のハイネ歌曲の恐ろしいほど深遠な世界を教えてくれたのもDFDであった。

たった一度だが、生演奏にも触れた。
89年5月、サントリーホールにおけるル・シューベルト・プログラムによるリート・リサイタルである。
2部構成のプログラムで、内容的には1部の最後に『魔王』を歌ったことくらいしか覚えていないが(パンフが家のどこかにあるはずだ)、衰えを知らぬ強烈な声の印象は今も脳裏から離れない。
DFDはその後も来日公演を行ったが、92年には引退してしまったから、彼の生演奏に触れる機会はそれが最初で最後になってしまった。

CDにおけるDFDの印象深いリート演奏というと、やはり上に上げたシューベルトの三大歌曲集ヴォルフのメーリケ歌曲集シューマン『詩人の恋』、ベートーヴェン『遥かなる恋人に寄す』など枚挙に暇がない。
ただし、シューベルトでもあの歌曲大全集は個人的には買わない。
確かに偉業だが、あまりに満遍なく平均化された演奏の連続で、聴いていて面白みに欠けるからだ。
DFDの声も一番魅力のない頃(60年代後半)だったと個人的には思う。

むしろ、最近もCDで復刻された50年代にEMIに録音したシューベルトの歌曲の数々が素晴らしい。
無限なる者へ』、『墓堀人の郷愁』、『さすらい人の月に寄せる歌』といった一ひねりある楽曲の素晴らしさはDFDのどこか皮肉な持ち味と相まって比類なかった。

もちろん、オペラも忘れてはならない。
個人的にはやはりグナー、それもヴォータン(『ラインの黄金』)やハンス・ザックス(『マイスタージンガー』)のような主役よりも、ヴォルフラム(『タンホイザー』)、クレヴェナール(『トリスタン』)、グンター(『神々のたそがれ』)、軍令師(『ローエングリン』)といった脇役の方が印象深い。

そして、個人的に絶対に落とせないのがクレンペラーの指揮したブラームスドイツ・レクイエム』におけるバリトン独唱である。
このCDはあらゆるジャンルのCDの中でも私の最も愛聴しているものだが(いずれまた書く機会があるだろう)、第3曲「主よ、知らしめたまえ」におけるDFDの独唱がなかったら、絶対にここまで好きになっていなかっただろう。

最後に個人的な願望。
87年にDFDがサントリーホールで行った『冬の旅』のリサイタルのDVD化である。
これは当時NHK教育テレビで放送されたのを観て、物凄く感動した憶えがあるのだが、とりわけ21曲目「宿屋」の毅然とした素晴らしい歌唱、そして、それを歌い終えた後の彼の表情がいまだに忘れられないのだ。
録画もしたのだが、親戚の家に保管していたせいか、紛失してしまった。
NHKにはおそらく映像が残っているはずだから是非とも世に出してほしいものである。

とにかく今は残された膨大な録音の数々を耳にしながら、この大芸術家を偲ぼうと思う。合掌。



書店を覘いたら、『勝手にしやがれ』買い付けで有名な秦 早穂子氏の自伝的小説『影の部分』が発売されていました。
メルヴィルについても少し言及されています。

東京日仏学院で2012年05月13日 (日) 12時30分からジャック・ベッケル監督の『エストラパード街』が上映されます。
リンク

エストラパード街 RUE DE L'ESTRAPADE』(52年/109分/35ミリ/モノクロ/英語字幕付)
監督:ジャック・ベッケル
出演:アンヌ・ヴェルノン、ダニエル・ジェラン、ルイ・ジュールダン、ジャン・セルヴェ

例によって英語字幕というのが残念ですが、ジャック・ベッケル監督の作品中でもほとんど上映されることのない作品ですので、これは大変貴重な機会となりそうです。

オーディトリウム渋谷ジャン=リュック・ゴダール監督の特集上映があります。
特集は大きく分けて二つ。

●『ジャン=リュック・ゴダール+ジガ・ヴェルトフ集団 WEEK
日本初公開作品を含む“ゴダール政治の時代”全6タイトル連続上映!

●『ジャン=リュック・ゴダール特集上映 映画史と政治、そして原点
『勝手にしやがれ』、『気狂いピエロ』他、ゴダールの映画史”最重要作品をゴールデンウィークにセレクト上映!

ちなみに、IVCからは5月31日に『ジャン=リュック・ゴダール+ジガ・ヴェルトフ集団 Blu-ray BOX』が発売されます。

久々にメルヴィルのDVDの話題です。
とはいっても、例によって再発のものばかりですが。

5月9日にユニバーサルから『賭博師ボブ』『いぬ』『影の軍隊』『仁義』『リスボン特急』のDVDが一挙に再発されます。
アマゾンの価格がまたありえないほど安いので、これらの映画を観ていない方、持ってない方には強力におススメです。
それにしても、このラインアップもいい加減飽きたので、そろそろまた何か新しいDVDが発売されませんかねぇ・・・。

ついでに、ユニバーサル盤ではありませんが、『モラン神父』も現在30%オフなので紹介しておきます。


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プロフィール
HN:
マサヤ
性別:
男性
趣味:
フランス映画、ジャズ
自己紹介:
フランスの映画監督ジャン=ピエール・メルヴィル監督作品のファンサイト附属のブログです。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
リンク、コメント、TB等はご自由にどうぞ。
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