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小津安二郎監督『東京暮色』を国内盤DVDで観た感想。
『東京暮色』(57年)
監督:小津安二郎
脚本:野田高梧、小津安二郎
撮影:厚田雄春
音楽:斎藤高順
出演:原節子、有馬稲子、笠智衆、山田五十鈴、高橋貞二、田浦正巳、杉村春子、山村聡
初見。
山田五十鈴唯一の小津映画出演作であり、以前から観たかった作品。
140分に及ぶ大作で、小津らしからぬ悲劇的色彩の濃い作品である。
そのせいか、ファンの間でも賛否分かれているようだが、個人的には好きな作品だった。
大変見ごたえのある、名シーンだらけの力作ではないだろうか。
明子役はもともと岸恵子のために書かれた役だというが、実際に演じた有馬稲子も可憐で魅力的。
というか、これは有馬稲子で良かったと思う。
『珍々軒』主人の藤原釜足、婦人科医の三好栄子といったあたりも味があって良い。
欠点といえば、原節子が山田五十鈴の娘に見えない点くらいか。
もっとも、笠智衆と山田五十鈴が夫婦というのも現実感ないが…。
ベルナルド・ベルトルッチ監督の『1900年』を国内盤DVD(紀伊国屋レーベル)で観た感想。
『NOVECENTO』(76年)
監督:ベルナルド・ベルトルッチ
脚本:フランコ・アルカッリ、ジュゼッペ・ベルトルッチ、ベルナルド・ベルトルッチ
撮影:ヴィットリオ・ストラーロ
音楽:エンニオ・モリコーネ
出演:ロバート・デ・ニーロ、ジェラール・ドパルデュー、ドミニク・サンダ、ドナルド・サザーランド、アリダ・ヴァリ、バート・ランカスター、スターリング・ヘイドン、ステファニア・サンドレッリ
初見。
5時間を超える超大作、大河ドラマ。
観終わった後、ドヨーンと重苦しい気分が残った。
時間の長さ、というよりも内容的にいろいろな意味できつかった。
ベルトルッチ監督が左翼なのは知っているが、ここまであからさまに赤旗が画面上を躍動する共産主義礼賛映画を見せ付けられると、後の共産主義の悲惨な末路を知っているだけに複雑な気分になった。(もっともイタリアで革命は起きなかったわけだが)
まして私個人は政治思想的には根っからの保守である。
それに私はグロい性描写は苦手だし、惨殺シーンまで登場とくるとどうしてもこれは苦手の部類の映画となってしまう。
ものすごい力作、傑作なのは承知の上でこれは好き嫌いの問題だからしようがない。
キャストについて。
主演のロバート・デ・ニーロは笑顔が可愛いことぐらいしか印象に残らない。
ジェラール・ドパルデューが現在とは全く別人かと思うくらい痩せているのはともかく、この映画の実質的な主役を充分な存在感でもって演じきったのはすばらしい。
ステファニア・サンドレッリも良かった。
ドナルド・サザーランドの悪役ぶりが物凄く、映画後半を引っ張っていっているのは間違いなく彼の存在感だろう。
それにしても、この頃のドミニク・サンダの美しさ、妖しさは尋常でない。
エンニオ・モリコーネの音楽も印象的だったし、ヴィットリオ・ストラーロの撮影はあまりに美しすぎて現実感がないくらいだ。
フェデリコ・フェリーニ監督の『8 1/2』を国内盤ブルーレイで観た感想。
『OTTO E MEZZO』(63年)
監督:フェデリコ・フェリーニ
脚本:フェデリコ・フェリーニ、トゥリオ・ピネッリ、エンニオ・フライアーノ、ブルネッロ・ロンディ
撮影:ジャンニ・ディ・ヴェナンツォ
音楽:ニーノ・ロータ
出演:マルチェロ・マストロヤンニ、アヌーク・エーメ、クラウディア・カルディナーレ、サンドラ・ミーロ、バーバラ・スティール
再見。
フェリーニは昔いろいろ観たが、その中では『カビリアの夜』と『アマルコルド』が好きだった。
逆に言えば、他の作品はどうもついていけないのが多い。
『8 1/2』はこれまで3回くらいは観ているはずで、回数でいえば他の作品よりも観ている方だろう。
今度のブルーレイの画質はこれまでとは比べ物にならないくらい良い。
この名画(それは確かだ)をこのような高画質で楽しめるようになったのは実にめでたいことだが、正直言って、観ていてどうも落ち着かなかった。
理由は簡単、映画が面白くないからである。
この感想は初めて観た時から基本的に変わらない。
確かに凄い映画だということは分かる。
狙い通りなのか偶然なのかは分からないが、演出技術的にはとんでもなく高いレベルの映画であることは確かだ。
しかし、それだけでこの映画を面白いと持ち上げる気にはならない。
第一、物語の主人公は人間的に魅力的でもなんでもないし(俳優としてのマストロヤンニは魅力的だが)、題材的にもまだ『甘い生活』の方が個人的にはしっくりくる(こちらも決して“面白い”映画ではないが…)。
ただ、主人公の愛人役を演じたサンドラ・ミーロはいい。
この映画のアヌーク・エーメ(グイドの妻役)が魅力薄なのは役柄上致し方ないだろう。
ジャン=ポール・ル・シャノワ監督の『レ・ミゼラブル』を国内盤DVD(IVC)で観た感想。
『LES MISERABLES』(57年)
監督:ジャン=ポール・ル・シャノワ
原作:ヴィクトル・ユーゴー
脚本:ルネ・バルジャヴェル、ジャン=ポール・ル・シャノワ
撮影:ジャック・ナットー
音楽:ジョルジュ・ヴァン・パリス
出演:ジャン・ギャバン、ベルナール・ブリエ、セルジュ・レジアニ、ダニエル・ドロルム、ブールヴィル、ジャンニ・エスポジート、ベアトリス・アルタ・リバ
かなり原作に忠実な映画化と言われており、ミュージカル映画ではない。
実際、ミュージカル版の映画や舞台を見てしまうと、これは物語の起伏が少なく、あっさりしていると感じられるかもしれない。
ミュージカル版は歌の力によって物語がさらにドラマティックに盛り上がるだろうが、私にはこの映画でも充分に感動的だった。
なんといっても、ジャン・バルジャン役のジャン・ギャバンがすばらしい。
悪いが、現在公開されているものはジャン・バルジャン役がヒュー・ジャックマンというだけで観る気にならない。
そして、ある意味ジャン・ギャバン以上に印象的なのがジャヴェール警部役のベルナール・ブリエである。
アンジョルラス役のセルジュ・レジアニはありがちな美男ではないが、思った以上に適役に感じられたし、テナルディエ役のブールヴィルも持ち味を発揮した名演。
一方で、ファンティーヌ(ダニエル・ドロルム)とコゼット(ベアトリス・アルタ・リバ)は存在感が今ひとつ。
もっとも、ファンティーヌは登場シーン自体少なすぎる印象だった。
ジョルジュ・ヴァン・パリスによる音楽は、それほどドラマチックとはいえないが、なかなか良かった。
DVDの画質もニューマスターを謳っているだけあって、(IVCとしては)まずまず満足のいくもの。
マキノ雅弘監督の『日本侠客伝』をDVDで観た感想。
『日本侠客伝』(64年)
監督:マキノ雅弘
脚本:笠原和夫、村尾昭、野上竜雄
撮影:三木滋人
音楽:斎藤一郎
出演:高倉健、中村錦之助、松方弘樹、田村高広、大木実、長門裕之、三田佳子、藤純子、藤間紫、南田洋子
初見。
大正期(と思われる)の東京・深川が舞台のシリーズ第1作。
高倉健は後年のような存在感はもう一つだが、すでに彼らしいキャラを確立している。
特別出演扱いの中村錦之助が全体のバランスの中でなんとなく収まりが悪い気がするが、子別れのシーンはさすがに泣かせる。
豪華キャストだけあって、女優陣も粒揃いだが、個人的には錦之助の妻役の三田佳子が美しく印象的だった。
只今発売中の男性ファッション誌『MEN'S EX』2013年3月号にメルヴィルの『いぬ』に関する記事が出ています。
デザイナー赤峰幸生氏によるトレンチ・コートに関する記事ですが、調べたら赤峰氏のブログにも同じ記事が出ていました。(リンク)
こうした媒体でメルヴィル映画が紹介されることはあまりないことなのでファンの一人として大変嬉しいのですが、『いぬ』の監督名がピエール・ルズーって…。
これはブログ記事の誤記ではなくて、件の雑誌でもそう表記されていました。
言うまでもなくピエール・ルズー(ルスー)は『いぬ』の原作者です。
また、作品紹介に明らかなネタバレが含まれているのも気になりますね…。
石井輝男監督の『続 網走番外地』をDVDで観た感想。
『続 網走番外地』(65年)
監督・脚本:石井輝男
音楽:八木正生
撮影:山沢義一
出演者:高倉健、嵯峨美智子、アイ・ジョージ、三原葉子、中谷一郎、安部徹、嵐寛寿郎
シリーズ第2作目。
1作目は白黒だったが、この作品はカラー。
タイトルとは裏腹に、舞台は青森、内容も“網走刑務所”とはほとんど無関係。
宝石入りの毬藻を巡る、ありがちなアクション映画となってしまった感は免れず。
ただし、内容は充分に面白い。
この映画でも“八人殺しの鬼寅”嵐寛寿郎の登場シーンは最高だ。
ストリッパー役の三原葉子も決して美人ではないが、“お色気”という言葉がピッタリのいかにもそれらしい存在感を発揮している。
メルヴィルを始め、往年のフランス映画やアメリカのフィルム・ノワールのほか、JAZZ、松田聖子など好きな音楽についても綴っています。
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